リファラル採用のよくあるトラブルとは?未然に防ぐ方法について徹底解説

採用コストを抑えつつ自社の文化に合った人材と出会える手法として、多くの企業が注目する「リファラル採用」。社員の紹介という信頼性の高いルートは、候補者の定着率向上にも繋がるなど、多くのメリットがあります。
その一方で「知人の紹介だから」という安心感が、思わぬトラブルを引き起こすケースも少なくありません。制度の設計や運用を誤ると、社員間の人間関係に溝が生まれたり社内の雰囲気が悪化したりと、深刻な事態に発展する「諸刃の剣」でもあるのです。
この記事では、リファラル採用で実際に起こりがちなトラブル事例を「企業」「紹介者」「被紹介者」それぞれの立場からご紹介します。さらに、トラブルが起きる根本的な原因を分析し、それを未然に防ぐための具体的な対策まで、分かりやすく解説します。
もくじ
リファラル採用でよくあるトラブル事例10選
まずはじめに、リファラル採用においてどのようなトラブルが起こりうるのか、具体的な事例を見ていきましょう。
「企業」が直面するトラブル
事例1:採用基準に満たない人材ばかり紹介される
「誰か良い人いない?」と全社に呼びかけたものの、現場が求めるスキルや経験とは異なる知人・友人ばかりが紹介されてしまうケースです。「紹介だから」と無下に断ることもできず、選考に余計な工数がかかってしまいます。
事例2:インセンティブ(紹介料)の支払いをめぐって不満が出る
「紹介した社員Aには5万円支払われたのに、自分は3万円だった」「どのタイミングで支払われるのか聞いていない」など、インセンティブの金額や支払い条件が不明確なために、社員から不満の声が上がるトラブルです。
事例3:採用辞退や早期離職で紹介者との関係が気まずくなる
期待して採用した候補者が内定を辞退したり、入社後すぐに辞めてしまったりした場合、紹介してくれた社員との間に気まずい空気が流れることがあります。紹介者の社員が責任を感じ、委縮してしまう原因にもなります。
「紹介者の社員」が抱えるトラブル
事例4:友人を不採用にされ、関係が気まずくなった
「会社の社風に合うと思う」と自信をもって推薦した友人が、面接で不採用になってしまうケースです。「なぜダメだったのか」と友人から問われても、会社からは明確な理由を教えてもらえず、板挟みになってしまいます。
事例5:紹介した友人が入社後すぐに辞めてしまい、社内での立場が悪くなった
紹介した友人が社風に合わず、短期間で離職。その結果、「人を見る目がないのでは?」といった無言のプレッシャーを感じ、社内での立場が悪くなったように感じてしまうケースです。
事例6:「紹介して」としつこく頼まれ、プレッシャーを感じる
会社側が採用を急ぐあまり、「誰か紹介できないか」「目標人数まであと何人だ」と過度なプレッシャーをかけてしまうパターンです。社員は「会社のために」と無理に友人を探すことになり、大きな負担を感じます。
「被紹介者である候補者」が感じるトラブル
事例7:不採用の理由が分からず、紹介者との関係に溝ができた
友人から勧められて応募したものの、結果は不採用となるケースです。不採用の理由が曖昧なまま友人から伝えられると、「本心では自分を推薦したくなかったのでは?」と疑心暗鬼になり、関係に溝が生まれてしまいます。
事例8:紹介だからと断りきれず、面接を受けてしまった
それほど興味はなかったものの、親しい友人からの紹介だったため断りきれず、面接を受けてしまったケースです。本人の意欲が低いため選考はうまくいかず、お互いにとって無駄な時間となってしまいます。
事例9:入社前に聞いていた話と、実際の労働条件や社風が違った
友人から「残業も少なくて働きやすいよ」と聞いて入社したのに、実際は毎日残業続きだった、というような認識のズレです。紹介者への不信感と、会社への失望に繋がります。
事例10:紹介者の顔を立てるため、早期離職しにくい
実際に入社してみたら「合わない」と感じても、「紹介してくれた友人の顔に泥は塗れない」という気持ちから、なかなか退職を切り出せないケースです。結果的に心身を疲弊させてしまう可能性があります。
リファラル採用のトラブルに潜む3つの原因
前述のようなトラブルはなぜ起きてしまうのでしょうか。リファラル採用におけるトラブルには、大きく分けて3つの原因が潜んでいます。
制度設計の不備
トラブルの多くは、リファラル採用のルールが曖昧なことに起因します。
- 紹介フローの不明確さ
誰が、誰を、どのように紹介するのか、具体的な流れが決まっていない。 - インセンティブの曖昧さ
報酬の金額、支払い条件、タイミングなどが明文化されていない。 - 不採用時の対応の欠如
不採用になった場合、誰が、どのように候補者や紹介者に伝えるのか、ルールが定められていない。
コミュニケーション不足
関係者間の情報共有がうまくいっていないことも、大きな原因です。
- 企業から紹介者へ
求める人物像や労働条件、選考の進捗といった情報が、紹介者に正確に伝わっていない。 - 企業から被紹介者へ
紹介だからと説明を簡略化してしまい、候補者の不安や疑問を解消できていない。 - 三者間の認識のズレ
企業、紹介者、被紹介者の間で、仕事内容や社風に対するイメージが異なっている。
人間関係への配慮不足
「社員の友人だから大丈夫だろう」という安易な考えが、トラブルの火種になります。
- 公私の混同
選考プロセスにおいて、友人関係という私情を挟んでしまう。 - 影響の軽視
不採用や早期離職といった結果が、紹介者と被紹介者の人間関係にどのような影響を与えるかを軽く考えている。 - 同調圧力
紹介することを強制したり、成果を過度に求めたりする社内の雰囲気が、社員にプレッシャーを与えている。
リファラル採用のトラブルを防ぎ、成功させる7つの対策
では、これらのトラブルを防ぎ、リファラル採用を成功させるためにはどうすればよいのでしょうか。具体的な7つの対策をご紹介します。
明確なルールブックを作成する
まず、リファラル採用に関するルールを誰が見ても分かるように明文化しましょう。
- 目的
なぜリファラル採用を行うのか - 対象者
紹介できる社員の範囲、紹介される人の条件 - 紹介フロー
紹介から採用までの具体的な手順 - 禁止事項
強引な勧誘の禁止など
【関連】リファラル採用のルール設計とは?定めるべきルールと法律上の注意点を解説
公平で透明性のあるインセンティブ制度を設ける
社員が納得して協力してくれるよう、インセンティブ制度は公平性と透明性を担保することが重要です。
- 金額の相場
一般的には、採用された人の理論年収の数%(3%~10%程度)や、一律5万~30万円などが相場とされています。自社の状況に合わせて設定しましょう。 - 支払い条件・タイミング
「採用決定時」「入社3ヶ月後」など、支払いが発生する条件と時期を明確に定めます。試用期間満了後や、定着を確認した後に支払うのが一般的です。 - 金銭以外の報酬
報奨金だけでなく、食事券や特別休暇、表彰制度などを組み合わせるのも効果的です。
【関連】リファラル採用のインセンティブとは?相場や制度設計のポイントを徹底解説
採用基準を明確にし、全社で共有する
「良い人」といった曖昧な言葉ではなく、「どのようなスキルや価値観を持った人に来てほしいのか」を具体的に言語化し、全社員に共有しましょう。これにより、紹介のミスマッチを減らすことができます。
紹介者への十分な情報提供を徹底する
紹介者である社員が「会社の広報担当」として自信を持って友人に説明できるよう、必要な情報は全て提供しましょう。
- 募集背景や具体的な仕事内容
- 給与や福利厚生などの労働条件
- 選考のプロセスとスケジュール
- 会社の良い点だけでなく、課題や厳しい面も正直に伝えることが信頼に繋がります。
被紹介者を特別扱いせず、通常の選考フローに乗せる
「紹介だから」と選考基準を甘くすることは、他の応募者との不公平感を生み、入社後のミスマッチの原因にもなります。選考は通常の応募者と同様に、客観的な基準で厳正に行うことを、事前に紹介者・被紹介者の双方に伝えておきましょう。
不採用時の丁寧なコミュニケーションを心がける
リファラル採用で最もデリケートなのが、不採用時の対応です。
- 連絡方法のルール化
不採用の結果は、人事担当者から被紹介者に直接伝えるのが基本です。その後、紹介者にも人事から丁寧に状況を説明し、フォローします。 - 紹介者への感謝
結果に関わらず、協力してくれた紹介者には必ず感謝の気持ちを伝えましょう。「今回は残念だったけど、また良い人がいたらぜひ紹介してほしい」と伝えることで、次の協力に繋がります。
【関連】リファラル採用を成功に導くフォロー術!満足度を高めるフォロー体制とは?
リファラル採用ツールを活用する
スプレッドシートやExcelでの運用の場合、情報の管理がし切れずリファラル採用制度が形骸化してしまうことがあります。リファラル採用に特化したツールを導入し、情報や紹介状況の可視化を行いコミュニケーションを円滑化することで、トラブルを未然に防ぐことに繋がります。
【関連】リファラル採用ツールおすすめ5選!メリットや選び方を徹底解説
おすすめのリファラル採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。リファアルムを使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。
リファアルムを活用する具体的なメリットは下記の3つです。
1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。
「リファアルム」を活用してリファラル採用を推進しましょう
リファラル採用には、人間関係が関わるからこその難しさやトラブルのリスクが伴いますが、それ以上に採用コストの削減、ミスマッチの防止、社員のエンゲージメント向上といった大きなメリットがあることも事実です。
重要なのは、トラブル事例から学び、それを未然に防ぐ仕組みを丁寧に作ることです。
「リファラル採用のトラブルを防ぎたいが、何から手をつければいいか分からない」
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