アルムナイ採用とカムバック採用の違いとは?メリットから導入ステップまで解説

アルムナイ採用とカムバック採用の違いとは?メリットから導入ステップまで解説

「求人を出しても応募が集まらない」「採用しても、なかなか定着しない」。 昨今の人材不足や採用競争の激化に、多くの企業の経営者様や人事担当者様が頭を悩ませているのではないでしょうか。

こうした状況を打開する新たな採用戦略として、今、「アルムナイ採用」や「カムバック採用」が注目を集めています。一度は自社を離れた「退職者」を、再び仲間として迎え入れる手法です。

「言葉は聞くけど、違いがよく分からない」 「退職者を再雇用するなんて、自社でもできるのだろうか?」

この記事では、そんな疑問にお答えします。アルムナイ採用とカムバック採用の明確な違いから、それぞれのメリット・デメリット、そして中小企業でも実践できる具体的な導入ステップまで、分かりやすく徹底解説します。

ぜひ最後までお読みいただき、貴社の採用活動を成功に導くヒントを見つけてください。

アルムナイ採用とカムバック採用の基本的な違い

どちらも「元社員を再雇用する」という点では共通していますが、その考え方や対象範囲に違いがあります。まずは、それぞれの言葉の定義を正確に理解しましょう。

アルムナイ採用とは?

「アルムナイ(alumni)」とは、英語で「卒業生」や「同窓生」を意味する言葉です。

ここから転じて、企業の退職者を「卒業生」と捉え、退職理由を問わず、退職後も良好な関係を継続し、再雇用の機会を探る採用戦略全般を「アルムナイ採用」と呼びます。

大きな特徴は、再雇用だけを目的とせず、退職者との継続的な繋がり(アルムナイ・ネットワーク)を重視する点にあります。このネットワークを通じて、再雇用だけでなく、業務委託での協業や、顧客・採用候補者の紹介(リファラル)といった、より幅広い協力関係の構築を目指します。

カムバック採用とは?

「カムバック採用」は、文字通り「戻ってくる」ことを前提とした採用制度で、「出戻り採用」とも呼ばれます。

こちらは、主に結婚・出産・育児・介護・配偶者の転勤といった、やむを得ないライフイベントを理由に退職した社員を対象に、企業側が再雇用の門戸を開いておく制度を指します。

アルムナイ採用が退職者との関係構築に重きを置くのに対し、カムバック採用は、あらかじめ特定の条件を満たした元社員を再雇用するための「制度」としての側面が強いのが特徴です。

一番の違いは「対象者」と「関係性の継続」

両者の違いをまとめると、以下のようになります。

アルムナイ採用カムバック採用
考え方退職者は「卒業生」。企業と対等なパートナー復帰を前提とした人材の受け皿
対象者全ての退職者(キャリアアップのための転職等も含む)主にライフイベント等でやむを得ず退職した社員
主軸継続的な関係構築(ネットワークの活用)再雇用制度の整備・運用
関係性広義(再雇用、業務委託、リファラルなど)限定的(再雇用がメイン)

このように、カムバック採用はアルムナイ採用という大きな枠組みの中に含まれる、より具体的な施策の一つと捉えることもできます。

なぜ今、アルムナイ採用・カムバック採用が注目されるのか?

では、なぜ今、多くの企業が退職者に再び目を向けるようになったのでしょうか。その背景には、社会や働き方の大きな変化があります。

人材の流動化と終身雇用の変化

かつて主流だった終身雇用は過去のものとなり、キャリアアップのための転職は当たり前の選択肢となりました。企業と個人の関係も変化し、「一度会社を辞めたら裏切り者」といったネガティブな価値観は薄れています。これにより、企業と退職者が退職後も良好な関係を築きやすくなりました。

採用コストの高騰と採用手法の多様化

求人広告費や人材紹介サービスの手数料は年々増加傾向にあり、企業の採用コストは膨らみ続けています。そこで、社員の紹介で採用する「リファラル採用」のように、既存の人的ネットワークを活用してコストを抑える採用手法への関心が高まっており、アルムナイ採用もその一つとして注目されています。

働き方の多様化への対応

育児や介護と仕事を両立させたい、といった個人の事情に合わせた多様な働き方への対応は、企業にとって重要な課題です。カムバック採用制度は、優秀な人材がライフイベントを理由にキャリアを諦めることを防ぎ、企業にとっても貴重な人材の流出を防ぐ有効な手段となります。

アルムナイ採用・カムバック採用のメリット・デメリット

制度を導入する前に、企業と元社員、双方の視点からメリット・デメリットをしっかり把握しておきましょう。

企業側にとってのメリット

  • 即戦力としての活躍が期待できる
    会社の文化や事業内容、人間関係を既に理解しているため、入社後の立ち上がりが非常にスムーズです。研修やオンボーディングにかかる時間とコストを大幅に削減できます。
  • ミスマッチが少なく、定着率が高い
    お互いの長所も短所も理解した上での再雇用となるため、「こんなはずではなかった」という入社後のミスマッチが起こりにくく、高い定着率が期待できます。
  • 採用コストを大幅に削減できる
    求人広告や人材紹介サービスを利用する必要がないため、採用にかかる直接的なコストをほぼゼロに抑えることが可能です。
  • 外部で得た新たな知識や人脈の還元
    (特にアルムナイ採用の場合)元社員が他社で培った新しいスキルや知識、人脈を自社に持ち帰ってくれることで、組織の活性化やイノベーションの創出に繋がります。

企業側にとってのデメリット・注意点

  • 既存社員との待遇バランスへの配慮が必要
    再雇用時の給与や役職をどう設定するかは、非常にデリケートな問題です。既存社員が不公平感を抱かないよう、明確な評価基準に基づいた処遇の決定と、丁寧な説明が不可欠です。
  • 退職理由によっては、社内の人間関係に影響が出る可能性
    特に人間関係が原因で退職した場合、復帰することで既存社員のモチベーション低下を招く恐れがあります。受け入れ前に、関係部署へのヒアリングなど慎重な判断が求められます。
  • アルムナイ・ネットワークの構築・維持に手間がかかる
    退職者との継続的な関係を維持するためには、定期的な情報発信やイベント企画など、相応の人的リソースが必要になります。

元社員側にとってのメリット

  • スムーズに職場環境に馴染める安心感
    慣れ親しんだ環境で、気心の知れた仲間と再び働けることは、大きな精神的安心感に繋がります。
  • 自身の成長や外部での経験を活かせる
    他社で得た経験を活かして、以前より高いポジションで活躍したり、新しい役割を担ったりできる可能性があります。

【関連】今、注目すべき「アルムナイ採用」5つのメリットと成功の秘訣

アルムナイ採用・カムバック採用の導入5ステップ

「大企業ならともかく、うちのような会社でネットワークを作るのは難しそうだ…」と感じるかもしれません。しかし、ポイントを押さえれば、中小企業でも十分に導入は可能です。ここでは、具体的な5つのステップをご紹介します。

目的と対象者の明確化

まず、「何のために制度を導入するのか」を明確にしましょう。「即戦力となる経験者を採用したいのか」「多様な働き方を推進したいのか」など、目的によって制度設計は変わります。同時に、どのような元社員に戻ってきてほしいかを具体的にイメージすることも大切です。

社内ルールの整備

次に、再雇用時のルールを定めます。特に重要なのが、給与や役職などの待遇です。「在籍時の評価をベースにする」「他社での経験を上乗せして評価する」など、明確で公平な基準を作りましょう。このルールは、後々のトラブルを防ぐためにも、既存社員にも公開し、理解を得ておくことが重要です。

退職者との接点を作る

最も重要なのが、退職者との繋がりをどう維持するかです。大掛かりなシステムは必要ありません。 例えば、以下のような簡単な方法から始められます。

  • 退職者向けのSNSグループ(Facebookなど)を作成する
  • 本人の許可を得て、定期的に会社の近況を伝えるメールマガジンを配信する
  • 退職者も参加できる社内イベントを企画する

円満退職が大前提ですが、こうした緩やかな接点を持ち続けることが、いざという時の声がけに繋がります。

情報発信とコミュニケーション

接点ができたら、定期的に情報を発信しましょう。会社の新しい取り組みや求人情報はもちろん、「〇〇さんが活躍しています」といった社内のポジティブなニュースを共有することで、退職者の関心を維持し、「またあの会社で働きたいな」という気持ちを育みます。

受け入れ体制の構築と改善

実際に元社員が戻ってきたら、孤立しないようにフォロー体制を整えましょう。直属の上司だけでなく、人事担当者が定期的に面談するなど、ケアすることが大切です。また、復帰した社員や周囲の社員からフィードバックをもらい、制度をより良いものへと改善していく視点も忘れてはいけません。

アルムナイ採用・カムバック採用を成功させるポイント

最後に、制度を形骸化させず、本当に意味のあるものにするための本質的なポイントを3つお伝えします。

「円満退職」をデザインする

全ての土台となるのが、退職時の体験です。たとえ退職する社員であっても、最後まで敬意をもって接し、「この会社で働けて良かった」と思ってもらうことが何よりも重要です。良好な退職体験こそが、「また戻りたい」という気持ちの種になります。

既存社員への丁寧な配慮

復帰する元社員がいる一方で、会社を支え続けてくれている既存社員がいることを忘れてはいけません。元社員の復帰によって既存社員が不利益を感じたり、モチベーションを下げたりすることがないよう、制度の趣旨や待遇の決定プロセスを丁寧に説明し、社内の理解と協力を得ることが成功の鍵です。

スモールスタートで始める

最初から完璧な制度や大規模なネットワークを目指す必要はありません。まずは、過去の退職者名簿を整理し、連絡先をアップデートすることから始めてみましょう。あるいは、直近の円満退職者とSNSで繋がるだけでも立派な第一歩です。できることから着実に進めていくことが、成功への一番の近道です。

おすすめのアルムナイ採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。「リファアルム」を使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。

1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。

2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。

3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。

アルムナイ採用でお困りの企業様は、「リファアルム」にお問い合わせください

本記事では、アルムナイ採用とカムバック採用の違いから、具体的な導入ステップ、成功のポイントまでを解説しました。

  • アルムナイ採用は、退職者を「卒業生」と捉え、継続的な関係構築を目指す広義の戦略。
  • カムバック採用は、主にライフイベントで退職した社員を対象とした具体的な再雇用制度。
  • どちらも採用コストの削減や即戦力の確保に繋がり、成功の鍵は「円満退職」と「既存社員への配慮」にあります。

アルムナイ採用やカムバック採用は、単なる採用手法の一つではありません。それは、企業と働く個人の新しい関係性を築くための重要な経営戦略です。

しかし、「アルムナイ採用とカムバック採用の違いについてさらに詳しく知りたい」

「アルムナイ採用を始めたいが、何から手を付けたら良いか分からない」

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