リファラル採用のインセンティブとは?相場や制度設計のポイントを徹底解説

リファラル採用の重要性が増す一方で、「制度を作ったものの、社員がなかなか協力してくれない」という課題を抱える企業は少なくありません。その解決策として注目されるのが「インセンティブ(報酬)制度」です。
しかし、「インセンティブの相場は?」「そもそも、紹介で報酬を渡すのは違法ではないのか?」といった疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、リファラル採用におけるインセンティブの法的な位置づけから、具体的な相場、失敗しない制度設計のステップまで網羅的に解説します。
もくじ
リファラル採用でインセンティブを導入するメリット・デメリット
インセンティブがリファラル採用を活性化させる効果がある一方で、導入には慎重な検討も必要です。まずは、リファラル採用でインセンティブを導入するメリットとデメリットについて紹介します。
インセンティブ導入のメリット
- 社員の協力意欲を高める「きっかけ」になる
「会社に貢献したい」という気持ちはあっても、多忙な業務の中で友人・知人に声をかけるのは手間がかかるものです。インセンティブは、その手間や時間に対する正当な対価となり、「少し話を聞いてみよう」と行動を起こすための分かりやすいきっかけになります。 - 採用コストの費用対効果が明確になる
求人広告や人材紹介サービスを利用した場合、数十万~数百万円のコストがかかります。リファラル採用のインセンティブは、採用が成功した場合にのみ発生する「成功報酬型」のため、無駄なコストを抑えられます。費用対効果が非常に高い採用手法と言えるでしょう。 - 制度として運用することで全社的な取り組みになる
インセンティブ制度を設けて全社に告知することで、経営陣がリファラル採用を重要視しているというメッセージが伝わります。「会社が本気で取り組んでいるなら協力しよう」という意識が芽生え、一部の社員だけでなく、全社を巻き込んだ採用活動へと発展させやすくなります。
インセンティブ導入のデメリット
- インセンティブ目当ての質の低い紹介が増える可能性
インセンティブの魅力だけが先行してしまうと、「誰でもいいから紹介して報酬をもらおう」と考える社員が出てくる可能性があります。結果として、自社の文化や求める人物像に合わない候補者が増え、選考の手間だけが増えてしまう恐れがあります。 - 社員間の不公平感や人間関係の悪化につながる恐れ
「Aさんの紹介した人は採用されたのに、Bさんの紹介した人は不採用だった」というケースが続くと、不公平感が生まれることがあります。また、紹介を依頼された友人が不採用になった場合、紹介者である社員との関係が気まずくなるリスクもゼロではありません。 - 制度設計や運用の手間がかかる
公平で分かりやすい制度を設計し、それを全社員に周知徹底するには、相応の時間と労力がかかります。また、インセンティブの支払い管理など、運用面での業務も発生します。
リファラル採用におけるインセンティブの法的な位置づけ
多くの担当者が不安に感じる法的な位置づけについて解説します。
職業安定法で禁止されている「報酬の供与」とは?
日本の法律(職業安定法 第40条)では、原則として、労働者の募集にあたって報酬を与えることが禁止されています。これは、国の許可なく「職業紹介」を「事業」として行い、報酬を得ることを防ぐための法律です。
なぜリファラル採用のインセンティブは合法なのか?
では、なぜリファラル採用のインセンティブは許されるのでしょうか。 それは、自社の社員へのインセンティブは、職業紹介の対価である「報酬」ではなく、採用活動に協力してくれたことに対する「費用弁償(実費の補填)や福利厚生の一環」と解釈されるためです。社員はあくまで本業の傍らで善意で協力するのであり、「事業」として行っているわけではない、という点がポイントです。
違法と判断される可能性があるケース
ただし、以下のようなケースでは違法と見なされる可能性もゼロではないため、注意が必要です。
- インセンティブの金額が社会通念上、あまりにも高額すぎる場合 (例:年収の30%など、人材紹介会社の手数料と同等の金額)
- 社員が本業そっちのけで、紹介活動を事業のように反复継続的に行っている場合
- 紹介する社員の業務内容が、実質的に人事・採用担当者と同じと見なされる場合
常識の範囲内の金額で、自社の従業員を対象に行う通常のインセンティブ制度であれば、法的に問題となることはないと考えてよいでしょう。
リファラル採用におけるインセンティブの相場
インセンティブの金額設定は、担当者が最も悩むポイントの一つです。ここでは、一般的な相場をポジション別にご紹介します。
インセンティブの相場
企業の規模や採用難易度によって変動しますが、一般的な相場は数万円~30万円未満のケースが多いようです。
なお、採用が難しいポジションほど、インセンティブの金額は高くなる傾向にあります。
インセンティブの種類
社員のモチベーションは、必ずしも金銭だけで上がるわけではありません。自社の文化に合わせて、以下のようなユニークなインセンティブを検討するのも有効です。
- 金銭(紹介報酬)
最も一般的で分かりやすいインセンティブです。 - ギフト券・商品券
現金より受け取りやすいと感じる社員もいます。 - 特別休暇の付与
「リフレッシュ休暇」など、社員の満足度が高いインセンティブです。 - 紹介者と被紹介者のための食事会開催
会社負担で歓迎会を兼ねた食事会を設定し、双方の労をねぎらいます。 - 社内表彰や評価への反映
朝礼などで協力してくれた社員を表彰し、人事評価のプラス項目とします。
リファラル採用におけるインセンティブの制度設計5ステップ
リファラル採用において、効果的なインセンティブ制度を設計することは非常に重要です。ここでは、具体的な手順を5つのステップで解説します。
1.目的とゴール(KGI/KPI)を明確にする
まず、「何のために制度を導入するのか」を明確にしましょう。「年間でエンジニアを5名採用する」「採用単価を現状から20%削減する」など、具体的な数値目標を設定することが重要です。
2.インセンティブの対象者と条件を決める
誰が、どんな場合にインセンティブを受け取れるのかを明確に定めます。
(例)対象者:全正社員、条件:正社員としての採用が決定した場合
3.インセンティブの内容と金額(相場)を決める
前述の相場を参考に、自社の予算や採用したいポジションの難易度に応じて、インセンティブの内容と金額を決定します。
4.インセンティブを支払うタイミングを決める
支払うタイミングは非常に重要です。トラブルを避けるためにも、最も推奨されるのは「入社後、一定期間(例:3ヶ月、6ヶ月)が経過した時点」です。早期離職のリスクを考慮し、定着を確認してから支払うのが一般的です。
5.社員への周知とルールを明文化する
制度が完成したら、全社員に向けて丁寧に説明し、いつでも確認できるようにルールを明文化(社内ポータルへの掲載など)しましょう。制度の目的や背景を伝えることで、社員の理解と協力が得られやすくなります。
【関連】リファラル採用の社内告知のやり方とは?成功に導く進め方と3つのコツ
リファラル採用のインセンティブ制度を形骸化させないポイント
制度は作って終わりではありません。継続的に運用し、リファラル採用を文化として根付かせるための重要なポイントをお伝えします。
インセンティブだけに頼らない動機付け
最も大切なのは、社員自身が「この会社は素晴らしい」「友人に心から勧めたい」と思えることです。会社のビジョンや事業の魅力を日頃から発信し、働きがいのある職場環境を整えることが、リファラル採用成功の最大の鍵となります。
紹介してくれた社員への感謝とフィードバックを徹底する
採用の成否にかかわらず、まずは協力してくれたことに対して「ありがとう」と感謝を伝えましょう。また、「今、〇〇さんのご友人は一次面接です」といったように、選考の進捗を適宜フィードバックすることで、紹介者は安心できますし、「また協力しよう」という気持ちにも繋がります。
誰もが分かるシンプルな制度にする
「申請手続きが面倒」「ルールが複雑で分かりにくい」といった制度は、社員の協力意欲を削いでしまいます。誰にでも理解でき、簡単に申請できるシンプルな仕組みを心がけましょう。
【関連】リファラル採用の制度の作り方とは?社員が協力したくなる仕組みを解説
おすすめのリファラル採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。リファアルムを使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。
リファアルムを活用する具体的なメリットは下記の3つです。
1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。
「リファアルム」を活用してリファラル採用を推進しましょう
本記事では、リファラル採用のインセンティブについて、法的な観点から制度設計の具体的なステップまで詳しく解説しました。
インセンティブはあくまで採用を促進するための「きっかけ」の一つです。これを機に、社員が自社のファンとなり、積極的に仲間を紹介してくれるような組織づくりを目指してみてはいかがでしょうか。
しかし、「リファラル採用のインセンティブ制度について、専門家の意見を聞きたい」
「リファラル採用を始めたいが、何から手を付けたら良いか分からない」
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