アルムナイ採用はネットワークが9割!退職者と良好な関係を築く5つのステップと具体的施策

近年、新たな採用手法として注目を集める「アルムナイ採用」。しかし、その重要性を認識しつつも、「退職者との接点がなく、どうアプローチすればいいか分からない」「一度はネットワークを作ろうとしたが、いつの間にか形骸化してしまった」といった悩みを抱える経営者や人事担当者の方は少なくないのではないでしょうか。
アルムナイ採用を成功させるための鍵は、退職者との継続的な繋がり、すなわち「アルムナイネットワーク」の構築と運用にあります。
本記事では、アルムナイ採用の成否を分ける「アルムナイネットワーク」に焦点を当て、その重要性から具体的な構築ステップ、成功のポイントまでを網羅的に解説します。
もくじ
アルムナイネットワークとは?
まずは、アルムナイネットワークの定義とその重要性について紹介します。
「アルムナイ(alumni)」とは、もともとラテン語で「卒業生」や「同窓生」を意味する言葉です。ビジネスシーンでは「企業の退職者」を指し、このアルムナイを再雇用する採用手法が「アルムナイ採用」と呼ばれています。
ではなぜ今、多くの企業がアルムナイ採用に注目しているのでしょうか。その背景には、労働人口の減少や働き方の多様化による、慢性的な人材不足と採用競争の激化があります。新たな人材の獲得が困難になる中で、一度は自社で活躍した実績のあるアルムナイは、非常に魅力的な人材プールとなっているのです。
アルムナイネットワークが持つ3つの価値
アルムナイネットワークは、単なる退職者の連絡先リストではありません。戦略的に構築・運用することで、企業に大きな価値をもたらす「資産」となります。
- 即戦力人材の採用チャネル
アルムナイは、貴社の事業内容や企業文化をすでに深く理解しています。そのため、入社後のミスマッチが起こりにくく、即戦力としての活躍が期待できます。採用プロセスにおいても、スキルや人柄の見極めにかかる時間とコストを大幅に削減できるという大きなメリットがあります。 - 企業のブランディング向上
退職者と良好な関係を築き、アルムナイネットワークを大切にしている企業は、「人を大切にする会社」として社外からの評価が高まります。アルムナイが知人や友人に自社の魅力を語ってくれることで、新たな人材獲得(リファラル採用)に繋がるケースも少なくありません。 - ビジネスチャンスの創出
アルムナイネットワークの価値は、再雇用だけにとどまりません。他社で新たなスキルや経験を積んだアルムナイが、協業パートナーとしてビジネス上の連携相手になったり、顧客を紹介してくれたりと、事業に新たな展開をもたらす可能性を秘めています。
アルムナイ採用におけるアルムナイネットワークの構築ガイド
具体的にどのようにアルムナイネットワークを構築すればよいのでしょうか。ここでは、5つのステップに分けて解説します。
目的の明確化「何のためにネットワークを作るのか」
最初に、「何のためにネットワークを作るのか」という目的を明確にしましょう。目的が曖昧なままでは、運用方針がブレてしまい形骸化の原因となります。
(目的の例)
- 優秀な人材の再雇用
- 副業や業務委託での協業
- アルムナイからの顧客紹介
- 業界の情報交換や知見の共有
目的を定めることで、どのような情報を発信し、どのような関係性を築くべきかが見えてきます。
対象者の定義「誰と繋がるのか」
次に、ネットワークに参加してもらうアルムナイの対象者を定義します。全退職者を対象にするのか、あるいは「勤続3年以上」「特定の職種経験者」など、一定の基準を設けるのかを検討しましょう。ステップ1で定めた目的に立ち返り、その目的達成に貢献してくれる可能性のある層を定義することが重要です。
情報収集と管理体制の整備「どうやって繋がるか」
ネットワーク構築には、アルムナイの連絡先情報が不可欠です。退職手続きの際に、ネットワークの目的を丁寧に説明し、本人の同意を得た上で、個人的なメールアドレスやSNSアカウントなどの連絡先を収集しましょう。
収集した個人情報は、厳重な管理が必要です。まずはリストを作成し、誰が・いつ・どのように更新するのか、社内ルールを定めておきましょう。
また、アルムナイ専用ツールを利用し、管理体制を整えることも効果的です。
コミュニケーションの場の設定「どこで繋がるか」
アルムナイと継続的にコミュニケーションを取るための「場」を用意します。企業の規模や目的に合わせて選びましょう。
- Facebookグループ、LINEオープンチャット
手軽に始められ、多くの人が使い慣れている。クローズドな空間で双方向のコミュニケーションがしやすい。 - アルムナイ専用ツール
アルムナイネットワーク専用のプラットフォームサービス。イベント管理や名簿管理機能が充実しているが、コストがかかる。
まずはFacebookグループなど、無料で手軽に始められるものから試してみるのがおすすめです。
運用ルールと担当者の決定「誰がどう運用するのか」
最後に、ネットワークを継続的に運用していくための体制を整えます。情報発信の頻度(月1回など)や内容、イベントの企画、アルムナイからの問い合わせ対応など、具体的な運用ルールを決め、人事部門内に主担当者を置きましょう。担当者が一人で抱え込まず、チームで協力できる体制を築くことが継続の秘訣です。
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アルムナイネットワークを活性化させる具体的施策7選
アルムナイ採用のネットワークは、作って終わりではありません。定期的なコミュニケーションを通じて「活性化」させることが最も重要です。ここでは、具体的な施策を7つご紹介します。
- 限定感のある情報発信
会社の近況や新規事業のニュース、社内報のダイジェスト版など、「アルムナイだからこそ知れる情報」を定期的に発信しましょう。特別な繋がりを感じてもらうことが重要です。 - アルムナイ限定イベントの開催
オンラインでの近況報告会や、オフラインでの交流会など、アルムナイが集まれるイベントを企画します。テーマを設定した勉強会やセミナーなども喜ばれるでしょう。 - アルムナイ同士の交流促進
企業とアルムナイという1対Nの関係だけでなく、アルムナイ同士が繋がれるN対Nの交流を促しましょう。プラットフォーム上で自己紹介のスレッドを立てたり、共通の職種や趣味を持つ者同士の分科会を作ったりするのも有効です。 - 現役社員との交流機会の創出
アルムナイを社内勉強会のゲスト講師として招いたり、現役社員との合同プロジェクトへの参加を依頼したりと、現役社員と交流する機会を作りましょう。双方にとって良い刺激となります。 - 特別な優待プログラムの提供
自社が提供するサービスや商品を割引価格で利用できるといった、アルムナイであることのメリットを提供することで、帰属意識を高めることができます。
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- キャリアに関する相談窓口の設置
「いつでも戻れる場所がある」という安心感は、アルムナイとの良好な関係を維持する上で非常に効果的です。人事部がキャリア相談の窓口となり、気軽に連絡できる体制を整えましょう。 - 副業や業務委託での協業
再雇用という形だけでなく、まずは副業やプロジェクト単位での業務委託を打診することも有効です。より柔軟な形で再び協業することで、関係性が一層深まります。
アルムナイネットワークで失敗しないための3つの注意点
最後に、アルムナイ採用におけるネットワークの構築・運用で陥りがちな失敗を避け、成功に導くための重要な注意点を3つお伝えします。
円満退職を大前提とする
アルムナイネットワークは、退職者との良好な関係性の上に成り立つものです。どんなに素晴らしい仕組みを作っても、退職時の対応が悪ければ意味がありません。従業員が「この会社で働けて良かった」と感じながら卒業できるような、丁寧な退職プロセス(オフボーディング)を心がけることが全ての始まりです。
一方的な情報提供で終わらせない
企業からの情報発信ばかりでは、アルムナイは受け身になるばかりで活性化しません。アルムナイが自身の近況を気軽に投稿できたり、質問や相談を投げかけたりできるような、双方向のコミュニケーションが活発に行われる場作りを目指しましょう。
【関連】アルムナイ採用を社内で成功させる方法は?導入の進め方と説得のコツ
アルムナイ採用に特化したツール等を活用する
アルムナイネットワークは、すぐに再採用などの成果に結びつくとは限りません。種をまき、水をやり、時間をかけて関係性を育んでいく農耕型のアプローチです。
活動の継続には、アルムナイ採用ツールの活用も効果的となります。
アルムナイ採用ツールを導入することで、アルムナイネットワークにおけるコミュニケーションを円滑化し、アルムナイ採用の成功へと導くことができます。
【関連】アルムナイ採用を成功に導くツールとは?メリット・機能から導入の注意点まで解説
おすすめのアルムナイ採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。「リファアルム」を使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。
1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。
アルムナイ採用でお困りの企業様は、「リファアルム」にお問い合わせください
本記事では、アルムナイ採用の成功の鍵を握る「アルムナイネットワーク」について、その価値から具体的な構築ステップ、活性化施策、そして成功のための注意点までを詳しく解説しました。
アルムナイネットワークは、企業の未来を支える貴重な「人材資産」です。退職者を「過去の人」ではなく「未来のパートナー」と捉え、戦略的に関係性を構築・運用していくことが、これからの時代の採用戦略において不可欠と言えるでしょう。
しかし、「アルムナイ採用について、専門家のアドバイスが欲しい」
「アルムナイ採用を始めたいが、何から手を付けたら良いか分からない」
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