正社員のアルムナイ採用を導入するには?メリット・デメリットから定着・活躍まで解説

正社員のアルムナイ採用を導入するには?メリット・デメリットから定着・活躍まで解説

「求人を出しても募集が集まらない」 「採用しても、社風が合わずにすぐに辞めてしまう」 「採用人数は変わらないのに、コストばかりが増え続けている」
これらは多くの企業の経営者様や人事担当者様からお聞きする、切実な悩みです。

従来の採用手法だけでは、優秀な人材、特に自社の文化を理解し即戦力となる正社員を確保することがますます難しくなっているのが実情です。

そこで今、新たな採用戦略として大きな注目を集めているのが「アルムナイ採用」です。

「アルムナイ」とは「卒業生」を意味し、一般的には「出戻り社員の再雇用」を指します。
本記事では、このアルムナイ採用について、特に「正社員」として再び迎え入れることに焦点を当て、企業が導入する上でのメリット、注意すべき点、そして成功させるための具体的なステップを分かりやすく解説します。

アルムナイ採用(出戻り採用)とは?

「アルムナイ(Alumni)」とは、ラテン語で「卒業生」や「同窓生」を意味する言葉です。

アルムナイ採用とは、一度自社を退職した社員を、再び正社員や契約社員など(本記事では特に「正社員」に焦点を当てます)として雇用する採用手法を指します。

従来、「出戻り」という言葉には少しネガティブな響きがあったかもしれません。しかし、現在のアルムナイ採用は、単なる「人手不足だから呼び戻す」といったその場しのぎのものではなく、「他社で新たな経験を積んだ貴重な人材」として、戦略的に再雇用するポジティブな取り組みとして認識されています。

【関連】なぜ今「出戻り採用」が注目されるのか?アルムナイ採用を導入すべき理由を解説

なぜ今、アルムナイ採用が注目されているのか?

アルムナイ採用がこれほどまでに注目されるようになった背景には、大きく分けて3つの社会的な変化があります。

1. 深刻な人手不足と採用競争の激化
少子高齢化による生産年齢人口の減少は、特に中小企業において深刻な人手不足を引き起こしています。優秀な人材の獲得競争は激化の一途をたどり、従来の採用チャネルだけでは限界を迎えています。

2. キャリア観の変化(転職の一般化)
かつての終身雇用制度が実質的に崩壊し、転職はもはや珍しいことではなくなりました。スキルアップやキャリアチェンジのための「ポジティブな転職」が一般化したことで、企業を去ることへのネガティブなイメージが薄れています。

3. 企業と個人の関係性の変化
企業と個人は、主従関係ではなく、対等なパートナーとしてキャリアを築いていく関係性へと変化しています。これにより、退職を「縁切り」ではなく「卒業」と捉え、退職後も良好な関係を維持しようとする企業が増えているのです。

正社員としてアルムナイ採用を行う5つのメリット

正社員のアルムナイ採用を導入することは、特にリソースの限られる企業にとって、具体的にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。主な5つのメリットをご紹介します。

即戦力としての期待と「教育コスト」の削減

最大のメリットは、即戦力としての活躍が期待できる点です。 アルムナイ社員は、自社の企業文化や理念、基本的な業務プロセス、社内の人間関係を既に理解しています。

ゼロから新人教育を行う必要がなく、入社後の立ち上がりが非常に早いため、教育にかかる時間とマンパワーを大幅に削減できます。これは「採用のマンパワーが足りない」と悩む人事担当者様にとって、非常に大きな魅力となります。

深刻な「ミスマッチ」の低減

採用活動において最も避けたいことの一つが、入社後の「ミスマッチ」です。 アルムナイ採用は、企業側も本人側も、お互いの長所や短所、働き方のスタイルをある程度理解した上での再入社となります。

そのため、「こんなはずではなかった」という入社後のギャップが起こりにくく、早期離職のリスクを大幅に低減できます。結果として、無駄な採用コストの発生を防ぐことにもつながります。

他社で得た新しい知見やスキルの獲得

退職者が他社で培った新しいスキル、業務ノウハウ、そして新たな人脈は、自社にとって貴重な資産となります。

特に中小企業では、社内の人材だけでは得られなかった新しい視点や知見が持ち込まれることで、業務プロセスの改善やイノベーションが促進され、組織全体の活性化にも寄与することが期待できます。

採用コスト・工数の大幅な削減

アルムナイ採用は、採用コストの削減にも直結します。 退職者ネットワークや紹介(リファラル)を通じて直接コンタクトが取れるため、高額な求人広告費や人材紹介手数料が不要、あるいは大幅に低減できるケースがほとんどです。

また、選考プロセスもある程度簡略化できるため、「採用活動の工数が足りない」という中小企業の人事担当者様の負担を軽減することにもつながります。

【関連】アルムナイ採用のコストは安い?費用内訳と主要採用手法との比較を徹底解説

エンゲージメントの向上(既存社員への好影響)

「一度辞めた社員が、再び正社員として戻ってきたい」と思える会社であるという事実は、既存社員に対してもポジティブなメッセージとなります。

自社が「働きやすい、魅力的な職場である」という証拠となり、既存社員の会社に対するロイヤリティ(愛着)やエンゲージメント(貢献意欲)の向上にも好影響を与える可能性があります。

【関連】アルムナイ採用の成功は「エンゲージメント」が鍵。退職後の関係構築の方法とメリットを解説

正社員のアルムナイ採用におけるデメリットと注意点

メリットの多い正社員のアルムナイ採用ですが、導入の仕方を間違えると、かえって社内に混乱を招く可能性もあります。事前にリスクと注意点をしっかりと把握しておくことが重要です。

既存社員の不公平感とモチベーション低下

最も注意すべき点が、既存社員の不公平感です。 「一度会社を辞めた人が、なぜ優遇されるのか?」「ずっと会社に貢献してきた自分たちよりも良い条件なのではないか?」といった不満は、組織の士気を著しく低下させます。

特に、正社員として復帰する際の給与や役職の設定には、既存社員とのバランスを考慮し、細心の注意を払う必要があります。

「退職理由」が解消されていない場合の再離職リスク

当然のことながら、退職時の理由が解消されていなければ、結局同じ理由で再び離職してしまうリスクがあります。

例えば、「特定の人間関係」「長時間労働の常態化」「不透明な評価制度」などが理由であった場合、それらの問題が現在も改善されていなければ、本人の期待を裏切ることになりかねません。

待遇(給与・役職)決定の難しさ

アルムナイ社員の待遇決定は非常に難しい問題です。 「在籍時の評価」と「他社での経験・スキルアップ」をどのように加味して決定するか、明確な基準が必要です。

在籍時の給与をベースにするのか、それとも他社での実績を最大限評価するのか。既存社員の給与テーブルとの整合性をどう取るのかは、慎重に検討しなければなりません。

【関連】アルムナイ採用の待遇はどう決める?適切な決め方と注意点を解説

「昔のやり方」への固執と柔軟性の欠如

本人は昔の感覚で戻ってきたつもりでも、会社は日々変化しています。 「自分のいた頃はこうだった」「前のやり方の方が効率が良かった」と、現在のルールや新しいやり方を受け入れられず、柔軟性を欠いてしまうケースがあります。

いわゆる「浦島太郎状態」が、周囲との軋轢(あつれき)を生む原因となることもあります。

企業が正社員のアルムナイ採用を成功させるための具体的なステップ

これらのデメリットを回避し、正社員アルムナイ採用を成功させるためには、どうすれば良いのでしょうか。中小企業でもすぐに実行可能な4つのステップをご紹介します。

1.アルムナイ採用に特化したツールの導入

まずは、「なぜアルムナイ採用を行うのか」という目的を社内で共有し、アルムナイ採用に特化したツールを活用することが効果的です。

スモールスタートであれば手動での管理も可能ですが、社内での情報管理や社員の使いやすさを考慮した場合、アルムナイ採用に特化したツールの導入をしたほうが最終的なコスト削減にも繋がる可能性があります。

伴走支援も同時に行えるサービスを選べば、人事担当者の工数削減にもなり有効的です。

【関連】アルムナイ採用を成功に導くツールとは?メリット・機能から導入の注意点まで解説

2.退職者との「つながり」を維持する仕組みづくり

アルムナイ採用は、退職者との「つながり」がなければ始まりません。 重要なのは、退職を「縁切り」にしないことです。退職時にはこれまでの感謝を伝え、円満な関係で送り出す企業文化を醸成しましょう。

大企業のように高価な専用システムを導入できなくても、中小企業でもできることはあります。

  • 退職者専用のSNSグループを作成する
  • 定期的に近況報告や会社のニュースを送るメーリングリストを管理する
  • OB/OGを招いた小規模な交流会を開催する

こうした地道な関係維持が、未来の採用資産となります。

3.公平性を担保した「選考プロセス」の設計

「戻りたい」と連絡があったら即採用、というプロセスは危険です。必ず、通常の正社員中途採用と同様、あるいはそれに準じた面談(面接)プロセスを踏んでください。

これにより、既存社員への説明責任を果たすことができます。面談では以下の点を確認しましょう。

  • 退職後の具体的な経験と、そこで得たスキル
  • (もしあれば)当時の退職理由と、それが現在どのように解消されているか
  • なぜ再び自社で正社員として働きたいのかという熱意
  • 期待する役割と待遇(給与・役職)の丁寧なすり合わせ

4.受け入れ体制の整備と「既存社員」へのケア

採用が決定したら、受け入れ体制を万全にします。 アルムナイ社員本人には、改めて現在の会社のルールや期待する役割を明確に伝える「オンボーディング(受け入れ研修)」を実施しましょう。

同時に、最も重要なのが既存社員へのケアです。 受け入れ部署のメンバーや全社に対し、「なぜ今回アルムナイ採用に至ったのか」「彼(彼女)にどのような役割を期待しているのか」を丁寧に説明し、不公平感や憶測が生まれないよう配慮することが、成功の鍵となります。

おすすめのアルムナイ採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。「リファアルム」を使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。

1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。

アルムナイ採用でお困りの企業様は、「リファアルム」にお問い合わせください

本記事で解説してきたように、正社員のアルムナイ採用は、採用難やミスマッチに悩む企業にとって、非常に有効な採用戦略の一つです。

即戦力の確保、採用・教育コストの削減、ミスマッチの防止といった直接的なメリットに加え、他社で培われた新しい知見を社内に取り入れる絶好のチャンスでもあります。

成功の鍵は、感情論や成り行きで進めるのではなく、明確な基準と公平なプロセスを設計すること。そして、「退職者=裏切り者」と捉える古い価値観を捨て、「一度は自社で頑張ってくれた仲間・卒業生」として尊重し、退職後も良好な関係を維持する仕組みを構築することです。

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