リファラル採用のやり方とは?導入のステップと成功のコツを徹底解説

「求人を出しても応募が集まらない」「採用コストは増える一方なのに、良い人材に出会えない…」
多くの企業様、人事担当者様が、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。深刻化する人材獲得競争の中で、新たな採用手法として注目を集めているのが「リファラル採用」です。
リファラル採用とは、自社の社員に知人や友人を紹介してもらう採用手法です。
採用コストを抑えながら、企業文化にマッチした人材に出会える可能性が高いことから、導入する企業が増えています。
しかし、「興味はあるけれど、何から手をつければいいかわからない」「制度を作ってみたものの、まったく紹介が集まらない」といった声も少なくありません。
そこで本記事では、リファラル採用の導入を検討している、あるいは運用に課題を感じている担当者様に向けて、具体的な始め方を7つのステップで分かりやすく解説します。
もくじ
そもそもリファラル採用とは?
まず、リファラル採用の基本的な仕組みと、そのメリット・デメリットを正しく理解しておきましょう。
社員の紹介による採用手法
リファラル(referral)とは「紹介・推薦」を意味します。つまりリファラル採用とは、自社の事業内容や文化をよく理解している社員から、信頼できる知人・友人を紹介してもらい、選考を行う採用手法です。
古くから「縁故採用」という言葉がありますが、縁故採用が血縁やコネクションを重視し、採用を前提とすることが多いのに対し、リファラル採用はあくまで採用候補者を紹介してもらう「きっかけ」であり、その後の選考は通常通り行われるのが一般的です。
なぜ今、リファラル採用が注目されるのか?
リファラル採用が注目される背景には、採用チャネルの多様化と、エンゲージメント経営への関心の高まりがあります。
少子高齢化による労働人口の減少に伴い、従来の求人広告や人材紹介だけでは、求める人材にアプローチしにくくなりました。そこで、社員個人のつながりを活かすことで、転職市場には現れない「潜在層」にもアプローチできるリファラル採用が、有効な手段として見直されているのです。
また、社員が「この会社を友人に勧めたい」と思えるかどうかは、従業員エンゲージメント(会社への愛着や貢献意欲)の高さを示す指標でもあります。リファラル採用への取り組みは、社員の満足度向上や組織の一体感醸成にもつながります。
メリット・デメリットを正しく理解する
リファラル採用には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。導入前に両面を理解しておくことが重要です。
【メリット】
- 採用コストの大幅な削減
求人広告費や人材紹介手数料が発生しないため、採用コストを大きく抑えられます。 - 企業文化にマッチした人材の採用
社員が自社の文化や働き方を理解した上で紹介するため、入社後のミスマッチが起こりにくくなります。 - 定着率の向上
マッチ度が高い人材は早期離職のリスクが低く、長く活躍してくれる傾向にあります。紹介した社員が精神的な支えになることも、定着率向上に寄与します。 - 潜在的な転職希望者へのアプローチ
転職活動を本格的に行っていない優秀な人材にも、社員を通じてアプローチできます。
【デメリット】
- 人間関係のしがらみによるトラブルリスク
紹介者と被紹介者の間で、不採用になった場合や早期離職した場合に関係性が気まずくなる可能性があります。 - 紹介される人材の質や数の不安定さ
社員のネットワークに依存するため、常に安定した数の紹介があるとは限りません。 - 制度が形骸化しやすい
制度を作っただけで、社員への働きかけや情報共有を怠ると、誰も利用しない形だけの制度になってしまいます。
【7ステップで解説】リファラル採用の具体的なやり方・始め方
ここからは、リファラル採用を導入するための具体的な手順を7つのステップで解説します。このステップに沿って進めることで、制度の形骸化を防ぎ、効果的な運用を目指せます。
導入目的と目標(KGI/KPI)を明確にする
まず最初に、「なぜリファラル採用を行うのか」という目的を明確にしましょう。目的が曖昧なままでは、関係者の協力も得にくく、成果の評価もできません。
- 目的の例:
- 採用コストを年間で〇%削減する
- エンジニア職の採用決定数を年間〇名増やす
- 採用におけるミスマッチを減らし、入社1年後の定着率を〇%向上させる
目的が定まったら、具体的な数値目標(KGI/KPI)を設定します。
- 目標の例:
- KGI:年間リファラル採用決定数〇名
- KPI:紹介数、選考通過率、社員の制度認知度など
経営層や関連部署を巻き込み、協力体制を築く
リファラル採用は、人事部だけで完結する施策ではありません。経営層の強いコミットメントと、現場社員の協力が不可欠です。
まずは経営層にリファラル採用の重要性とメリットを説明し、全社的なプロジェクトとして推進する承認を得ましょう。その後、各部署の管理職にも協力を依頼し、現場社員が採用活動に参加しやすい雰囲気を作ってもらうことが成功の鍵となります。
公平で分かりやすい制度・ルールを設計する
社員が安心して、かつ積極的に協力してくれるよう、明確なルールを設計します。特に以下の点は必ず定めておきましょう。
・ 紹介対象者の範囲
紹介者になれる社員の範囲(例:正社員のみ、契約社員も可など)や、紹介される側の条件(例:過去に応募歴がないかなど)を決めます。
・ 紹介から採用までのフロー
「誰に(人事、部署長など)」「どのように(申請フォーム、メールなど)」紹介すればよいか、フローをシンプルで分かりやすく設計します。
・報酬(インセンティブ)制度の設計と注意点
社員の協力意欲を高めるために、報酬(インセンティブ)制度は有効です。
相場:職種や役職にもよりますが、1人あたり数万円~30万円程度が一般的です。高額すぎると金銭目的の紹介が増えるリスクもあるため、慎重に設定しましょう。
支払いタイミング:「採用決定後」「試用期間満了後」など、明確な条件を設定します。
法的注意点:リファラル採用の報酬は、職業安定法で禁止されている「(許可のない)職業紹介の対価」と見なされないよう注意が必要です。「社員の採用活動への協力に対する正当な対価」として、賃金や手当として支給する必要があります。そのためには、就業規則や賃金規程にリファラル採用制度に関する規定を明記することが不可欠です。
・不採用時の対応
最も配慮が必要な点です。「誰が」「どのタイミングで」「どのように」結果を伝えるかを事前に決めておきましょう。紹介してくれた社員の顔を立てるためにも、結果に関わらず、誠実で丁寧な対応を心がけることが重要です。
必要なツールや環境を準備する
制度をスムーズに運用するために、必要なツールを準備します。
リファラル採用ツール:制度の告知、紹介の受付、進捗管理などを一元化できる専用ツールを導入すると、人事と社員双方の負担を軽減できます。
代替手段:まずはスモールスタートしたい場合は、社内SNS(Slackなど)に専用チャンネルを作ったり、Googleフォームで申請フォームを作成したりする方法も有効です。
全社員へ制度を周知・浸透させる
制度が完成したら、全社員に向けて丁寧に告知します。一度の説明だけでなく、定期的にアナウンスし、制度を浸透させることが重要です。
周知方法の例:
- 全社朝礼や定例会での説明
- 社内報やイントラネットでの告知
- 制度説明資料の共有
募集ポジションと求める人物像を具体的に共有する
「誰か良い人いない?」という漠然とした依頼では、社員も誰を紹介して良いか分かりません。
募集職種:営業、エンジニア、マーケターなど
具体的な業務内容:どんな仕事を担当するのか
必須スキル・経験:どんな能力が必要か
求める人物像:どんな価値観やキャラクターの人と一緒に働きたいか
これらの情報を具体的に、かつ魅力的に伝えることで、社員は自分の知人の中から「この人なら合いそうだ」という候補者をイメージしやすくなります。
効果測定と改善を繰り返す(PDCA)
制度は作って終わりではありません。STEP1で設定したKPIを元に、定期的に効果を測定し、改善を繰り返しましょう。
チェックポイントの例:
- 紹介数は増えているか?
- どの部署からの紹介が多いか?
- 選考通過率は高いか?
- 社員から制度に対する意見や不満は出ていないか?
これらの結果を分析し、「周知方法を変える」「求める人物像の伝え方を工夫する」といった改善策を実行していくことが、制度を形骸化させないために不可欠です。
リファラル採用を成功に導く3つの重要ポイント
手順通りに制度を設計するだけでなく、以下の3つの「本質的なポイント」を意識することで、リファラル採用の成功確率は格段に高まります。これらは単なるテクニックではなく、企業の姿勢そのものが問われる部分です。
社員が「紹介したい」と心から思える魅力的な会社づくり
最も本質的で、かつ最も重要なポイントです。どんなに素晴らしい制度や高額な報酬を用意しても、社員が自社に対して誇りや愛着を持てず、「大切な友人に、胸を張って勧められない」と感じていては、紹介は生まれません。リファラル採用は、従業員エンゲージメント(会社への貢献意欲や愛着)を映す鏡なのです。
では、「魅力的な会社」とは何でしょうか。それは、給与や福利厚生だけではありません。
- 事業の将来性: 自分たちの仕事が社会にどう貢献し、どこへ向かっているのか。
- 働きがい: 仕事を通じて成長できるか、正当に評価されているか。
- 良好な人間関係: 尊敬できる上司や、助け合える同僚がいるか。
- 柔軟な労働環境: ライフステージに合わせて働き続けられるか。
日頃からこうした点に目を向け、風通しの良い職場環境や、働きがいのある文化を醸成することこそが、最高の採用促進策となります。まずは、「うちの会社の自慢できるところはどこだろう?」と、自社の魅力を棚卸しすることから始めてみてはいかがでしょうか。経営層と社員が対話する場を設けたり、感謝を伝え合う「サンクスカード」のような仕組みを導入したりする小さな一歩が、大きな変化につながります。
紹介してほしい人物像をストーリーで伝える
社員に協力を依頼する際、どのような情報を伝えているでしょうか。単なる条件の羅列(スペック)だけでは、人の心は動きません。
【よくない例】
「営業職募集。法人営業経験3年以上。コミュニケーション能力が高い方。目標達成意欲の高い方。」
これでは、社員はどんな人を紹介すればよいか具体的にイメージできません。
【良い例】”ストーリー”で語る】
「今、私たちが開発している主力製品『〇〇』は、中小企業の生産性を劇的に改善する可能性を秘めています。この素晴らしい製品を、まだ知らない多くの企業に届けるため、新しい仲間を探しています。お客様の課題に真摯に寄り添い、解決策を一緒に考え、その成功を自分のことのように喜べる、そんな情熱を持った方と一緒に、この製品を育てていきたいのです。チームで成功事例を共有しながら、一丸となって目標に向かう、そんな働き方にワクワクする方はいませんか?」
このように、「なぜその人が必要なのか」「どんな未来を一緒に創りたいのか」というストーリーを語ることで、社員はスペックだけでなく、価値観やカルチャーに合う友人を思い浮かべやすくなります。人事だけでなく、実際に一緒に働くことになる現場のリーダーやメンバーから、その想いを直接語ってもらう機会(社内ブログや簡単な座談会動画など)を設けるのも非常に効果的です。
紹介してくれた社員への感謝と丁寧なフィードバックを徹底する
紹介という行為は、社員にとって貴重な時間と心理的なエネルギーを使うものです。その貢献に対して、会社は最大限の誠意で応えなければなりません。
インセンティブという金銭的な報酬はもちろん重要ですが、それ以上に「感謝の気持ち」と「プロセスの透明性」が、次の紹介へとつながる鍵となります。
- 感謝の伝え方
結果に関わらず、まずは「貴重な友人を紹介してくれてありがとう」という感謝を、人事だけでなく、時には経営層や役員から直接伝える機会を設けましょう。全社朝礼などで協力者を表彰することも、本人の名誉となり、他の社員への良い刺激になります。 - 丁寧なフィードバック
「紹介したきり、どうなったか分からない」という状態は、紹介者を最も不安にさせます。「先日、〇〇様と一次面接を行いました。次は現場リーダーとの面接に進んでいただく予定です」といったように、選考の各ステップで進捗を報告しましょう。 - 不採用時の配慮
万が一、不採用となった場合の対応は特に重要です。本人へ伝える前に必ず紹介者へ連絡し、「〇〇様の△△というご経験は非常に魅力的でしたが、今回はチームのバランスを考慮し、見送りとさせていただきました。素晴らしい方をご紹介いただき、本当にありがとうございました」というように、感謝と、紹介者の顔を立てる配慮ある説明を心がけましょう。
こうしたコミュニケーションを怠ると、「紹介しても雑に扱われる」という不信感が広がり、制度そのものが機能不全に陥ってしまいます。
要注意!リファラル採用でよくある失敗例とその対策
次に、リファラル採用で陥りがちな失敗例と、それを防ぐための具体的な対策について解説します。
制度を作っただけで、社員に完全に丸投げしてしまう
最もよくある失敗が、制度やツールを導入しただけで満足してしまい、その後の働きかけを怠ってしまうケースです。現場の社員は日々の業務で忙しく、採用は「人事の仕事」と考えがちです。ただ待っているだけでは、紹介は生まれません。
【対策】
定期的なリマインドと情報発信
月に一度の定例会で5分だけ時間を取って募集状況をアナウンスしたり、社内報に「今月の強化募集ポジション」コーナーを設けたりするなど、継続的に社員の目に触れる機会を作りましょう。
成功事例を共有して「自分ごと化」を促す
リファラル採用で入社した社員が活躍している様子や、紹介した社員の「なぜ紹介しようと思ったか」というインタビューを共有しましょう。成功事例を見ることで、他の社員も「自分も協力してみよう」という気持ちになります。
紹介のハードルを下げる工夫
「いきなり選考」は紹介者・被紹介者ともにハードルが高いものです。「まずはランチでも」「カジュアルなオンライン会社説明会に誘ってみませんか?」といった、気軽な紹介の選択肢を用意することで、協力の心理的ハードルを大きく下げることができます。
報酬(インセンティブ)だけで社員を動かそうとする
「紹介が出ないのはインセンティブが低いからだ」と考え、報酬額の引き上げだけで解決しようとするのも危険な兆候です。もちろん報酬は大切な要素ですが、それだけに頼ると、本質的な問題を見失ってしまいます。
この失敗がもたらす弊害は、「金銭目的」で企業文化とのマッチ度を考えない紹介が増えることです。結果として、選考工数だけが増大し、不採用が続くと紹介者のモチベーションもかえって下がってしまうという悪循環に陥ります。
【対策】
金銭以外の「貢献への称賛」を仕組み化する
報酬だけでなく、会社の採用活動への貢献を人事評価の項目に加える、紹介実績のある社員を表彰するなど、「名誉」につながる仕組みを作りましょう。人は金銭だけでなく、承認や称賛によっても動機付けられます。
「仲間集め」という当事者意識を醸成する
「会社のために」という他人行儀な言葉ではなく、「私たちが一緒に働く、未来の最高の仲間を、私たちの手で探そう」というメッセージを打ち出しましょう。採用を「自分ごと」として捉えてもらうことが、紹介の質を高める上で非常に重要です。
不採用時の対応が悪く、紹介者のモチベーションを下げてしまう
これはリファラル採用において最も信頼を損なう行為です。連絡が遅れたり、理由も伝えられず事務的に不採用通知だけが届いたりすると、紹介者は「自分の顔に泥を塗られた」と感じてしまいます。「あの会社は人を紹介すると雑に扱われる」というネガティブな評判が一度でも広まると、制度への信頼を回復するのは極めて困難です。
【対策】
連絡の「順番」と「速度」を徹底する
結果が出たら、応募者本人よりも、まず紹介者へ連絡します。そして、可能な限り迅速にフィードバックを行いましょう。待たされている時間は、紹介者にとって大きなストレスです。
「感謝」から伝え、「クッション言葉」を使う
「残念ながら今回は…」と結論から入るのではなく、「〇〇さん、この度は貴重なご友人を紹介いただき、本当にありがとうございました」と、必ず感謝の言葉から始めましょう。
ポジティブなフィードバックを添える
たとえ不採用であっても、面接で評価できた点は必ずあるはずです。「〇〇様の△△というご経験は、面接官も非常に高く評価していました」のように、良かった点を具体的に伝えることで、全否定されたという印象を和らげることができます。紹介者のメンツを保つ、最大限の配慮が求められます。
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本記事では、リファラル採用の具体的なやり方・始め方を解説しました。
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