アルムナイ採用は費用が高い? 企業が知るべきコストと削減の方法
				「採用活動を行っても、なかなか募集が集まらない」 「求める人材が採用できても、すぐに辞退してしまう」 「採用人数は変わらないのに、採用コストばかりが増え続ける」
経営者様、人事担当者様の中には、こうした採用に関する根深い悩みを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
特に、人材紹介会社への手数料や求人広告費の高騰は、企業の経営にとって決して小さくない負担となっています。
こうした状況下で、従来の採用手法とは異なるアプローチとして「アルムナイ採用(出戻り採用)」が改めて注目されています。
しかし、「導入に費用がかかるのでは?」「どれくらいのコストメリットがあるのか?」と、具体的な費用面で二の足を踏んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、アルムナイ採用にかかる具体的な費用とその内訳、既存の手法と比較した費用対効果、そして中小企業が低コストで始めるための実践的な方法を分かりやすく解説します。
もくじ
アルムナイ採用とは?
アルムナイ(Alumni)とは、ラテン語で「卒業生・同窓生」を意味する言葉です。そこから転じて、ビジネスシーンでは「企業の退職者」を指します。
つまり、アルムナイ採用とは「企業の退職者を再雇用する採用手法」のことです。
「それなら、昔からある『出戻り採用』と同じでは?」と思われるかもしれません。 確かに、退職者を再び雇うという点では同じです。しかし、アルムナイ採用は、単なる欠員補充のための「出戻り」とは一線を画します。
アルムナイ採用が従来と異なるのは、企業と退職者が「退職後も継続的な関係性(アルムナイ・ネットワーク)を築き、その関係性の中から再雇用につなげる」という、戦略的な取り組みである点です。
なぜ今、アルムナイ採用が注目されるのか
では、なぜ今、このアルムナイ採用が注目されているのでしょうか。背景には、主に3つの要因があります。
- 労働人口の減少と採用競争の激化
少子高齢化に伴い、労働力人口は減少の一途をたどっています。限られた人材を多くの企業が奪い合う「売り手市場」が続き、従来の採用手法だけでは優秀な人材を確保することが難しくなっています。 - 転職の一般化
終身雇用が当たり前だった時代とは異なり、キャリアアップや働き方の多様化のために転職することは一般的になりました。「一度会社を辞めたら裏切り者」といったネガティブな価値観は薄れ、企業も退職者も、再雇用に対して柔軟な考え方を持つようになっています。 - 既存の採用手法のコスト高騰
冒頭でも触れた通り、人材紹介の手数料や求人広告費は高止まりしています。特に中小企業にとって、採用コストの増大は経営を圧迫する深刻な課題であり、コストを抑えられる新たな採用チャネルが求められています。 
アルムナイ採用にかかる費用の内訳と相場
アルムナイ採用の費用は、大きく「ネットワーク構築・維持費(固定費)」と「採用(再雇用)時の費用(変動費)」の2つに分けられます。
ネットワーク構築・維持にかかる費用(固定費)
アルムナイ(退職者)との継続的な関係性を維持するために必要なコストです。この費用は、どのような方法で運営するかによって大きく異なります。
■例:専用ツール・システムを導入する場合
- 費用の目安
初期費用(数万~数十万円)+ 月額費用(数万~数十万円) - 主な機能
・アルムナイ名簿(データベース)の一元管理
・アルムナイ限定のコミュニティサイト構築
・メールマガジン配信、イベント告知・管理 - メリット
名簿管理や情報発信が効率化でき、交流も活性化させやすいです。専任の担当者を置かなくても運用しやすい点が魅力です。 - デメリット
導入コスト・ランニングコストがかかります。アルムナイの人数が少ない中小企業にとっては、費用対効果が見合わないケースもあります。 
【関連】アルムナイ採用のコストは安い?費用内訳と主要採用手法との比較を徹底解説
採用(再雇用)時にかかる費用(変動費)
次に、実際にアルムナイを再雇用する際にかかる費用です。これは、どのような経路で再雇用に至ったかで決まります。
- 自社ネットワーク経由の場合
・自社で構築したネットワーク(パターンB)や、アルムナイからの紹介(リファラル)を通じて直接応募があり、再雇用に至った場合、求人広告費や人材紹介手数料は一切かかりません。
・企業によっては、再雇用時のインセンティブ(お祝い金)や、紹介してくれたアルムナイへの謝礼(リファラルボーナス)を設定する場合があります。その場合は、その費用が変動費としてかかります。 - 人材紹介会社経由の場合
・退職者が自社のアルムナイ・ネットワークを知らず、他社の転職エージェントに登録し、そこ経由で自社に応募してきた場合です。この場合は、たとえ退職者であっても、通常の中途採用と同様に高額な紹介手数料が発生してしまいます。 
アルムナイ採用における費用は安い?
採用コストの増加に悩む人事担当者様にとって、アルムナイ採用がどれほど魅力的か、既存の手法と比較してみましょう。
採用コスト(直接費用)の比較
仮に、年収500万円の人材を1名採用する場合にかかる「直接的な費用」を比較します。
- 人材紹介を利用した場合
・費用:約150万 ~ 175万円(手数料率30~35%の場合)
・特徴:成功報酬型だが、手数料が非常に高額。 - 求人広告(転職サイト)を利用した場合
・費用:数十万 ~ 数百万円(掲載媒体やプランによる)
・特徴:採用できてもできなくても費用が発生する(掲載課金型の場合)。 - アルムナイ採用(自社ネットワーク)を利用した場合
・費用:0円(※インセンティブ費用を除く)
・特徴:採用プロセスにかかる直接費用がほぼ発生しない。 
このように、アルムナイ採用は、採用手数料という最大のコストをゼロにできる強力な可能性を秘めています。
アルムナイ採用の費用における「隠れコスト」の削減
アルムナイ採用の費用におけるメリットは、目先の採用コスト削減だけではありません。入社後に発生しがちな「隠れコスト」を大幅に削減できる、非常に費用対効果(ROI)の高い手法です。
ミスマッチによる早期離職コストの削減
- アルムナイは、自社の企業理念、社風、人間関係、そして業務内容の良い面も悪い面も理解した上で、「それでも戻りたい」と判断して応募してきます。
 - 入社後のギャップ(「こんなはずじゃなかった」)が極めて少なく、早期離職のリスクを大幅に低減できます。早期離職に伴う「再募集・再教育」といった無駄なコストが発生しません。
 
教育・研修コストの削減(即戦力化)
- 新卒や中途採用者とは異なり、基本的な業務ルールや企業文化をすでに理解しています。
 - ゼロから教える必要がないため、オンボーディング(受け入れ研修)にかかる時間と費用を大幅に圧縮できます。即戦力として、早期に活躍してもらえる可能性が非常に高いです。
 
他社で得た経験・スキルの還元
- 退職後に他社で培った新しい知識、スキル、異なる視点、そして新たな人脈を自社に持ち帰ってくれます。
 - 単なる「元通りの戦力」として戻ってくるのではなく、組織に新たな風を吹き込み、イノベーションのきっかけとなる「付加価値」も期待できます。
 
アルムナイ採用の費用を含むデメリットと注意点
アルムナイ採用で発生する費用やアルムナイの待遇等については、以下の点に注意が必要です。
- ネットワーク構築・運用の手間(人件費)
関係性を維持するためには、定期的な情報発信やコミュニケーションが必要です。「マンパワーが足りない」という中小企業にとっては、この運用コスト(人件費)が一番の課題になるかもしれません。 - 既存社員とのバランス調整
再雇用時の待遇(役職、給与)には細心の注意が必要です。他社での経験をどう評価するのか、既存社員が「一度辞めたのに優遇されている」といった不公平感を抱かないよう、明確なルール整備が不可欠です。 - 対象者の見極め
当然ながら、アルムナイ採用の対象は「円満退職者」が基本です。ネガティブな理由で退職した層との関係構築は困難ですし、再雇用は避けるべきでしょう。 
【関連】アルムナイ採用の導入前に知っておくべきデメリットとは?具体的な対策と成功に導くポイントを解説
アルムナイ採用の費用を抑えて始める3ステップ
アルムナイ採用をできる限り費用を抑えた上で取り組むための3つのステップを紹介します。
まずは「円満退職者リスト」の作成から
最初から完璧なデータベースを目指す必要はありません。まずはExcelやGoogleスプレッドシートで構いませんので、過去の円満退職者の情報を整理してみましょう。
- 氏名、在籍時の部署・役職
 - 連絡先(在職中に同意を得た個人のメールアドレスやSNSアカウント)
 - 退職理由(ポジティブなもの)
 - 在籍時の活躍ぶり、人柄
 
このリストが、アルムナイ・ネットワークの第一歩となります。
アルムナイ採用制度を社内に周知する
意外と見落としがちなのが、社内への周知です。「うちは出戻りを歓迎する」という経営トップの姿勢を、社内報や朝礼、ミーティングの場などで明確に伝えましょう。
これにより、既存社員が元同僚に「最近どう?うちの会社、戻ってこない?」と気軽に声をかける(リファラル採用)きっかけにもなります。アルムナイ・ネットワークとリファラル採用を組み合わせることで、採用チャネルはさらに強力になります。
【関連】アルムナイ採用を社内で成功させる方法は?導入の進め方と説得のコツ
アルムナイ採用に特化したツールを導入する
上記で紹介したデータベースの整備や社内周知の手軽さなどは、アルムナイ採用に特化したツールを導入することでより活用が簡易的になります。
アルムナイとの関係構築(コミュニケーション)を円滑化し、情報管理も行えることで、アルムナイ採用を成功へと導くことができます。
【関連】アルムナイ採用を成功に導くツールとは?メリット・機能から導入の注意点まで解説
おすすめのアルムナイ採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。「リファアルム」を使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。
1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。
アルムナイ採用でお困りの企業様は、「リファアルム」にお問い合わせください
本記事では、アルムナイ採用にかかる費用と、費用対効果について解説しました。
アルムナイ・ネットワークの構築・維持には、一定の手間(人件費)や、やり方によってはシステム費用がかかる場合があります。
しかし、一度ネットワークが機能し始めれば、採用時の広告費・紹介手数料といった高額な直接コストを劇的に削減できる可能性を秘めています。
「アルムナイ採用について、専門家のアドバイスが欲しい」
「アルムナイ採用を始めたいが、何から手を付けたら良いか分からない」
といったお悩みをお持ちの採用担当者様も多いのではないでしょうか。
そのようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ弊社の「リファアルム」にご相談ください。
ただツールを入れてもリファラル、アルムナイ採用が増えるとは限りません。
当社では経験豊富な採用コンサルタントが設計から運用までワンストップで支援します。
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