リファラル採用を成功に導く「候補者体験」の設計について徹底解説

採用コストを抑え、自社にマッチした優秀な人材を獲得できる手法として、多くの企業が「リファラル採用」に注目しています。信頼する社員からの紹介は、求人媒体や人材紹介サービスにはない、質の高い母集団形成を可能にします。
その一方で、 「社員に制度を案内しても、なかなか紹介が集まらない…」 「紹介はされるものの、選考に進む前に辞退されてしまう…」 「内定を出しても、承諾してもらえない…」 といった課題を抱えている経営者・人事担当者様も多いのではないでしょうか。
もし、これらの課題に心当たりがあるなら、その原因は「候補者体験(Candidate Experience)」にあるのかもしれません。
リファラル採用は、単に「人を紹介してもらう制度」ではありません。紹介してくれた社員、そして紹介された候補者という、信頼関係の上に成り立つ繊細な採用手法です。そのプロセスにおける候補者の体験価値が、採用の成否を大きく左右するのです。
本記事では、リファラル採用を成功に導く鍵である「候補者体験」の重要性から具体的な改善策まで、分かりやすく解説します。
もくじ
リファラル採用における「候補者体験」が重要な理由
まずはじめに「候補者体験」という言葉の定義と、なぜリファラル採用において重要視されるのかを紹介します。
候補者体験(Candidate Experience)とは?
候補者体験(Candidate Experience / CX)とは、候補者が貴社を認知し、応募し、選考を受け、最終的に入社(あるいは不採用)に至るまでの一連のプロセスにおいて、候補者が経験し、感じるすべての価値を指します。
具体的には、以下のような要素が含まれます。
- 求人情報の分かりやすさ
- 応募プロセスの手軽さ
- 企業からの連絡のスピードや文面
- 面接官の態度や質問内容
- オフィスの雰囲気
- 選考結果の伝え方
これらの体験一つひとつが積み重なり、「この会社で働きたい」「この会社を応援したい」という候補者の感情を形作っていきます。
リファラル採用における「候補者体験」が重要な理由
数ある採用手法の中でも、リファラル採用は特に候補者体験の質が問われます。その理由は、大きく3つあります。
紹介者(社員)と候補者の「人間関係」が介在するため
リファラル採用の最大の特徴は、紹介者である社員と候補者が「友人・知人」である点です。企業の対応が杜撰だったり、候補者が不快な思いをしたりすれば、それは企業の評価が下がるだけでなく、紹介してくれた社員と候補者の大切な人間関係に傷をつけてしまう可能性があります。 「君の会社、聞いていた話と全然違ったよ」 「あの会社の選考、すごく感じが悪かった」 候補者にそう思わせてしまえば、紹介者は会社への信頼を失い、二度と大切な友人を紹介してはくれないでしょう。社員のエンゲージメント低下や、最悪の場合、離職につながるリスクさえはらんでいます。
企業の「素顔」が伝わりやすく、評判に直結するため
候補者は、友人である社員から、企業のリアルな情報を事前に聞いています。その期待感を持って選考に臨むため、少しでも雑な対応をされると「聞いていた話と違う」というネガティブなギャップが生まれやすくなります。 そして、友人・知人という信頼できる情報源からの口コミは、SNSなどを通じて良くも悪くも驚くほど早く、そして広く拡散されます。優れた候補者体験は強力な企業ブランディングになりますが、劣悪な体験は一瞬で企業の評判を落としかねません。
「友人から聞いていた話と違う」という期待とのギャップが生まれやすいため
「友達の会社だから」という安心感や期待感は、候補者の志望度を高める一方で、選考プロセスにおける評価のハードルを上げる側面もあります。 カジュアルな紹介だからこそ、企業側が一つひとつの接点で丁寧なコミュニケーションを心がけ、「紹介してくれてありがとう」「応募してくれてありがとう」という感謝の姿勢を示すことが、候補者の入社意欲を大きく左右するのです。
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リファラル採用の候補者体験を最大化させる設計9選
それでは、具体的にリファラル採用における候補者体験を向上させるためのアクションを、候補者がたどる「認知・紹介」「応募・選考」「内定後・不採用」の3つのフェーズに分けて解説します。
【認知・紹介フェーズ】「紹介したい」「話を聞いてみたい」と思わせる仕組みづくり
このフェーズの目標は、社員が「自信を持って友人におすすめできる」状態を作り、候補者が「まずは話だけでも聞いてみたい」と思える心理的なハードルを下げることです。
紹介者向けの「情報パッケージ」を整備する
社員が友人に声をかける際、「何をどこまで話していいのだろう?」と迷ってしまうケースは少なくありません。募集ポジションの業務内容、求める人物像、給与レンジ、働き方(リモートワークの可否など)、選考プロセスといった情報をまとめた資料を準備し、社員がいつでも確認できるようにしておきましょう。会社の魅力や文化を伝えるカジュアルな紹介資料があると、さらに効果的です。
候補者への初期アプローチのハードルを下げる
「いきなり正式応募」は、転職意欲がまだ高くない候補者にとってはハードルが高いものです。「まずは人事担当者と30分話してみない?」「今度、社内の勉強会に遊びに来ない?」といった、カジュアル面談やイベントへの招待など、気軽な接点を用意することで、候補者の心理的負担を大きく軽減できます。
紹介から応募までのプロセスを明確化・簡略化する
紹介があった後、候補者が次に何をすればいいのか分からない状態は、体験価値を大きく損ないます。「このフォームから連絡してください」「人事の〇〇宛にメールしてください」など、次のアクションを明確に示し、プロセスをできる限りシンプルにしましょう。紹介者・候補者専用の窓口やフォームを設置するのも有効です。
【応募・選考フェーズ】「この会社で働きたい」を引き出すコミュニケーション
このフェーズでは、候補者の不安を解消し、「この人たちと一緒に働きたい」という気持ちを醸成することが目標です。
「特別感」のあるスピーディーで丁寧な対応を徹底する
紹介があった候補者への連絡は、可能な限り24時間以内に行うのが理想です。「大切な社員からのご紹介ですので、優先的にご連絡いたしました」といった一言を添えるだけで、候補者は「歓迎されている」と感じ、安心感を抱きます。また、選考プロセスの進捗は、候補者だけでなく紹介者にも適宜共有し、社内での連携を密にしましょう。
面接・面談を「対話の場」にする
面接は、企業が候補者を一方的に評価する場ではありません。特にリファラル採用では、候補者が抱える疑問や不安に寄り添い、解消する「対話の場」とすることが重要です。面接官には、候補者の話を真摯に傾聴し、会社のビジョンや仕事のやりがいを自分の言葉で語れるよう、事前のトレーニングや情報共有を徹底しましょう。
紹介者との連携で、候補者の不安を解消する
面接の場では聞きづらいこともあるでしょう。そんな時は、紹介者である社員に協力してもらいましょう。「面談で解消できなかった疑問点はありませんでしたか?」と紹介者経由でヒアリングしたり、逆に会社の魅力を候補者に伝えてもらったりと、紹介者を「最強の味方」として巻き込むことで、候補者のエンゲージメントは格段に高まります。
【内定後・不採用フェーズ】企業のファンになってもらうための締めくくり
選考が終わった後こそ、企業の真価が問われます。ご縁があった場合はもちろん、なかった場合でも「良い会社だった」と思ってもらうことが、将来の資産になります。
内定通知はパーソナライズし、入社意欲を高める
単に条件を伝えるだけでなく、オファー面談の場を設け、「あなたの〇〇という経験を、我社の△△という事業でこう活かしてほしい」といった、その候補者個人に向けた期待を具体的に伝えましょう。これにより、候補者は「自分は必要とされている」と強く感じ、入社への意思を固めやすくなります。
入社までのフォローで安心感を醸成する
内定から入社までの期間は、候補者が最も不安を感じる時期です。定期的な連絡はもちろん、現場の社員との食事会や、社内イベントへの招待など、入社前に会社の雰囲気に触れる機会を作ることで、安心して入社日を迎えてもらうことができます。
お見送りの場合も、誠実な対応を貫く
面接の結果にご縁がなかった場合、その連絡こそ丁寧かつ迅速に行いましょう。結果を曖昧にしたり、連絡を怠ったりするのは最悪の対応です。紹介者の顔を立てる意味でも、「今回はポジションとの兼ね合いで…」と可能な範囲で理由を伝え、「〇〇様にご応募いただけたこと、そしてご紹介いただいた〇〇さんにも心から感謝しています」という誠意を見せることが、将来的な関係性(タレントプール)につながります。
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リファラル採用の候補者体験を悪化させるNG行動3選
続いて、これまでの内容の裏返しになりますが、多くの企業が陥りがちな候補者体験を損なう行動を3つご紹介します。自社のプロセスに当てはまっていないか、ぜひチェックしてみてください。
「紹介だから」という甘え(連絡の遅延、対応の簡略化)
「紹介だから大丈夫だろう」と連絡を後回しにしたり、選考プロセスを雑に進めたりするのは絶対にやめましょう。紹介だからこそ、一般応募以上に丁寧で迅速な対応が求められます。
紹介者(社員)への丸投げ(進捗共有なし、候補者への配慮不足)
人事担当者が窓口にならず、すべてを紹介者に任せきりにするケースです。進捗が分からない、候補者にどう伝えればいいか分からない、といった状況は紹介者に大きな負担をかけ、制度そのものへの不信感につながります。
一般応募と同じ画一的な選考フロー(特別感の欠如)
候補者からすれば、友人の会社という「特別なルート」で応募しています。それにもかかわらず、一般応募と全く同じ画一的な対応をされると、「自分は歓迎されていないのかもしれない」と感じてしまいます。少しの配慮やパーソナライズが、大きな違いを生みます。
リファラル採用の候補者体験を向上し、成功させるポイント
ここまで具体的な打ち手やNG行動をご紹介してきましたが、最後に、リファラル採用の候補者体験を向上させるうえで根幹となる3つの重要な心構え(ポイント)をお伝えします。
スピードと「特別感」を何よりも大切にする
候補者は「友人が働く会社」という特別な期待感を持って応募してくれています。その期待に応えるために、スピード感と「あなたは特別な候補者です」というメッセージを常に意識しましょう。
- 応募があったら即日、遅くとも24時間以内に連絡する。
- メールの文面に「〇〇様からのご紹介をいただき、優先的にご連絡いたしました」と一言添える。
- 選考日程の調整をスムーズに行う。
こうした一つひとつの迅速で丁寧な対応が、「自分は歓迎されている」という候補者の安心感と信頼につながります。
紹介者を「採用のパートナー」として巻き込む
リファラル採用は、人事担当者だけで進めるものではありません。紹介してくれた社員は、候補者のことを最もよく知る「最強の採用パートナー」です。
- 選考の進捗をこまめに紹介者へ共有する。
- 面接後の候補者の反応や懸念点を、紹介者経由でヒアリングさせてもらう。
- 内定後、入社を決める最後の一押しを依頼する。
このように紹介者を積極的に巻き込み、感謝と敬意を払うことで、紹介者は「会社に貢献できた」というエンゲージメントを高め、次の紹介へとつなげてくれます。
リファラル採用に特化したツールを活用して情報の共有をスムーズに行う
スプレッドシートやExcelで運用を行っていた場合、情報の管理がし切れず制度が形骸化し、三者間(会社・紹介者・候補者)で認識のずれが生じてしまうことがあります。リファラル採用に特化したツールを導入することで、コミュニケーションを円滑化し、候補者体験の向上やリファラル採用の成功へと導くことができます。
【関連】リファラル採用ツールおすすめ5選!メリットや選び方を徹底解説
おすすめのリファラル採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。リファアルムを使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。
リファアルムを活用する具体的なメリットは下記の3つです。
1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。
「リファアルム」を活用してリファラル採用を推進しましょう
リファラル採用の成功は、単に制度を作って告知するだけでは実現できません。その根幹にあるのは、候補者・紹介者(社員)・企業の関係性をいかに築けるか、という点に尽きます。
そして、その関係性の中心にあるのが、「候補者体験」です。
候補者一人ひとりに「この会社に応募してよかった」と感じてもらうための丁寧なコミュニケーションは、採用辞退率を下げ、入社後の定着・活躍率を高めるだけでなく、社員のエンゲージメントや企業全体のブランドイメージをも向上させる、非常に価値の高い投資と言えるでしょう。
「リファラル採用の候補者体験を向上させたいが、何から手をつければいいか分からない」
「紹介者とのコミュニケーションを円滑に進めるノウハウが知りたい」
そのようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ弊社の「リファアルム」にご相談ください。
ただツールを入れてもリファラル、アルムナイ採用が増えるとは限りません。
当社では経験豊富な採用コンサルタントが設計から運用までワンストップで支援します。
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