なぜ今「出戻り採用」が注目されるのか?アルムナイ採用を導入すべき理由を解説

「求人を出しても応募が集まらない」「採用しても、スキルや社風が合わずすぐに辞めてしまう…」。多くの中小企業が抱える採用の悩みに対し、その解決策として今「アルムナイ採用(出戻り採用)」が注目されています。
アルムナイ採用とは、一度退職した元社員を再雇用する、新しい採用戦略のことです。
「出戻り」と聞くと、少しネガティブな印象を持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、戦略的に導入することで、採用コストの削減や即戦力の確保など、多くのメリットが期待できます。
この記事では、アルムナイ採用の基礎知識から、企業側のメリット・デメリット、そして導入を成功させるための具体的なステップまで、分かりやすく解説します。
もくじ
アルムナイ採用(出戻り採用)とは?
まずは、アルムナイ採用の基本的な考え方と、従来の「出戻り採用」との違いについて見ていきましょう。
アルムナイ採用の基本的な定義
「アルムナイ(alumni)」とは、英語で「卒業生」や「同窓生」を意味する言葉です。ここから転じて、企業の退職者を「自社を卒業した貴重な人材資産」と捉え、退職後も良好な関係を維持し、再び自社で活躍してもらうことを目指す採用手法を「アルムナイ採用」と呼びます。
「出戻り採用」との違いは?
従来の「出戻り採用」は、欠員が出た際に元社員に声をかけるなど、場当たり的で受動的なケースが多い傾向にありました。
それに対して「アルムナイ採用」は、企業側が退職者との関係性を戦略的に構築・維持し、企業の成長に必要なタイミングで能動的にアプローチする点が大きな違いです。退職者を一括りに管理するのではなく、一人ひとりのキャリアやスキルを把握し、継続的な関係を築くことが前提となります。
なぜ今、アルムナイ採用が注目されているのか?
アルムナイ採用が注目される背景には、大きく3つの社会的な変化があります。
背景1:労働人口の減少と採用競争の激化
少子高齢化により日本の労働人口は減少し、多くの企業で人材獲得が難しくなっています。新たな人材を一から探すだけでなく、既知の人材であるアルムナイに目を向ける企業が増加しています。
背景2:転職の一般化と働き方の多様化
終身雇用が当たり前ではなくなり、キャリアアップのための転職はごく一般的になりました。企業と個人の関係も変化し、「一度辞めた会社に戻る」ことへの心理的な抵抗感が薄れつつあります。
背景3:SNSの普及による、退職後も繋がりやすい環境の変化
FacebookなどのSNSの普及により、企業と退職者が退職後も緩やかなつながりを維持しやすくなりました。これにより、企業はアルムナイの近況を把握しやすく、アプローチのハードルも下がっています。
アルムナイ採用を導入する4つの大きなメリット
戦略的にアルムナイ採用を導入することは、企業に多くのメリットをもたらします。
即戦力としての活躍が期待できる
最大のメリットは、アルムナイが即戦力として活躍してくれる可能性が高いことです。自社の事業内容や企業文化、人間関係をすでに理解しているため、新しい環境に慣れるまでの時間や、基本的なビジネスマナーを教えるといった教育コストを大幅に削減できます。入社後すぐにパフォーマンスを発揮しやすい点は、大きな魅力です。
採用コストを大幅に削減できる
一般的な中途採用では、求人広告の出稿費用や人材紹介会社への成功報酬など、一人あたり数十万~数百万円のコストがかかります。アルムナイ採用では、自社で構築したネットワークを通じて直接アプローチするため、これらの費用がほとんどかかりません。採用にかかる時間的・人的コストも抑えられるため、費用対効果の非常に高い採用手法と言えます。
ミスマッチによる早期離職のリスクが低い
中途採用における大きな課題の一つが、入社後のミスマッチです。「思っていた仕事内容と違った」「社風が合わなかった」といった理由による早期離職は、企業にとっても本人にとっても不幸な結果です。アルムナイ採用では、お互いのことをよく理解しているため、こうしたギャップが起こりにくく、結果として高い定着率が期待できます。
他社での経験を自社に還元してくれる
一度外の世界に出たアルムナイは、他社で新たなスキルや知識、人脈を身につけています。彼らが復帰することで、自社にはなかった新しい視点やノウハウがもたらされ、組織の活性化やイノベーションのきっかけになることも少なくありません。
アルムナイ採用の3つのデメリットと対策
多くのメリットがある一方、アルムナイ採用には注意すべき点も存在します。事前に対策を講じることで、リスクを最小限に抑えましょう。
既存社員のモチベーションに影響を与える可能性がある
「なぜ一度会社を辞めた人が、自分より良い役職や給与で戻ってくるのか」といった不公平感が、既存社員の間に生まれるリスクがあります。
対策:再雇用時の給与や役職を決定するプロセス・基準を明確にすることが重要です。他社での経験や身につけたスキルを客観的に評価し、なぜその処遇になるのかを既存社員にも丁寧に説明する責任が求められます。
退職時のネガティブな理由が再発する恐れがある
人間関係や労働時間、評価制度など、ネガティブな理由で退職した場合、その原因が解決されていなければ、同じ理由で再び離職してしまう可能性があります。
対策:面談の場で退職理由を真摯にヒアリングし、当時から労働環境や制度が具体的にどう改善されたのかを誠実に伝えましょう。課題から目をそらさず、向き合う姿勢が信頼に繋がります。
アルムナイ(退職者)との関係構築に手間がかかる
退職者の情報を管理し、定期的にコミュニケーションを取り続けるには、相応の時間と労力がかかります。日々の業務に追われる人事担当者にとっては、大きな負担になり得ます。
対策:退職者専用のSNSグループを作成して情報発信の場としたり、年に数回ニュースレターを送付したりと、効率的に関係を維持できる仕組みをあらかじめ構築しておくことが有効です。
アルムナイ採用を成功させるための5つのステップ
では、具体的にアルムナイ採用を導入するにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、5つのステップに分けて解説します。
制度設計と社内コンセンサスの形成
まずは、アルムナイ採用のルールを明確にしましょう。「対象となるのは円満退職者のみ」「勤続年数が〇年以上だった者」といった対象者の条件、選考プロセス、復帰後の処遇などを定めます。同時に、なぜアルムナイ採用を導入するのか、その目的とメリットを経営層から現場の社員までしっかりと共有し、全社的な理解を得ることが成功の第一歩です。
【関連】アルムナイ採用を成功させる制度とは?具体的な設計方法と運用のコツ
退職者情報のデータベース化
次に、円満退職者を対象に、連絡先や在籍時の所属・役職、実績、退職理由などを記録し、データベースとして蓄積・管理します。本人の同意を得た上で、今後の連絡をしても良いかを確認しておくことが重要です。
アルムナイ・ネットワークの構築・運用
データベースをもとに、退職者との継続的な接点を作ります。例えば、以下のような方法が考えられます。
・退職者限定のFacebookグループやLINEオープンチャットの作成
・四半期に一度のメールマガジン配信(会社の近況や実績を報告)
・年に一度の交流イベント(同窓会)の開催
適切なタイミングでのアプローチ
新規事業の立ち上げや専門職の欠員募集など、具体的な求人が発生した際に、データベースの中から適任と思われる人物に個別にアプローチします。「あなたの〇〇という経験を、今まさに弊社で活かしてほしい」といった、パーソナルで熱意のある声かけが心を動かします。
スムーズな受け入れ体制の整備
復帰が決定したら、受け入れ準備も万全に行いましょう。配属先のチームメンバーには事前に経緯を説明し、温かく迎え入れる雰囲気を作ることが大切です。また、復帰後の役割やミッションを明確に伝え、孤立させないためのフォロー体制(例:メンター制度)を整えることで、スムーズな再スタートを支援します。
アルムナイ採用を導入する際の重要な注意点
最後に、制度を運用する上で特に注意すべき2つのポイントを解説します。
処遇の公平性を担保する
デメリットでも触れましたが、既存社員との公平性は極めて重要です。他社での経験年数やスキルアップを客観的に評価し、誰もが納得できる処遇を決定してください。透明性のある評価基準が、組織全体の信頼関係を維持します。
「辞めた会社に戻る」という心理的ハードルを理解する
企業側が歓迎していても、アルムナイの側には「元同僚にどう思われるだろうか」「浦島太郎状態にならないだろうか」といった不安やためらいがあるものです。この心理的ハードルを理解し、まずは情報交換から始めるカジュアルな面談の場を設けるなど、応募への障壁を下げる工夫が効果的です。
おすすめのアルムナイ採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。「リファアルム」を使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。
1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。
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本記事では、アルムナイ採用と出戻り採用の違いから、導入を成功させるための具体的なステップまで解説しました。
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しかし、「アルムナイ採用と出戻り採用の違いについてさらに詳しく知りたい」
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