なぜ経営層はリファラル採用に消極的なのか?コストと効果で納得させる5つの説得ステップ

なぜ経営層はリファラル採用に消極的なのか?コストと効果で納得させる5つの説得ステップ

「リファラル採用を導入して、採用コストを抑え、定着率の高い人材を獲得したい」 「社員のつながりを活かして、自社にマッチした優秀な人材に来てほしい」

人事担当者として、このように考えている方は多いのではないでしょうか。しかし、いざ経営層に提案すると、「本当に効果があるのか?」「縁故採用と何が違うんだ?」と難色を示され、計画が前に進まない…。

本記事は、そんな悩みを抱える人事担当者の皆様に向けた「経営層の説得マニュアル」です。

多くの経営層がリファラル採用に懸念を示すのには、明確な理由があります。その理由を正しく理解し、彼らが納得する「言葉」と「データ」で提案することが、説得を成功させる何よりの鍵です。

経営層を動かし、リファラル採用を成功に導くための具体的なステップを徹底解説します。

経営層がリファラル採用に前向きになれない3つの懸念

まず、説得の相手である経営層がリファラル採用において何に懸念を抱いているのかを正確に把握しましょう。「うちの社長も、まさにこの点を気にしていた」と思い当たる節があるかもしれません。

費用対効果(ROI)が見えづらい

経営層が最も気にする点の一つが、コストとそれに見合う効果です。彼らの頭の中には、以下のような疑問が渦巻いています。

  • 「本当に採用コストは下がるのか?」
  • 「紹介インセンティブや制度運用の人件費を考えると、結局高くつくのではないか?」
  • 「効果が出るまでにどれくらいの時間がかかるのかが不明確で、投資判断がしにくい」

単に「求人広告費が浮きます」と伝えるだけでは、彼らを納得させることは難しいでしょう。

制度の構築・運用に対する工数

新しい制度を導入することは、日々の業務に追われる経営層や現場にとって、少なからず負担に感じられます。

  • 「新しい制度を導入するのは、ただでさえ忙しいのに面倒だ」
  • 「誰が責任者で、誰が実際の運用を行うのか?」
  • 「社員への周知や協力依頼など、現場の負担が増えることで本業に支障が出ないか?」

特にリソースが限られる中小企業では、「やりたいこと」よりも「やるべきこと」が優先されるため、導入・運用の手軽さや現実的な体制を伝えなければ、協力は得られません。

公平性・客観性への疑念

「リファラル採用」と聞くと、昔ながらの「縁故採用(コネ採用)」をイメージする経営層も少なくありません。

  • 「実質的な縁故採用になり、紹介者や紹介された社員への忖度が生まれ、社内に不満が充満しないか?」
  • 「紹介だからといって、選考基準が甘くなるのではないか?」
  • 「社員の友人・知人ばかりが集まることで、組織の多様性が失われ、成長が止まるリスクはないか?」

こうした懸念は、組織の公平性や企業文化を守りたいという経営者としての責任感の表れでもあります。これらの疑念を払拭する、明確なルール設計が不可欠です。

リファラル採用において経営層を納得させるための5ステップ

経営層が抱く懸念を理解したら、次はいよいよ説得の準備です。感情論ではなく、事実とデータに基づいたロジカルな説明で、彼らのリファラル採用に関する「懸念」を「期待」へと変えていきましょう。

1.現状の採用課題を「数字」で可視化する

説得の第一歩は「現状認識の共有」から始まります。「なんとなく採用がうまくいっていない」ではなく、客観的な数字で課題を突きつけましょう。

【提示すべき具体的な数値の例】

  • 1人あたりの平均採用コスト
    (求人広告費 + 人材紹介手数料) ÷ 採用人数
  • 媒体別の応募数・採用決定率
    どの媒体にどれだけ費用をかけ、効果が出ているか
  • 入社後1年以内の離職率
    採用のミスマッチがどれだけ発生しているか
  • 選考辞退率
    特に最終面接後の辞退率など

これらのデータをグラフなどで分かりやすく示し、「このままでは、採用コストは年間〇〇万円増加し続け、貴重な人材も定着しません」といった形で、現状を放置することのリスクを共有することが重要です。

【関連】リファラル採用の分析方法とは?重要KPIと改善アクションを徹底解説

2.リファラル採用がもたらす「経営的メリット」を伝える

現状の課題を共有できたら、その解決策としてリファラル採用がいかに有効かを「経営的メリット」の観点から伝えます。

  • 直接的なコスト削減効果
    最も分かりやすく、経営層に響くのが費用対効果です。具体的なシミュレーションを見せましょう。
    (例) 「現在、人材紹介経由の採用単価は平均100万円です。一方、リファラル採用で社員へのインセンティブを20万円支払ったとしても、1人あたり80万円、年間3人採用できれば240万円ものコスト削減に繋がります」
  •  定着率の向上による間接的なコスト削減
    リファラル採用は、入社後の定着率が高い傾向にあります。これは、社員から社内のリアルな情報を聞いた上で入社するため、入社前後のギャップが少ないためです。
    (例) 「早期離職者1人あたりの損失は、採用コストや教育費用を含めると約〇〇万円と言われています。リファラル採用で定着率が向上すれば、この目に見えないコストも大幅に削減できます」

    【関連】リファラル採用の採用コストとは?インセンティブ相場と成功のコツ
  • エンゲージメント向上と企業文化の醸成
    社員が「友人や知人に自信をもって勧められる会社」であることは、従業員エンゲージメントが高い証拠です。また、社員が採用活動に当事者意識を持つことで、組織の一体感が生まれます。ビジョンや価値観にマッチした人材が集まりやすくなるため、強い企業文化の醸成にも繋がることを伝えましょう。

3.想定される懸念への「具体的な対策」を先回りして提示する

ステップ2でメリットを伝えた後、経営層が抱くであろう懸念(費用対効果、工数、公平性)に対して、「大丈夫です」ではなく、具体的な対策を先回りして提示します。

  • 費用対効果への対策 → 目標KPIと効果測定方法の提示
    「導入後3ヶ月で紹介経由の応募数〇件、半年で採用決定1名をKPIとして設定し、定期的に効果をレポーティングします」
  • 運用工数への対策 → スモールスタートとツールの活用提案
    「まずは経営陣や管理職のいる部署から試験的に導入し、効果を見ながら全社展開を検討しませんか?」「管理工数を削減できるツールを活用すれば、人事担当者の負担も最小限に抑えられます」
  • 公平性への対策 → 明確なルール設計と選考プロセスの担保
    「『紹介者と面接官を別の部署にする』『選考基準は通常の応募者と全く同じにする』といったルールを明文化し、全社に周知徹底します。あくまで応募のきっかけであり、選考の優遇ではないことを明確にします」

4.客観的なデータとして「他社の成功事例」を共有する

どれだけロジカルに説明しても、「それは本当にうまくいくのか?」という不安は残るものです。その不安を払拭するのが、客観的なデータや他社の成功事例です。

特に、同業界や同じくらいの従業員規模の企業の事例は「うちでもできるかもしれない」という現実味を与え、経営層の意思決定を後押しします。

可能であれば、導入後の具体的な数値(採用単価が〇%削減、定着率が〇%向上など)も示し、その効果を客観的に伝えましょう。

【関連】【成功事例あり】リファラル採用の効果とは?成功に導くポイントまとめ

5.「提案資料」にまとめて、正式な場でプレゼンテーションする

ここまでの内容を、その場の口頭説明で終わらせてはいけません。必ず議論の土台となる「提案資料」にまとめ、役員会議などの正式な場でプレゼンテーションの機会をもらいましょう。

資料としてまとめることで、情報が整理され、経営層が後から見返して検討することも可能になります。

経営層のタイプ別!リファラル採用の経営層への説得方法

ロジカルな説明を尽くしても、リファラル採用導入の有無の最終的な意思決定は経営者の価値観や性格に左右されることもあります。相手のタイプに合わせた最後の一押しで、心を動かしましょう。

  • コスト重視の「数字」に強い経営者には
    徹底した費用対効果のシミュレーションを見せ、「この施策で、年間これだけのコストが削減でき、その分を〇〇に投資できます」と、削減できる「具体的な金額」とその使い道までセットで提案する。
  • ビジョンや理念を重視する「情熱家」の経営者には
    「社員が自社に誇りを持ち、友人を誘いたくなるような会社を、社長と一緒につくりたいんです」と、企業文化の醸成やエンゲージメント向上といった「組織への好影響」を熱く語る。
  • リスクを嫌う「慎重派」の経営者には
    「まずは3ヶ月間、部署限定で試させてください。それで効果が出なければ、すぐに撤退します」といった「限定的なテスト導入」を提案し、開始のハードルを極限まで下げる。

また、リファラル採用に特化したツールの導入を打診してみることも効果的な手法の一つです。

リファラル採用専用ツールを活用することで、社員の「紹介の手間」を大幅に削減し、人事担当者の「管理業務」を効率化できます。
ツールの選定基準も含めて説得することで、目的達成の手段が明確になり経営層も納得する可能性が高いです。

【関連】リファラル採用ツールおすすめ5選!メリットや選び方を徹底解説

おすすめのリファラル採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。リファアルムを使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。

リファアルムを活用する具体的なメリットは下記の3つです。

1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。

2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。

3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。

「リファアルム」を活用してリファラル採用を推進しましょう

リファラル採用の成否は、経営層の理解と協力に大きく左右されると言っても過言ではありません。

今回ご紹介したステップは、単にリファラル採用の承認を得るためのテクニックではありません。経営層を「説得すべき相手」から「共に採用を成功させるパートナー」へと変えるためのコミュニケーションプロセスです。


「リファラル採用において経営層を納得させたいが、何から手をつければいいか分からない」
「リファラル採用を始めるにあたって、プロの意見が聞きたい」

そのようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ弊社の「リファアルム」にご相談ください。

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