リファラル採用の制度設計とは?成功に導く運用のコツ

「リファラル採用を導入したいが、何から手をつければいいか分からない」 「制度を作ったはいいものの、全く紹介が集まらず形骸化している…」
企業の経営者や人事担当者の皆様から、このようなお悩みをよく伺います。
リファラル採用は、採用コストの削減や定着率の向上など、多くのメリットが期待できる魅力的な採用手法です。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、社員の善意や努力だけに頼るのではなく、戦略的な「制度設計」が欠かせません。
本記事では、リファラル採用を成功に導くための「制度設計の具体的な手順」と「運用を活性化させるためのコツ」を、テンプレートのように分かりやすく解説します。
もくじ
リファラル採用とは?メリットと制度設計の重要性
リファラル採用の概要
リファラル採用とは、社員やOB・OGなど、自社をよく知る人物から、その友人・知人を紹介してもらう採用手法のことです。紹介採用や縁故採用と混同されがちですが、あくまでも公平な選考プロセスを経る点が特徴です。
リファラル採用のメリット・デメリット
リファラル採用には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
- メリット
- 採用コストの削減:求人広告費や人材紹介手数料がかからず、採用単価を大幅に抑えられます。
- 定着率の向上:社員から社風や働きがいといったリアルな情報を聞いた上で入社するため、入社後のミスマッチが起こりにくく、定着率が高まる傾向にあります。
- 潜在層へのアプローチ:転職サイトには登録していないものの、良い機会があれば転職を考えている「転職潜在層」にアプローチできます。
- デメリット
- 人間関係のしがらみ:紹介者と被紹介者の関係性に配慮が必要です。特に不採用となった場合に、関係が悪化するリスクがあります。
- 母集団の偏り:社員と似たタイプの候補者が集まりやすく、組織の多様性が損なわれる可能性があります。
- 公募より母集団が小さい:一度に多くの候補者を集めるのには向いていません。
なぜ今、リファラル採用に「制度設計」が不可欠なのか
「社員に紹介をお願いするだけ」という、いわば「社員の善意」だけに頼った運用では、リファラル採用はうまくいきません。
「どんな人を紹介すればいいの?」 「もし不採用になったら、友人との関係が気まずい…」 「紹介したいけど、通常業務が忙しくて後回しになってしまう」
このような社員の不安やためらいを取り除き、安心して協力してもらうためには、公平で透明性の高いルール、つまり「制度」が必要です。しっかりとした制度を設計し、全社で共有することこそが、リファラル採用成功の第一歩です。
リファラル採用の制度設計で決めるべき9つの必須項目
ここからは、リファラル採用の制度を設計する上で決めるべき9つの項目を解説します。自社の状況に合わせて、一つひとつ検討してみてください。
1. 目的とKGI/KPIの設定
まず、「何のためにリファラル採用を行うのか」という目的を明確にしましょう。目的が明確になることで、関係者の目線が揃い、具体的な目標(KGI/KPI)も設定しやすくなります。
- 目的の例:
- 採用コストを現状から〇%削減する
- 離職率を改善するため、企業文化に合う人材を獲得する
- 採用が難しいエンジニア職を〇名採用する
- KPIの例:
- 紹介数、応募数、採用決定数、決定率
2. 対象となるポジション(募集職種)
全社的に募集するのか、特定のポジションに限定するのかを決めます。最初は、人材要件が明確で、社員も紹介しやすい職種に絞ってスモールスタートするのも良いでしょう。
3. 紹介者の対象範囲
誰からの紹介を受け付けるかを定義します。対象を広げるほど紹介数は増える可能性がありますが、管理が煩雑になる側面もあります。
- 対象者の例:
- 正社員のみ
- 正社員、契約社員、パート・アルバイト
- 上記に加え、退職者(OB/OG)や業務委託パートナー
4. 被紹介者の対象範囲
紹介してもらう候補者の条件を明確にします。ただし、条件を厳しくしすぎると紹介のハードルが上がるため注意が必要です。
- 定義する項目の例:
- 紹介者との関係性(友人、知人、元同僚など)
- 必須のスキルや経験年数
5. 報酬(インセンティブ)制度
社員の協力意欲を高める上で、インセンティブは非常に重要な要素です。社員が「協力したい」と思えるような、魅力的で公平な制度を設計しましょう。
- 報酬の種類 金銭だけでなく、社員の満足度を高める多様な選択肢が考えられます。
- 金銭:報奨金、インセンティブ
- 金券:ギフト券、旅行券、食事券
- その他:特別休暇、希望部署への異動、社会貢献活動への寄付
- 報酬額の相場 採用の難易度によって変動しますが、一般的には人材紹介会社に支払う手数料の10分の1程度が目安とされています。
- 一般職・事務職:1万円~10万円
- 専門職(エンジニア、デザイナーなど):10万円~30万円以上
- 支払いタイミングと条件 トラブルを避けるため、支払いのタイミングと条件は明確に規定しましょう。
- 例1:被紹介者が内定を承諾し、入社が確定した時点で5万円を支給。
- 例2:被紹介者が入社し、試用期間(3ヶ月)を満了した時点で10万円を支給。
6. 選考フローと役割分担
リファラル採用経由の候補者も、原則として通常の選考フローに乗せ、公平性を担保することが重要です。その上で、紹介者の役割を明確にしておきましょう。 (例:最初のカジュアルな会社説明のみ担当してもらう、面接には同席しない、など)
7. 運用ルール(禁止事項など)
思わぬトラブルを防ぐため、事前にルールを定めておきましょう。
- ルール・禁止事項の例:
- 候補者の意思を尊重し、無理な勧誘は行わない
- SNSなどで誰でも閲覧できる場所に、インセンティブ制度について詳細に投稿しない
- 不採用の理由は、原則として候補者本人以外には開示しない
8. 周知・協力依頼の方法
制度は、作って終わりではありません。全社員に内容を正しく理解してもらい、継続的に協力を仰ぐための仕組みが必要です。
- 周知方法の例:
- 全社集会や部署会議での説明会実施
- 社内報やイントラネットへの掲載
- ビジネスチャットでの定期的なリマインド
9. 効果測定と改善の方法
設定したKPIを定期的に測定し、制度がうまく機能しているかを評価します。「紹介数が少ない」「特定の部署からしか紹介がない」といった課題が見つかれば、社員へのヒアリングなどを通じて原因を探り、制度の改善(PDCA)を回していきましょう。
リファラル採用の制度設計で重要なツールの役割とは?
リファラル採用を実施する上で、専用ツールの活用は非常に有効です。ここでは、リファラル採用の制度設計を成功に導くために特に重要となるツールの機能をご紹介します。
制度設計には管理ツールが有効的
リファラル採用の制度設計を行った際には、その制度をしっかりと社内に周知することが大切です。細かい求人情報を一つ一つ伝えるのは手間がかかる作業になってしまいますが、ツール内の求人ページをURLやQRコードなどで共有できる機能があると、社内でリファラル採用が浸透しやすくなります。また、紹介を受けた側も簡単に応募フォームへ遷移できるため、応募へのハードルが大きく下がります。
社内への情報共有が行いやすい「社内報機能」
リファラル採用の制度設計は改善されていくため、逐一周知を行うことが必要です。定期的に「リファラル通信」といった社内報を展開することで、どのような取り組みをしているのか、どんなメリットがあるのかを周知しやすくなります。
従業員に感謝を伝えられる「サンクスカード機能」
リファラル採用にとって非常に重要なことは、紹介者の社員に対して感謝を表すことです。ツールを活用していれば、採用に協力してくれた社員に対する称賛もサンクスカード機能を通じて行うことが可能です。
リファラル採用の制度導入から運用までの流れ
制度設計で決めた項目をもとに、以下の4ステップで導入・運用を進めていきましょう。
STEP1:制度設計とルールブックの作成
前章の9項目を決定し、その内容を誰が見ても分かる「ルールブック」としてドキュメントにまとめます。
STEP2:社内への告知・説明会の実施
完成した制度を、全社員に向けて丁寧に説明します。特に、制度を作った背景や目的を経営層の言葉で直接伝えることで、社員の協力意識が格段に高まります。
STEP3:運用開始と紹介の受付
紹介を受け付ける専門の窓口(人事部など)を設け、運用を開始します。社員がいつでも募集要項や紹介方法を確認できるよう、社内ポータルサイトなどに情報をまとめておくと親切です。
STEP4:効果測定と改善
定期的にKPIの進捗を確認し、制度の改善を続けます。成功事例(〇〇さんの紹介で入社した△△さんが大活躍しています!など)を社内に共有することも、制度の活性化につながります。
リファラル採用で設計した制度を活性化させるコツ
最後に、制度を形骸化させず、継続的に成果を出すためのコツを3つご紹介します。
1. 経営層が本気度を伝え、自らも協力する
「会社としてリファラル採用に本気で取り組んでいる」というメッセージを、経営層が繰り返し発信することが何よりも重要です。トップ自らが「良い人がいたらぜひ紹介してほしい」と語りかけることで、社員の当事者意識が醸成されます。
2. 定期的な情報発信と魅力的なコンテンツ
単に「このポジションを募集しています」と告知するだけでは、社員はなかなか行動に移せません。「新メンバーのインタビュー記事」「部署紹介動画」「自社製品がお客様に喜ばれたエピソード」など、社員が思わず友人に話したくなるような、会社の魅力を伝えるコンテンツを定期的に発信しましょう。
3. 紹介してくれた社員への「感謝」と「丁寧なフィードバック」
インセンティブはもちろん重要ですが、それ以上に「感謝の気持ち」を伝えることが、次の協力につながります。 採用が決まった場合はもちろん、残念ながら不採用となった場合でも、「今回はご縁がありませんでしたが、大切なご友人を紹介してくださり、本当にありがとうございました」と、人事や経営層から直接、感謝と労いの言葉を伝えましょう。このひと手間が、紹介してくれた社員のエンゲージメントを高め、信頼関係を築きます。
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本記事では、リファラル採用の制度設計について、決めるべき9つの項目から運用の流れ、活性化のコツまでを網羅的に解説しました。
リファラル採用の成功は、社員の協力意欲を引き出す「戦略的な制度設計」にかかっています。
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