リファラル採用が失敗する7つの原因とは?成功に導く具体的対策

採用コストの削減や人材の定着率向上など、多くのメリットが期待される「リファラル採用」。自社の社員に人材を紹介してもらうこの手法は、特に採用に課題を抱える中小企業にとって、強力な武器となり得ます。
しかし、多くの企業が「制度は導入したものの、全く紹介が集まらない」「紹介はあっても、求める人材とミスマッチが起きる」といった壁に直面しているのも事実です。
なぜ、リファラル採用は失敗してしまうのでしょうか。
この記事では、リファラル採用でよくある失敗の原因を7つのパターンに分類し、具体的な事例を交えながら徹底解説します。さらに、失敗を乗り越え、自社の採用を成功に導くための具体的な5つのステップをご紹介します。
もくじ
リファラル採用とは?メリットと注目される背景
リファラル採用の基本と、なぜ今これほど注目されているのかを紹介します。
リファラル採用の仕組み
リファラル採用とは、自社の社員に、自身の知人や友人を紹介してもらう採用手法のことです。「リファラル(referral)」は「紹介・推薦」を意味します。企業のカルチャーや事業内容をよく理解している社員がフィルタ役となることで、効率的かつ質の高い採用活動が期待できます。
リファラル採用の3つのメリット
- 採用コストの削減
求人広告費や人材紹介会社への手数料といった外部コストを大幅に削減できます。 - マッチング精度の向上
社員が自社の文化や働きがいを候補者に直接伝えるため、入社後の「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを防ぎやすくなります。 - 定着率の向上
候補者は入社前にリアルな情報を得られ、入社後も紹介者のサポートがあるため、早期離職のリスクが低減します。
なぜ今、リファラル採用が重要視されるのか
少子高齢化による労働人口の減少で、採用競争は激化の一途をたどっています。従来の求人媒体に頼るだけでは、自社が求める人材に出会うことが難しくなりました。 こうした背景から、企業と候補者の信頼関係をベースにしたリファラル採用が、新たな採用チャネルとして重要視されているのです。
リファラル採用が失敗する7つの原因
それでは、なぜ多くのメリットを持つリファラル採用が失敗に終わってしまうのでしょうか。ここでは、現場でよく聞かれる7つの原因を、具体的な失敗例とともに見ていきましょう。
1.制度の目的・メリットが社員に浸透していない
失敗例:「経営層が『リファラル採用を強化する』と宣言したきり、具体的な説明がない。会社が何を目指しているのか、自分に何のメリットがあるのかも分からず、協力する気になれない…」
最も多い失敗が、この「社員への浸透不足」です。目的が分からないまま「誰か良い人を紹介して」と一方的に依頼されても、社員は動きようがありません。「採用は人事の仕事」という意識が強いままだと、協力は得られにくいでしょう。
2.求める人物像が曖昧でミスマッチが起こる
失敗例:「『誰か良い人いない?』としか言われず、どんなスキルや価値観を持つ人を紹介すれば良いのか分からない。とりあえず人柄が良い後輩を紹介したが、スキル不足で不採用になってしまった…」
どんなに優秀な社員でも、採用のプロではありません。「良い人」の基準は人それぞれです。募集しているポジションの業務内容、必須スキル、歓迎する人物像などを具体的に伝えなければ、紹介の精度は上がらず、結果的にミスマッチが多発してしまいます。
【関連】リファラル採用のミスマッチを防ぐ5つの対策と成功の秘訣
3.紹介フローが複雑で分かりにくい
失敗例:「紹介しようにも、専用の申請書に手書きで記入して、上長と人事の承認印をもらわないといけないらしい。通常業務が忙しい中で、そんな面倒な手続きはやっていられない…」
社員は自身の業務の合間を縫って協力してくれます。紹介方法が複雑だったり、誰に報告すれば良いか分からなかったりすると、「また今度にしよう」と後回しにされ、やがて忘れ去られてしまいます。
4.インセンティブ(報酬)が魅力的でない、または不公平
失敗例:「紹介した友人が入社しても、インセンティブは一律で数千円のクオカードだけ。手間や人間関係のリスクを考えると、割に合わないと感じてしまう…」
インセンティブは、社員への感謝を示す重要な要素です。金額が低すぎる、あるいは「紹介して当たり前」とインセンティブ制度自体がない場合、社員のモチベーションは上がりません。逆に、役職やポジションの難易度に関わらず一律の金額だと、不公平感を生む原因にもなります。
【関連】リファラル採用のインセンティブとは?相場や制度設計のポイントを徹底解説
5.「紹介して当たり前」という雰囲気になっている
失敗例:「会議のたびに『紹介目標、達成できそうか?』と詰められる。協力隊制のはずが、いつの間にかノルマのようになってしまい、プレッシャーに感じてしまう…」
リファラル採用は、あくまで社員の自発的な協力によって成り立つものです。過度なプレッシャーや強制は、エンゲージメントを低下させる逆効果。「紹介しないと評価が下がるのではないか」という不安は、健全な紹介文化の醸成を妨げます。
6.不採用時の人間関係悪化を懸念している
失敗例:「以前、紹介した友人が不採用になり、とても気まずい雰囲気になった。会社からのフォローもなく、もう二度と紹介したくない…」
これは紹介者が最も懸念するポイントです。大切な友人を紹介するからには、たとえ縁がなかったとしても、友人との関係が悪化することは避けたいもの。選考結果の連絡が遅かったり、不採用理由が不透明だったりすると、紹介者は「友人に申し訳ない」と感じてしまいます。
7.紹介者・被紹介者への配慮が足りない
失敗例:「友人を紹介した後、選考がどこまで進んでいるのか全く連絡がない。友人に『どうなってる?』と聞かれても答えられず、板挟み状態でつらかった…」
紹介者を「紹介したら終わり」の存在にしていませんか? 選考プロセスの丁寧な共有や、候補者への誠実な対応は、紹介者と会社の信頼関係を維持するために不可欠です。紹介後のフォロー不足は、社員の会社に対する不信感につながります。
リファラル採用を成功に導く5つのステップ
これらの失敗原因は、適切な対策を講じることで乗り越えられます。ここからは、リファラル採用を成功に導くための具体的な5つのステップをご紹介します。
1.明確な制度設計と全社への周知徹底
まずは、「なぜ我が社はリファラル採用を行うのか」という目的やビジョンを明確に言語化しましょう。
- 経営層からのメッセージ発信
社員総会や社内報などで、経営トップ自らの言葉でリファラル採用の重要性や期待を伝えます。 - 社員へのメリット提示
「会社の成長に貢献できる」「信頼できる仲間と働ける」「インセンティブがもらえる」など、社員にとってのメリットを分かりやすく説明しましょう。
2.シンプルで簡単な紹介プロセスの構築
社員が「これならできそう」と思える、簡単で分かりやすい仕組みを整えることが重要です。
- 紹介ツールの活用
数クリックで紹介が完了するような専用フォームやツールを導入し、手間を徹底的に省きましょう。 - 募集情報の明確化
誰にでも分かる言葉で「募集ポジション」「具体的な業務内容」「必須スキル」「歓迎する人物像(カルチャーフィット)」などをまとめた募集要項を作成し、いつでも閲覧できるようにします。
3.紹介者と候補者の双方をケアする体制づくり
紹介者が最も不安に思う「人間関係の悪化」を防ぐためのケア体制は、制度の生命線です。
- 選考プロセスの透明化
紹介者には選考の進捗をこまめに共有し、候補者には常に誠実な対応を心がけます。 - 不採用時の丁寧なフォロー
万が一不採用となった場合でも、紹介者と候補者の双方に感謝を伝え、丁寧なフォローを行います。「どの点が合わなかったか」を可能な範囲でフィードバックすることも、会社の信頼につながります。
4.公平で納得感のあるインセンティブ制度の導入
インセンティブは、社員の貢献意欲を高めるための重要な潤滑油です。
- 金銭的・非金銭的報酬の組み合わせ
紹介・入社といったフェーズごとのインセンティブに加え、食事券や特別休暇、全社での表彰といった非金銭的な報酬を組み合わせるのも効果的です。 - 納得感のある報酬設計
採用が難しい専門職など、ポジションの難易度に応じて報酬額に差をつけることで、社員の納得感を高めることができます。
5.定期的な情報発信と改善のサイクルを回す
制度は作って終わりではありません。継続的に情報を発信し、改善を続けることで、リファラル採用は「文化」として定着していきます。
- 成功事例の社内共有
リファラル採用で入社した社員や、紹介してくれた社員へのインタビュー記事を社内報で発信するなど、成功体験をシェアしましょう。 - 制度の定期的な見直し
社員にアンケートを実施して制度への意見を募り、定期的に改善のサイクル(PDCA)を回していくことが、制度を形骸化させない秘訣です。
【関連】リファラル採用の成功率を上げる改善策とは?制度設計から社内文化の醸成まで徹底解説
おすすめのリファラル採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。リファアルムを使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。
リファアルムを活用する具体的なメリットは下記の3つです。
1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。
「リファアルム」を活用してリファラル採用を推進しましょう
本記事では、リファラル採用が失敗する7つの原因と、それを乗り越えるための5つのステップを解説しました。
リファラル採用の失敗は多くの企業が経験する道ですが、その原因の多くは「制度の不備」と「社員とのコミュニケーション不足」に集約されます。裏を返せば、これらを一つひとつ丁寧に見直し、改善していくことで、成功の確率は格段に高まります。
何よりも大切なのは、紹介してくれた社員への感謝の気持ちです。社員一人ひとりの協力があってこそ成り立つ採用手法であることを忘れず、誠実な運用を心がけましょう。
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