アルムナイ採用のよくある失敗パターン7選!成功に導く5つの対策を解説

人材獲得競争が激しさを増す現代において、新たな採用手法として「アルムナイ採用」が注目を集めています。アルムナイとは「卒業生」を意味し、一度自社を退職した人材を再び雇用する採用活動のことです。
しかし、「元社員だから安心」と安易に導入した結果、「こんなはずではなかった…」と頭を抱える企業が少なくないのも事実です。
本記事では、アルムナイ採用を検討している、あるいはすでに導入して課題を感じている経営者・人事担当者の皆様に向けて、よくある失敗パターンとその原因を深掘りし、成功に導くための具体的な対策を解説します。
もくじ
「アルムナイ採用」とは?
アルムナイ採用とは、企業の退職者(アルムナイ)を、貴重な人的資産と捉え、再雇用の対象とする採用手法です。
よく似た制度に「再雇用制度」がありますが、再雇用制度が定年退職者を対象とすることが多いのに対し、アルムナイ採用は自己都合などで退職した若手・中堅層も含む、より広い範囲の退職者が対象となります。
重要なのは、「退職者=裏切り者」ではなく「退職者=他社での経験を積んだ、自社の文化を理解する貴重な人材」と捉えるマインドセットの転換です。この考え方が、アルムナイ採用を成功させるための第一歩となります。
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アルムナイ採用における失敗パターン7選
まずは、アルムナイ採用で陥りがちな失敗パターンを、具体的な事例を交えて見ていきましょう。自社でも起こりうることとして、ぜひ参考にしてください。
制度・ルールが曖昧で現場が混乱
営業部のAさんが、かつてのエースだったBさんを再雇用したいと人事に相談。しかし、社内にはアルムナイ採用に関する明確なルールがなく、給与や役職の決定、選考プロセスなどを全て場当たり的に進めることに。結果、現場と人事の間で何度も調整が発生し、受け入れまでに多大な時間と労力がかかってしまいました。
このように、誰が対象で、どのような手続きで、どのような処遇になるのかといったルールが曖昧なままでは、いざという時にスムーズな受け入れができず、現場の混乱を招いてしまいます。
「出戻り」に対する既存社員の反発
他社でスキルアップして戻ってきたCさん。会社は即戦力として期待し、退職前よりも高い役職で迎え入れました。しかし、既存社員からは「一度会社を辞めたのに優遇されている」「自分たちはずっと会社に貢献してきたのに…」といった不満の声が続出。社内の雰囲気が悪化し、Cさん自身も働きづらさを感じてしまいました。
アルムナイ採用の目的や処遇の決定理由などを既存社員に丁寧に説明しないと、不公平感が生まれ、組織全体の士気を下げてしまう原因になります。
退職者との関係が途絶えてしまう
業績拡大に伴い、即戦力人材が必要になったD社。「そういえば、5年前に辞めたEさんが今のポジションにぴったりだ」と思い立ちましたが、当時の連絡先はもう使われておらず、SNSでも見つけられず…。結局、アプローチすることすらできずに終わってしまいました。
退職者との接点を維持する仕組みがなければ、アルムナイは「潜在的な候補者」にすらなり得ません。いざという時に声をかけられる関係性を、普段から築いておくことが重要です。
処遇(給与・役職)でトラブルになる
Fさんは退職後、スタートアップでマネジメントを経験。その実績を評価され、古巣のG社に課長候補として戻る話が進んでいました。しかし、最終的な処遇提示で、在籍年数がリセットされ、給与が現職より大幅に下がることを知ります。「他社での経験を評価すると言っていたのに…」とFさんは不信感を抱き、最終的に辞退してしまいました。
退職期間中の経験やスキルをどう評価し、処遇に反映させるかは非常にデリケートな問題です。明確な評価基準がないと、本人も周囲も納得できず、トラブルの原因となります。
アルムナイの退職理由を軽視してしまう
長時間労働が原因で退職したHさん。数年後、人事から「働き方改革が進んだから戻ってこないか」と誘われ、再入社を決意しました。しかし、配属された部署は依然として昔ながらの体質で、長時間労働が常態化。結局、Hさんは「何も変わっていなかった」と失望し、わずか半年で再び退職してしまいました。
退職に至った根本的な原因(労働環境、人間関係、評価制度など)が改善されていなければ、たとえアルムナイが戻ってきても、同じ理由で再び離職してしまう可能性が非常に高いでしょう。
過度な期待によるミスマッチ
「元社員だから、すぐに馴染んでくれるだろう」 「うちのやり方はわかっているはずだ」 会社側は、再入社したIさんに即戦力としての活躍を過剰に期待し、十分な研修やサポートを行いませんでした。しかし、Iさんが在籍していた頃から社内のツールや業務フローは大きく変わっており、Iさんは誰にも質問できずに孤立。期待されたパフォーマンスを発揮できず、プレッシャーに苦しむことになりました。
たとえ元社員であっても、退職期間のブランクは存在します。通常のキャリア採用者と同じように、丁寧なオンボーディング(受け入れ・定着支援)が不可欠です。
単なる「人手不足の穴埋め」と考えてしまう
急な欠員が出たため、人事が手当たり次第に退職者に連絡。「誰でもいいから、とにかく頭数を揃えたい」という考えで採用を進めた結果、アルムナイのJさんが入社。しかし、Jさんが思い描いていたキャリアプランと、会社が用意したポジションが全く異なっており、仕事へのモチベーションが上がらないまま、早期離職につながってしまいました。
アルムナイ採用を、単なる欠員補充の安易な手段と捉えてはいけません。本人のキャリアプランを尊重し、会社の成長戦略と結びつけて考える視点がなければ、本当の意味での成功は望めません。
アルムナイ採用が失敗する3つの原因
ここまで見てきたアルムナイ採用における7つの失敗パターンは、突き詰めると以下の3つの根本的な原因に集約されます。
目的・戦略の欠如
「なぜ、アルムナイ採用をやるのか?」「アルムナイに、どのような役割を期待するのか?」といった目的が曖昧なまま、「流行っているから」「手軽そうだから」という理由だけで始めてしまうケースです。目的が定まっていなければ、制度設計も、既存社員への説明も、全てが中途半端になってしまいます。
コミュニケーション不足
既存社員への説明を怠り不公平感を生んでしまったり、退職者との継続的な関係を築けていなかったりと、コミュニケーションの不足が失敗の大きな要因となります。アルムナイ採用は、社内外への丁寧なコミュニケーションの上に成り立つものです。
受け入れ体制の不備
公平で透明性のあるルールや、再入社後のアルムナイをサポートするオンボーディング体制が整っていないことも、失敗につながります。「戻ってくれば終わり」ではなく、再入社後にスムーズに立ち上がり、定着・活躍してもらうための仕組みづくりが欠かせません。
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アルムナイ採用を成功に導く5つの対策
それでは、これらの失敗を回避し、アルムナイ採用を成功させるためには、具体的に何をすればよいのでしょうか。中小企業でもすぐに実践できる5つの対策をご紹介します。
確な制度設計とルール作りを行う
まずは、アルムナイ採用に関する社内ルールを明確に定めましょう。場当たり的な運用を防ぎ、誰にとっても公平な制度にすることが重要です。
- 対象者の条件を定める
- 例:勤続3年以上、円満退職であること、懲戒解雇でないこと など
- 再入社時の処遇(給与、役職)の決定プロセスを明確にする
- 例:退職中の経験・スキルを評価する基準を設ける、給与テーブルと照らし合わせるプロセスを透明化する など
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既存社員への丁寧な説明で理解を促進する
アルムナイが温かく迎え入れられ、気持ちよく働ける環境を作るためには、既存社員の理解が不可欠です。
- アルムナイ採用の目的とメリットを共有する
- 「新しい知識やスキルを社内に還元してもらう」「採用コストを抑えつつ、即戦力を確保する」など、会社と社員双方にとってのメリットを伝えましょう。
- 選考プロセスは公平であることを伝える
- 「元社員だから無条件で採用するわけではない」ということを明確にし、不公平感をなくすよう努めましょう。
退職者との良好な関係を維持する仕組みを作る
「辞めたら終わり」ではなく、退職後もつながりを持ち続ける仕組みを作りましょう。
- 「アルムナイ・ネットワーク」を構築する
- Facebookグループやメーリングリストなど、手軽に始められるツールで退職者コミュニティを作り、定期的に会社の近況などを発信する。
- 退職者をゲストに招く社内イベントなどを企画する
- 退職者が気軽に会社に立ち寄れる機会を作ることで、心理的なつながりを維持できます。
「円満な退職」を演出し、将来につなげる
アルムナイ採用は、社員の退職時から始まっています。「いつでも戻ってきてほしい」というメッセージを伝えることが、将来の再会につながります。
- 退職面談では感謝を伝える
- 退職理由を真摯にヒアリングすると同時に、これまでの貢献への感謝を伝え、良好な関係のまま送り出すことを心がけましょう。
アルムナイ採用に特化したサービスを活用する
退職者の情報は、会社の貴重な「人材データベース」です。いつでもアプローチできるよう、情報を整理・管理しておくには、リファアルムのようなアルムナイ採用サービスの活用が効果的です。
- 退職者情報をデータベース化する
- 在籍時の部署や役職、スキル、退職理由、連絡先などを一元管理し、採用ニーズが発生した際にすぐに候補者を探せる状態にしておきましょう。
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おすすめのアルムナイ採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。「リファアルム」を使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。
1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。
アルムナイ採用でお困りの企業様は、「リファアルム」にお問い合わせください
本記事では、アルムナイ採用のよくある失敗パターンと、それを乗り越えて成功に導くための具体的な対策について解説しました。
アルムナイ採用の失敗は、「戦略の欠如」「コミュニケーション不足」「体制の不備」によって引き起こされます。しかし、これらの課題は、事前の準備と仕組みづくりで十分に防ぐことが可能です。
アルムナイ採用は、単なる採用手法の一つではありません。社員とのエンゲージメントを高め、多様な経験を持つ人材が還流することで、企業文化そのものをより強く、豊かにしていく戦略的な施策です。
しかし、「アルムナイ採用について、専門家のアドバイスが欲しい」
「アルムナイ採用を始めたいが、何から手を付けたら良いか分からない」
といったお悩みをお持ちの採用担当者様も多いのではないでしょうか。
そのようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ弊社の「リファアルム」にご相談ください。
ただツールを入れてもリファラル、アルムナイ採用が増えるとは限りません。
当社では経験豊富な採用コンサルタントが設計から運用までワンストップで支援します。
リファラル、アルムナイ採用成功のために必要なノウハウと実務支援、マネジメントをプロの人事チームが顧客の採用成功まで伴走します。
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