アルムナイ採用を活性化させる方法とは?企業が押さえるべきポイントを解説
				近年、労働力人口の減少や採用競争の激化を背景に、「アルムナイ採用」に注目が集まっています。アルムナイ(Alumni)とは「卒業生」を意味する言葉で、企業の退職者を指します。一度退職した人材を再び雇用するこの手法は、即戦力の確保や採用コストの削減が期待できるため、多くの企業が導入を検討・開始しています。
しかし、「制度を導入してみたものの、期待したほど応募が来ない」「退職者との関係構築が上手くいかない」など、アルムナイ採用の「活性化」に悩む経営者・人事担当者様も多いのではないでしょうか。
アルムナイ採用の活性化は、採用課題を解決するだけでなく、組織全体の強化にも繋がる重要な取り組みです。
本記事では、アルムナイ採用が活性化しない根本的な原因を解き明かし、退職者との良好な関係を築き、採用成功につなげるための具体的なステップを分かりやすく解説します。
もくじ
アルムナイ採用が活性化している状態とは?
まず、アルムナイ採用が「活性化している」とは、どのような状態を指すのでしょうか。
単に「退職者の再雇用制度がある」というだけでは、活性化しているとは言えません。
「活性化している」とは、アルムナイ(退職者)が自社の「貴重な人的資産(タレントプール)」であるという認識のもと、企業とアルムナイの間で、継続的かつ良好な関係性が構築できている状態を指します。
具体的には、以下のような状態が挙げられます。
- アルムナイから再入社の応募が定期的に、かつ自然に集まる
 - アルムナイが自社の「応援団」となり、リファラル採用(知人紹介)の重要なハブとして機能する
 - アルムナイとの情報交換や交流イベントが、現役社員の刺激や新たなビジネスチャンスの創出にも繋がっている
 
アルムナイ採用の活性化とは、単なる採用チャネルの開拓に留まらず、社外に自社の理解者を増やし、組織全体の力を底上げする取り組みなのです。
アルムナイ採用が活性化しない4つの要因
では、なぜ多くの企業でアルムナイ採用が上手く活性化しないのでしょうか。よくある失敗要因を4つの側面に分けて見ていきましょう。
退職時の関係構築(Off-boarding)の不備
アルムナイとの関係性は「退職時」から始まっています。
- 退職理由が人間関係や評価への不満など、ネガティブなものであるにも関わらず、それを解消しないまま関係が途切れている。
 - 退職手続きが事務的で、「いつでも戻ってきてほしい」「他社での経験を積んだあなたを歓迎する」といったポジティブなメッセージが伝わっていない。
 - そもそも「円満退職」を推奨し、送り出す文化が社内に醸成されていない。
 
退職時にネガティブな印象を抱いたままでは、アルムナイが「またあの会社で働きたい」と思うはずがありません。
【関連】アルムナイ採用の成功は「関係構築」が9割!退職後もつながりを保つ方法と注意点とは
アルムナイ・コミュニティの設計・運用が不十分
制度を作ったものの、その後の「運用」が伴っていないケースです。
- 退職者の連絡先を管理しているだけ(名簿が死蔵している)。
 - グループやツールなどでコミュニティを作ったものの、情報発信がなく放置されている。
 - 発信する情報が「求人募集」ばかりで、アルムナイにとってメリットを感じられず、コミュニティが活性化しない。
 
「繋がり続ける」ための仕組みと、継続的な運用の設計が不可欠です。
【関連】アルムナイ採用を成功させるコミュニティの作り方と運営のコツ
社内(現役社員)の理解不足と抵抗感
アルムナイ(退職者)側だけでなく、社内(現役社員)側に問題があるケースも少なくありません。
- 「一度辞めた人間を優遇するのか」といった、現役社員の不公平感や心理的な抵抗。
 - 「出戻り」という言葉に対するネガティブなイメージが払拭できていない。
 - 経営層や人事だけがアルムナイ採用を推進しようとし、現場の管理職や社員の理解・協力が得られておらず、受入体制が整っていない。
 
現役社員の理解なくして、アルムナイが戻りやすい環境を作ることはできません。
アルムナイ側へのメリット・条件が不明確
アルムナイが再入社を検討する際、具体的なメリットや条件が不明確であると、応募をためらってしまいます。
- アルムナイが「古巣に戻る」ことで得られるメリット(魅力)を提示できていない。
 - 他社での経験やスキルアップを、再入社時にどのように評価するかが不明確。
 - 再入社時の処遇(給与、役職、勤続年数の扱い)に関するルールが整備されておらず、アルムナイ側が不安を感じてしまう。
 
アルムナイ採用を活性化させる5つの実践ステップ
では、これらの失敗要因を踏まえ、アルムナイ採用を活性化させるためには具体的に何をすべきでしょうか。ここでは、5つのステップに分けて解説します。
「円満退職」の仕組み化とアルムナイ登録の促進
活性化の第一歩は「退職時(Off-boarding)」の対応強化です。
- 退職面談(出口調査)の徹底
退職理由を真摯にヒアリングします。特にネガティブな理由(制度や環境への不満)があれば、それを「貴重なフィードバック」として受け止め、改善姿勢を見せることが重要です。 - ポジティブなメッセージの発信
「他社での経験も、会社の財産になる」「いつでも相談に戻ってきてほしい」というポジティブなメッセージを、人事だけでなく、経営者や直属の上司からも伝える文化を作ります。 - アルムナイ・コミュニティへの登録促進
退職時に「会社の最新情報や、アルムナイ同士の交流の場として」コミュニティへの参加を(必ず本人の同意を得た上で)打診します。 
自社に合ったアルムナイ・コミュニティの構築
次に、アルムナイとの「接点」となるコミュニティを構築します。
- 目的の明確化
まずは目的(情報発信、交流、再雇用)を明確にします。 - ツール選定
目的や自社のリソースに合わせてツールを選びます。
・アルムナイ専門の採用管理ツール
・アルムナイ・コミュニティツール - 中小企業の場合
まずはExcelでの名簿管理と、人事担当者からの定期的なメール連絡(メルマガ形式)からでも構いません。スモールスタートで「継続すること」を重視しましょう。 
アルムナイにとって「価値ある」コミュニケーションの継続
ここがアルムナイ採用活性化における最重要ポイントです。 コミュニティは「作って終わり」ではありません。
- NGなコミュニケーション
求人情報ばかりを一方的に送りつけること。これではアルムナイは「採用ターゲット」としてしか見られていないと感じ、心が離れてしまいます。 - OKなコミュニケーション(価値ある情報)
アルムナイが「古巣と繋がっていて良かった」と思える情報を提供します。
・会社の近況(新サービス、メディア掲載、社内イベントの様子など)
・業界の最新トレンドやお役立ち情報
・他のアルムナイの活躍紹介(インタビュー記事など)
・アルムナイ限定の交流会(オンライン/オフライン)
・現役社員も参加する勉強会やセミナーへの招待 
「採用」を前面に出しすぎず、「繋がり続けること」自体に価値を持たせることが、結果的に再入社やリファラルに繋がります。
【関連】アルムナイ採用成功の鍵は「コミュニケーション」にあり!退職後も関係を繋ぐ具体的な方法と実践ポイント
社内の受入体制とポジティブな風土づくり
アルムナイが戻りやすい環境を作るため、社内(現役社員)への働きかけも並行して行います。
- 経営者からのメッセージ発信
経営者が「アルムナイは会社の貴重な財産である」「多様な経験が会社を強くする」というメッセージを明確に発信し、アルムナイ採用の意義を社内に浸透させます。 - メリットの共有
アルムナイ採用がもたらすメリット(即戦力による現場負担の軽減、教育コストの削減、組織の活性化など)を、現役社員にも丁寧に説明します。 - ロールモデルの紹介
実際に再入社したアルムナイが活躍している姿を「ロールモデル」として社内報などで紹介し、ポジティブなイメージを醸成します。 
再入社ルールの整備とリファラルの促進
アルムナイが具体的な行動(応募)に移しやすいよう、ルールを整備します。
- 再入社ルールの透明化
再入社時の処遇(給与、役職、勤続年数の扱い)に関するルールを明確にします。他社での経験やスキルを適正に評価する基準を設けることが重要です。 - 選考プロセスの簡略化
自社の文化や業務を既に理解しているため、選考プロセスの一部(例:一次面接や適性検査)を免除するなど、アルムナイ専用の選考フローを検討します。 - リファラル(紹介)制度の促進
アルムナイからの知人紹介(リファラル採用)制度を整備し、インセンティブを設けるなどして、アルムナイを「採用のハブ」としても機能してもらいます。 
【関連】アルムナイ採用の進め方5ステップ!退職者を即戦力に変える方法とは?
アルムナイ採用における活性化のヒント
「ここまでの内容は理解したが、大企業ならともかく、リソースの限られる企業では難しいのでは?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、実際にはアルムナイ採用を活性化させやすい強みがあります。
「経営者・人事」と「アルムナイ」の人間関係の近さを活かす
大企業と比べて、経営者や人事、当時の上司とアルムナイ(元社員)との距離が近いことは、中小企業の最大の強みです。
- システム的なコミュニティ運営に固執せず、経営者や人事がSNSなどでパーソナルに繋がり、定期的に「いいね!」を押したり、「最近どうですか?」とカジュアルにコンタクトを取ったりするだけでも、関係性は維持できます。
 - 人間的な「情」や「信頼関係」が、アルムナイの「また戻りたい」という気持ちを育みます。
 
カジュアルな接点から関係性を維持する
例えば、人の入れ替わりが比較的多い飲食企業やサービス業では、以下のようなカジュアルな接点で関係性を維持している事例があります。
- 退職者(アルムナイ)向けの割引制度を設け、顧客として来店してもらう。
 - 新メニューの試食会や、店舗の記念イベントに招待する。
 
こうした「ゆるやかな繋がり」が、「またこの会社(お店)のために働きたい」という動機付けに繋がることがあります。
リソース不足を補う「アルムナイ採用に特化したツール」の活用
専任担当者を置くことが難しい企業こそ、管理や連絡の工数を削減する「アルムナイ採用に特化したツール」が必要です。
名簿管理や定期的な情報発信は、非常に地道で手間のかかる業務です。「アルムナイ・コミュニティの運営まで手が回らない」「他の採用業務でマンパワーが足りない」という場合は、アルムナイ採用に特化したツールを活用し、これらの業務を簡易化するのも賢明な選択肢です。
【関連】アルムナイ採用を成功に導くツールとは?メリット・機能から導入の注意点まで解説
おすすめのアルムナイ採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。「リファアルム」を使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。
1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。
アルムナイ採用でお困りの企業様は、「リファアルム」にお問い合わせください
本記事では、アルムナイ採用の活性化について、企業が押さえるべきポイントを解説してきました。
アルムナイは、他社での新しい経験や知見を積んだ「即戦力候補」であると同時に、自社の文化やビジネスを深く理解する「強力な応援団」でもあります。
アルムナイ採用を活性化させ、継続的なコミュニケーションという「人的投資」を行うことは、目先の採用コスト削減だけでなく、未来の採用課題を解決し、会社を強くする基盤となります。
しかし、「アルムナイ採用について、専門家のアドバイスが欲しい」
「アルムナイ採用を始めたいが、何から手を付けたら良いか分からない」
といったお悩みをお持ちの採用担当者様も多いのではないでしょうか。
そのようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ弊社の「リファアルム」にご相談ください。
ただツールを入れてもリファラル、アルムナイ採用が増えるとは限りません。
当社では経験豊富な採用コンサルタントが設計から運用までワンストップで支援します。
リファラル、アルムナイ採用成功のために必要なノウハウと実務支援、マネジメントをプロの人事チームが顧客の採用成功まで伴走します。
アルムナイ採用、そして採用活動全体でお困りのことがございましたら、まずはお気軽に下記よりお問い合わせください。