アルムナイ採用の課題7選!原因と具体的な解決策を徹底解説

「即戦力として期待できるアルムナイ採用。導入してみたは良いものの、思うように応募が集まらない…」 「これから導入を検討しているが、既存社員との間に軋轢が生まれないか不安だ…」
優秀な人材を確保するための新たな一手として注目されるアルムナイ採用ですが、このような課題や不安を抱えている経営者・人事担当者の方は少なくありません。
アルムナイ採用は、単に制度を作って待っているだけでは成功しません。成功のためには、起こりうる課題を事前に理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。
本記事では、その知見をもとに、アルムナイ採用で直面しがちな課題とその解決策を、具体的なステップで分かりやすく解説します。
もくじ
アルムナイ採用とは?
「アルムナイ(alumni)」とは、直訳すると「卒業生」や「同窓生」を意味する言葉です。そこから転じて、ビジネスの世界では企業の「退職者」や「OB/OG」を指します。
つまりアルムナイ採用とは、一度自社を退職した人材を、再び社員として雇用する採用手法のことです。
労働人口の減少や転職の一般化により、人材獲得競争が激化する現代において、企業は新たな人材のプールを探す必要に迫られています。その中で、自社のことを深く理解してくれている「アルムナイ」という貴重な人材資産に、再び光が当たり始めたのです。
アルムナイ採用のメリット
アルムナイ採用は、企業とアルムナイ(退職者)の双方にとって、多くのメリットがあります。
- 企業側のメリット
- 即戦力化が早い
企業文化や事業内容を理解しているため、早期の活躍が期待できます。 - ミスマッチが少ない
お互いの長所も短所も理解しているため、入社後のミスマッチが起こりにくいです。 - 採用コストの削減
人材紹介などに頼らないため、採用にかかる費用や時間を大幅に削減できます。 - エンゲージメント向上
「出戻りも歓迎する」という姿勢が、既存社員のエンゲージメント向上にも繋がります。
- 即戦力化が早い
- アルムナイ側のメリット
- スムーズな適応
勝手知ったる環境のため、新しい職場への適応がスムーズです。 - キャリアアップ
他社で培ったスキルや経験を、古巣で活かし貢献できます。 - 安心感
企業文化や人間関係を把握しているため、安心して業務に集中できます。
- スムーズな適応
これらのメリットを再確認すると、これから解説する課題を乗り越えてでも、アルムナイ採用に取り組む価値があることをご理解いただけるでしょう。
【関連】今、注目すべき「アルムナイ採用」5つのメリットと成功の秘訣
アルムナイ採用における課題と解決策
それでは、本題であるアルムナイ採用の課題について見ていきましょう。ここでは、採用プロセスを「設計・準備段階」「運用段階」「再入社後」の3つのフェーズに分け、それぞれの段階でつまずきやすい課題と具体的な解決策をセットで解説します。
【設計・準備段階】の課題
1.退職者の情報が管理できていない
いざアルムナイ採用を始めようと思っても、「誰がどこで何をしているのか全く分からない」という状態では、アプローチのしようがありません。
- 原因
- 退職後の連絡先(プライベートのメールアドレスやSNSアカウント)を把握していない。
- 誰がどのようなスキルを持ち、どんな理由で退職したのか、情報がデータとして残っていない。
- 解決策
- 退職者データベースを構築する
まずは過去の退職者情報を可能な限り掘り起こし、リスト化しましょう。 - 円満退職時のフローを確立する
今後の退職者には、退職手続きの一環として、アルムナイ・ネットワークへの登録(任意)を案内し、今後の連絡先や情報提供の同意を得る仕組みを作りましょう。「今後のキャリアでまたご縁があれば」とポジティブに伝えることが大切です。
- 退職者データベースを構築する
2.社内(特に既存社員)の理解や協力が得られない
経営層や人事部が乗り気でも、現場の社員から「一度会社を辞めた人を、なぜ優遇するのか」といった反発が生まれるケースは少なくありません。
- 原因
- 「退職=裏切り」といった古い価値観が根付いている。
- 出戻り社員の処遇(給与や役職)に対して、既存社員が不公平感を感じてしまう。
- 解決策
- 導入目的とメリットを丁寧に説明する
なぜアルムナイ採用を行うのか、それが会社や既存社員にとってどのようなプラスになるのかを、全社に向けて丁寧に説明しましょう。 - 公平な評価・処遇制度を明文化する
アルムナイの処遇は、他社での経験やブランク期間を考慮した、誰もが納得できる客観的な基準を設けて明文化し、公開することが重要です。
- 導入目的とメリットを丁寧に説明する
【関連】アルムナイ採用を社内で成功させる方法は?導入の進め方と説得のコツ
【運用段階】の課題
3.退職後のアルムナイと関係性を維持できない
退職者の連絡先リストはあっても、退職後は完全に接点がなくなり、いざという時に声をかけづらい関係になってしまいます。
- 原因
- 退職後に連絡するきっかけや口実がない。
- 会社側からの一方的な情報発信になってしまい、コミュニケーションが生まれない。
- 解決策
- アルムナイ限定のSNSグループやコミュニティを作る
Facebookグループなどを活用し、気軽に情報交換できる場を提供しましょう。 - 定期的な情報発信を行う
社内報やプレスリリース、イベント情報などを定期的に発信し、会社の「今」を伝え続けましょう。OB/OG訪問の依頼なども有効です。 - 交流会を企画する
年に1〜2回程度の同窓会やオンライン交流会を企画し、直接顔を合わせる機会を作ることも関係維持に繋がります。
- アルムナイ限定のSNSグループやコミュニティを作る
4.制度はあっても、肝心の応募が集まらない
アルムナイ採用制度を整備し、門戸を開いているにもかかわらず、一向に応募が来ないという悩みもよく聞かれます。
- 原因:
- アルムナイ採用制度があること自体が、退職者に認知されていない。
- 退職者側が「出戻り」に対して、後ろめたさや気まずさといった心理的ハードルを感じている。
- 募集しているポジションが、アルムナイにとって魅力的ではない。
- 解決策
- 制度を積極的に周知する
上記のSNSグループやメーリングリストなどを通じて、「私たちはいつでもあなたを歓迎します」というメッセージと共に、制度を積極的に発信しましょう。 - カジュアル面談を実施する
すぐに選考に進むのではなく、「まずは近況報告がてら、一度お話ししませんか?」といった形で、心理的ハードルを下げる工夫が有効です。 - リファラル採用と組み合わせる
既存社員を通じて、退職した元同僚に声をかけてもらうのも効果的な方法です。
- 制度を積極的に周知する
【再入社後】の課題
5.処遇(給与・役職)の決定が難しい
アルムナイが他社で培ったスキルや経験を、どのように評価し、給与や役職に反映させるかは非常に難しい問題です。
- 原因
- 他社での経験やスキルを評価するための客観的な基準が社内に存在しない。
- 在籍年数とブランク期間、そして他社での経験のバランスの取り方が難しい。
- 解決策
- 再雇用者向けの明確な評価基準を設定する
アルムナイ採用専用の給与テーブルや役職基準を設けるのが理想です。事前に「他社での経験は、当社の基準に照らし合わせるとこのように評価します」というルールを決めておきましょう。 - 本人と十分なすり合わせを行う
評価基準を提示した上で、本人と十分に対話し、双方が納得できる着地点を見つけるプロセスが不可欠です。
- 再雇用者向けの明確な評価基準を設定する
【関連】アルムナイ採用の待遇はどう決める?適切な決め方と注意点を解説
6.既存社員との間に軋轢(あつれき)が生まれる
再入社したアルムナイが、知らず知らずのうちに既存社員との間に溝を作ってしまうことがあります。
- 原因
- 会社側が出戻り社員に過度な期待をかけ、特別扱いしているように見えてしまう。
- アルムナイが過去のやり方に固執し、既存社員のやり方を軽視するような言動をとってしまう。
- 解決策
- 再入社者へのオンボーディングを徹底する
「元社員だから大丈夫だろう」と放置せず、新人同様に現在の会社のルールや人間関係について丁寧にオンボーディング(受け入れ研修)を行いましょう。 - コミュニケーションを促進する
歓迎ランチ会を開いたり、メンターをつけたりするなど、部署内で意図的にコミュニケーションの機会を創出することが大切です。
- 再入社者へのオンボーディングを徹底する
7.期待したパフォーマンスを発揮できない
即戦力として期待していたアルムナイが、思うように活躍できないケースもあります。
- 原因
- 本人が知らない間に、社内のルールやシステム、事業内容が大きく変化しており、ついていけない。
- 過去の成功体験に固執してしまい、新しい環境に適応できない。
- 解決策
- 入社前に十分な情報を提供する
面談の段階で、在籍時からの変化(組織体制、ツール、事業内容など)を包み隠さず伝え、認識のズレをなくしておきましょう。 - 期待値のすり合わせを行う
「再入社後は、このポジションで、このような役割を期待しています」という期待値を具体的にすり合わせ、本人の認識とのギャップを埋めておくことが重要です。
- 入社前に十分な情報を提供する
アルムナイ採用の課題を乗り越え、成功に導く3つのポイント
ここまでアルムナイ採用の具体的な課題と解決策を見てきましたが、最後に、これらを乗り越えてアルムナイ採用を成功させるための本質的なポイントを3つご紹介します。
退職を「裏切り」ではなく「卒業」と捉える企業文化を育む
最も重要なのは、会社の根底にある価値観です。社員が退職する際に、ネガティブな雰囲気で送り出すのではなく、「うちの会社を卒業して、外の世界でさらに成長してきてほしい」というポジティブな文化を育てることが、将来の採用資産に繋がります。円満な退職が、アルムナイ採用成功の第一歩です。
“誰でもOK”にしない。明確な制度設計と公平な運用ルール
アルムナイ採用は、決して「辞めた人なら誰でもウェルカム」という制度ではありません。対象となる人物像(例:勤続3年以上、円満退職者など)や、再雇用のプロセス、公平な評価・処遇といったルールを事前に明確に定め、全社で共有することが、制度への信頼性を担保し、無用なトラブルを防ぎます。
アルムナイ採用に特化したツール等を活用する
退職者の情報管理や進捗状況の把握は、アルムナイ採用ツールの活用も効果的となります。
リファアルム等のアルムナイ採用に特化したツールを導入することで、アルムナイネットワークにおけるコミュニケーションを円滑化し、アルムナイ採用の成功へと導くことができます。
【関連】アルムナイ採用を成功に導くツールとは?メリット・機能から導入の注意点まで解説
おすすめのアルムナイ採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。「リファアルム」を使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。
1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。
アルムナイ採用でお困りの企業様は、「リファアルム」にお問い合わせください
本記事では、アルムナイ採用で直面しがちな7つの課題を、具体的な解決策と共に解説してきました。
アルムナイ採用は、即戦力の確保や採用コストの削減など、多くのメリットをもたらす非常に有効な採用手法です。しかし、その成功のためには、退職者との継続的な関係構築や、既存社員への配慮を含めた戦略的な準備と運用が不可欠です。
しかし、「アルムナイ採用について、専門家のアドバイスが欲しい」
「アルムナイ採用を始めたいが、何から手を付けたら良いか分からない」
といったお悩みをお持ちの採用担当者様も多いのではないでしょうか。
そのようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ弊社の「リファアルム」にご相談ください。
ただツールを入れてもリファラル、アルムナイ採用が増えるとは限りません。
当社では経験豊富な採用コンサルタントが設計から運用までワンストップで支援します。
リファラル、アルムナイ採用成功のために必要なノウハウと実務支援、マネジメントをプロの人事チームが顧客の採用成功まで伴走します。
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