リファラル採用を成功させるポイントとは?失敗しない制度設計から活性化のコツまで解説

「リファラル採用を導入してみたものの、期待したほど紹介が集まらない…」 「これからリファラル採用を始めたいが、何から手をつければ成功するのか分からない」
中小企業の経営者様や人事担当者様の中で、このようなお悩みを抱えている方はいらっしゃらないでしょうか。
リファラル採用は、採用コストの削減やマッチング精度の向上など、多くのメリットを持つ非常に有効な採用手法です。しかし、その一方で、ただ制度を導入するだけでは成功が難しいという側面もあります。
成功のためには、社員が「自社の仲間になってほしい」と心から思い、喜んで知人や友人を紹介したくなるような「仕組み」と「文化」を、戦略的に作り上げる必要があるのです。
この記事では、リファラル採用を成功に導くための具体的なポイントを網羅的に解説します。
もくじ
リファラル採用とは?
リファラル採用(リファラルリクルーティング)とは、自社の役員や従業員に、知人や友人を紹介してもらう採用手法のことです。「リファラル(referral)」は「紹介・推薦」を意味します。
少子高齢化による労働人口の減少や、働き方の多様化により、企業の人材獲得競争は激化の一途をたどっています。従来の求人広告や人材紹介サービスだけでは、求める人材に出会うことが難しくなってきました。
このような背景から、社員個人の信頼関係をベースに、自社にマッチした優秀な人材や、まだ転職市場に出てきていない「潜在層」へアプローチできるリファラル採用が、新たな採用チャネルとして注目を集めているのです。
リファラル採用のメリット・デメリット
リファラル採用の導入を成功させるためには、そのメリットとデメリットを正しく理解しておくことが不可欠です。
リファラル採用の4つのメリット
- 採用コストの大幅な削減
紹介者である社員へのインセンティブ(報酬)や会食費などが発生しますが、求人広告の掲載料や人材紹介会社への成功報酬と比較すると、採用コストを大幅に抑えることが可能です。 - マッチング精度の向上による定着率アップ
紹介者である社員は、自社の文化や仕事内容を深く理解しています。その上で「自社に合いそうな人材」を紹介するため、入社後のミスマッチが起こりにくく、結果として定着率の向上が期待できます。 - 転職潜在層へのアプローチが可能
「良い会社があれば転職したい」と考えているものの、まだ本格的な転職活動を行っていない優秀な「転職潜在層」。リファラル採用は、このような求人サイトには登録していない層へ直接アプローチできる唯一無二の手法です。 - 社員のエンゲージメント向上
社員が知人や友人を紹介するプロセスは、自社の魅力や働きがいを再認識する良い機会となります。また、紹介した友人が入社・活躍することで、紹介者自身のエンゲージメント(会社への愛着や貢献意欲)も高まる効果があります。
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リファラル採用の3つのデメリットと対策
- 人間関係のトラブルに発展するリスク
紹介した友人が不採用になったり、逆に入社後に早期離職してしまったりした場合、紹介者と友人の人間関係に影響が及ぶ可能性があります。
【対策】事前に「選考は通常通り公平に行うこと」「合否に関わらず人間関係は変わらないこと」を紹介者・候補者の双方に丁寧に伝え、理解を得ておくことが重要です。 - 紹介される人材の同質化(多様性の欠如)
社員は自分と似たタイプや経歴の知人を紹介する傾向があるため、リファラル採用に偏りすぎると、組織の多様性が失われる可能性があります。
【対策】リファラル採用はあくまで採用チャネルの一つと位置づけ、求人広告やダイレクトリクルーティングなど、他の採用手法とバランス良く組み合わせることが大切です。 - 紹介数や時期のコントロールが難しい
社員の協力に依存するため、「今月中に〇人採用したい」といった計画的な採用活動には向きません。
【対策】年間を通じて継続的に情報発信を行い、常に紹介を募る文化を醸成するとともに、他の採用手法と組み合わせることで採用計画の安定化を図りましょう。
【関連】リファラル採用のデメリット9選!失敗しないための対策を徹底解説
リファラル採用を成功に導く5つのポイント《準備編》
ここからは、リファラル採用を成功させるための具体的なポイントを「準備編」として5つご紹介します。導入前の丁寧な設計が、成功の確率を大きく左右します。
1.目的とKGI/KPIを明確にする
まずは「なぜ、わが社はリファラル採用を行うのか」という目的を明確にしましょう。目的が曖昧なままでは、社員の共感や協力を得ることはできません。
- 目的の例
- エンジニア採用を強化し、開発スピードを上げたい
- 採用コストを〇%削減し、その分を社員教育に投資したい
- 企業理念に共感してくれる人材を増やし、組織文化を強化したい
目的を明確にしたら、「紹介人数」「応募人数」「採用決定人数」といった具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定し、全社で共有しましょう。
2.社員が納得・協力しやすい制度を設計する
社員が安心して協力できる、公平で分かりやすい制度設計が不可欠です。
- 紹介のルールを明確化する
誰が(例:全社員対象)、誰に(例:友人、元同僚)、いつ(例:随時)、どうやって(例:人事部の専用フォームから)紹介するのか、といったフローをシンプルで分かりやすく設計します。 - 報酬(インセンティブ)制度を慎重に検討する
報酬は社員のモチベーションに繋がる重要な要素です。紹介された人材の入社が決まった際に支払うのが一般的で、金額の相場は職種や役職にもよりますが、正社員で5万円~30万円程度が目安です。 高額すぎる報酬は、人間関係や紹介の質よりも報酬目当ての紹介を増やすリスクがあるため注意が必要です。金銭だけでなく、「特別休暇の付与」「食事券」といった非金銭的報酬を組み合わせるのも有効です。 - 公平性と透明性を担保する仕組みを作る
紹介された人材の選考状況は、個人情報に配慮しつつ、紹介者にこまめにフィードバックしましょう。「誰が紹介したか」「今どの選考段階か」を人事部がきちんと管理できる仕組みを整えることが、社員の信頼に繋がります。
3.社員が「紹介したい」と思える環境を作る
リファラル採用の根幹は、社員が「この会社は素晴らしい会社だから、友人にも勧めたい」と思えるかどうかにかかっています。 日頃から経営ビジョンを共有し、風通しの良い職場環境を整え、社員が自社に誇りを持てるような組織づくり(エンプロイー・アドボカシー)を進めることが、何よりの成功のポイントです。
4.紹介に必要なツールを整備する
社員が「ちょっとこの資料見てみてよ」と、友人に気軽に会社の情報を共有できるよう、事前にツールを整備しておきましょう。
- ツールの例
- 募集しているポジションの魅力が伝わる求人票
- 会社のビジョンや文化、働くメンバーの様子が分かる紹介資料
- 社員紹介用の簡単なエントリーフォーム
- 社員インタビュー記事や動画コンテンツ
これらのツールを社内SNSや共有フォルダに格納し、いつでも誰でもアクセスできるようにしておくと、紹介のハードルがぐっと下がります。
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5.全社への丁寧な告知と協力依頼を行う
制度が完成したら、全社に向けて丁寧に告知を行います。単に「制度を開始します」と伝えるだけでなく、キックオフミーティングなどを開催し、経営層から直接、リファラル採用にかける想いや目的、具体的なルールを説明する場を設けるのが効果的です。社員からの質疑応答の時間も設け、疑問や不安をその場で解消しましょう。
リファラル採用を活性化させる5つのポイント《運用編》
制度を導入しただけで満足してはいけません。ここからは、リファラル採用を形骸化させず、継続的に活性化させるための「運用編」のポイントを5つご紹介します。
1.定期的な情報発信とリマインド
制度を開始しても、日常業務に追われるうちに社員の意識は薄れてしまいます。 「現在、〇〇ポジションを募集中です!」「こんな経験をお持ちのご友人がいらっしゃいませんか?」といった情報を、社内報や朝礼、チャットツールなどで定期的に発信し、リマインドすることが重要です。
2.紹介者への迅速で丁寧なフィードバック
紹介者にとって最もモチベーションが下がるのは、「紹介したのに、その後どうなったか全く連絡がない」という状況です。 紹介を受けたら、まずは「〇〇さん、ご紹介ありがとうございます!」と迅速に感謝を伝えましょう。その後も、「書類選考を通過しました」「来週、一次面接です」といった選考の進捗を、可能な範囲でこまめにフィードバックすることが、次の紹介への意欲に繋がります。
3.経営陣や人事から「感謝」を伝える文化を醸成する
インセンティブという「制度」だけでなく、感謝や称賛という「文化」を醸成することが、リファラル採用を活性化させる鍵です。 全社ミーティングの場で「〇〇さんの紹介で、素晴らしい仲間が増えました。ありがとうございます!」と経営者から直接感謝を伝えたり、紹介者と入社者、役員でのウェルカムランチを実施したりするなど、協力してくれた社員が「報われた」と感じられるような働きかけを意識しましょう。
4.成功事例を社内で共有する
「〇〇さんの紹介で入社した△△さんが、新規プロジェクトで大活躍しています!」 このような成功事例を社内で積極的に共有しましょう。紹介によって会社に良い影響がもたらされていることが伝わると、「自分も会社に貢献したい」「自分の紹介で会社がもっと良くなるかもしれない」と感じる社員が増え、協力の輪が自然と広がっていきます。
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5.PDCAを回し、継続的に制度を改善する
運用を開始したら、定期的に社員へアンケートを実施するなどして、制度に対するフィードバックを集めましょう。
- 「紹介フローが少し分かりにくい」
- 「どんな人を紹介すれば良いのかイメージが湧かない」
- 「インセンティブの内容を見直してほしい」
こうした現場の声を真摯に受け止め、制度を柔軟にアップデートしていくことが、長く愛される制度運用の秘訣です。
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リファラル採用に関するよくある質問(Q&A)
Q1. 社員が「紹介する友人がいない」と言います。どうすればいいですか?
A. 「親しい友人」に限定せず、「前職の同僚」「プロジェクトで一緒だった他社の方」「学生時代の知人」など、対象を広げてアナウンスしてみましょう。また、「すぐに紹介できなくても、良い人がいたら教えてほしい」と伝え、長期的なタレントプールとして情報をストックしておく考え方も有効です。
Q2. 不採用だった場合、紹介者と候補者の関係が悪化しないか心配です。
A. 事前に紹介者へ「選考は他の応募者と同様に、公平性をもって行います」と明確に伝えておくことが大切です。また、不採用の連絡をする際は、紹介者への感謝を改めて伝えた上で、「今回はご期待に沿えませんでしたが、また素敵な方がいらっしゃればぜひご紹介ください」とポジティブなコミュニケーションを心がけ、信頼関係を維持しましょう。
Q3. 報酬(インセンティブ)を払う上で法的な注意点はありますか?
A. はい、注意が必要です。職業安定法では、原則として労働者の募集に対して報酬を与えることを禁止しています。ただし、賃金や給与として支払う場合は例外とされています。そのため、リファラル採用の報酬は、紹介活動を「社員の業務の一環」と位置づけ、給与や賞与に上乗せする形で支払うのが一般的です。不明な点があれば、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。
Q4. 制度が形骸化する場合の対処法はありますか?
A.近年、リファラル採用の運用を効率化・活性化させるための専用ツールやクラウドサービスが増えています。こうしたツールの活用は、制度の形骸化を防ぐ効果があります。
ツールがあることで、紹介のハードルを物理的に下げることが重要です。気軽に紹介できることで社内へ浸透しやすくなり、人事担当者としても管理工数の削減を実現することが可能です。
おすすめのリファラル採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。リファアルムを使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。
リファアルムを活用する具体的なメリットは下記の3つです。
1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。
「リファアルム」を活用してリファラル採用を推進しましょう
本記事では、リファラル採用を成功させるための重要なポイントを、「準備編」と「運用編」に分けて詳しく解説しました。
リファラル採用成功の鍵は、しっかりとした「制度設計」と、社員の協力意欲を高めるための丁寧な「コミュニケーション」の両輪を回していくことにあります。
一朝一夕で成果が出るものではありませんが、全社一丸となって取り組むことで、リファラル採用は貴社の採用活動を支える強力な柱となるはずです。
しかし、「リファラル採用のポイントについて、さらに詳しく知りたい」
「リファラル採用を始めたいが、何から手を付けたら良いか分からない」
といったお悩みをお持ちの採用担当者様も多いのではないでしょうか。
そのようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ弊社の「リファアルム」にご相談ください。
ただツールを入れてもリファラル、アルムナイ採用が増えるとは限りません。
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