リファラル採用の制度の作り方とは?社員が協力したくなる仕組みを解説

近年、企業の採用手法として「リファラル採用」への注目がますます高まっています。単なる「縁故採用」とは異なり、自社をよく理解する社員の紹介を通じて、企業文化にマッチした優秀な人材を獲得する戦略的な採用手法です。
しかし、多くの企業様から「制度を導入したものの、社員がなかなか協力してくれない」「これから始めたいが、何から手をつければ良いか分からない」といったお悩みの声も耳にします。
リファラル採用の成否は、社員の善意や個人の頑張り任せにするのではなく、全社で取り組むための「仕組みづくり」、すなわち「制度設計」にかかっています。
本記事では、リファラル採用を成功に導くための「失敗しない制度設計」について、具体的なステップから注意点まで、分かりやすく解説します。
もくじ
なぜリファラル採用に「制度」の設計が不可欠なのか?
なぜ、リファラル採用を始めるにあたって、しっかりとした「制度」を設計することが重要なのでしょうか。その理由は、場当たり的な運用では、さまざまな問題が生じる可能性があるからです。
属人化を防ぎ、全社的な取り組みにするため
制度がなければ、リファラル採用は一部の顔が広い社員や、採用活動に意欲的な社員の頑張りに依存してしまいます。これでは継続的な成果は見込めません。明確なルールとフローを定めることで、誰もが参加しやすくなり、会社全体で採用に取り組む文化を醸成できます。
公平性と透明性を担保し、社員の不満を防ぐため
「誰が紹介したら、どんな報酬がもらえるのか」「どんな流れで選考が進むのか」といったルールが曖昧だと、「あの人だけ優遇されているのではないか」といった社員の不満やトラブルに繋がりかねません。制度によって公平性と透明性を担保することは、社員の信頼を得て、安心して協力してもらうための大前提です。
採用活動の継続性と安定性を高めるため
採用担当者が変わるたびに運用方法が変わるようでは、リファラル採用は社内に定着しません。制度として明文化することで、担当者の変更に左右されず、持続可能な採用チャネルとして機能させることができます。これにより、企業の採用力は安定的に向上していくのです。
リファラル採用制度の作り方
それでは、実際にリファラル採用の制度を構築するための具体的な手順を、5つのステップに分けて見ていきましょう。
目的とKGI/KPIを明確にする
まず最初に、「なぜ、自社はリファラル採用を行うのか?」という目的を明確にしましょう。目的が曖昧なままでは、制度の方向性が定まりません。
- 目的の例
・採用コストを20%削減したい
・ミスマッチを減らし、入社後1年以内の定着率を95%以上にしたい
・開発部門のエンジニアなど、特定のスキルを持つ人材を獲得したい
目的を定めたら、その達成度を測るための具体的な目標数値(KGI/KPI)を設定します。
- KGI/KPIの例
・年間採用人数の15%をリファラル経由で決定する(KGI)
・毎月10件の紹介応募を集める(KPI)
・社員の半数が制度を認知している状態にする(KPI)
社内ルールを具体的に定める
目的と目標が定まったら、トラブルを未然に防ぎ、スムーズに運用するための詳細なルールを決めていきます。以下の項目は最低限、定めておきましょう。
- 対象者(紹介者・被紹介者)の範囲
・紹介者: 正社員のみか、契約社員やアルバイト、役員も対象にするのかを決めます。人事担当者は対象外とすることが一般的です。
・被紹介者: 元社員の再雇用(アルムナイ採用)を認めるか、被紹介者に求める経験・スキルなどを設定するかを明確にします。 - 紹介フロー(誰に、どうやって紹介するか)
・社員が友人・知人を紹介したいと思ったとき、「人事部の誰に」「どのような情報(履歴書など)を」「どんな方法(申請フォーム、メールなど)で」伝えればよいかを具体的に定めます。フローが複雑だと利用率が下がるため、できるだけシンプルにしましょう。 - 選考プロセスでの配慮
・リファラル応募だからといって、無条件で採用するわけにはいきません。通常の選考フローと同じ基準で、公平に選考を行うことを周知しましょう。
・特に不採用となった場合、紹介者と被紹介者の人間関係に影響が出ないよう、結果の伝え方やフォロー体制を事前に決めておくことが極めて重要です。 - 禁止事項
・企業の評判を落とさないためにも、「本人の同意なく応募する」「無理に勧誘する」といった行為は明確に禁止しましょう。
インセンティブ(報酬)制度を設計する
社員の協力意欲を引き出すインセンティブは、制度の成功を左右する重要な要素です。
- 報奨金の相場と決め方
・報奨金の相場は、一般的に1万円~30万円程度と幅広く、企業の規模や採用する職種の難易度によって変動します。採用が難しい専門職や役職者の場合は、それ以上に設定されることもあります。
・目安として、1人採用するためにかかる求人広告費や人材紹介手数料の2~3割程度を参考に、自社に合った金額を検討すると良いでしょう。 - 金銭以外のインセンティブ例
・インセンティブは金銭だけとは限りません。食事券やギフトカード、特別休暇の付与、社内イベントでの表彰など、社員が喜ぶユニークな報酬を用意するのも効果的です。 - 支払い条件とタイミング
・「紹介された人が入社したらすぐ支払う」のか、「試用期間満了後(例:入社3ヶ月後)に支払う」のかなど、支払いの条件とタイミングは明確に規定しましょう。早期退職のリスクを考慮し、「入社後一定期間の定着を確認してから支給」とする企業が一般的です。
社内への周知・協力依頼の方法を計画する
どんなに素晴らしい制度を作っても、社員に知られていなければ意味がありません。全社員に制度を認知してもらい、協力を仰ぐための計画を立てましょう。
- 全社説明会の実施
- 社内ポータルサイトや社内報、チャットツールでの定期的な告知
- 制度の概要や紹介方法をまとめた資料の配布
- 経営層から、全社朝礼などで協力をお願いするメッセージを発信
特に、経営層から直接「会社の未来のために、皆の力を貸してほしい」と伝えることは、社員の当事者意識を高める上で非常に効果的です。
効果測定と改善の仕組みを整える
制度は一度作ったら終わりではありません。定期的に運用状況を振り返り、改善していくPDCAサイクルを回す仕組みを整えましょう。
- 見るべき指標の例
紹介数、応募数、面接設定率、内定率、採用決定率、費用対効果など - 改善アクションの例
・「紹介数が少ない」→ 報奨金の見直し、周知方法の強化
・「応募は来るが内定に繋がらない」→ 募集ポジションの要件と、社員がイメージする人物像にズレがないか確認
リファラル採用制度が形骸化する3つの原因と対策
もし、すでに制度があるにも関わらず上手くいっていない場合、以下のような原因が考えられます。
制度が複雑で、社員が「面倒」だと感じている
紹介する際の手続きが煩雑だったり、申請方法が分かりにくかったりすると、社員は「善意で協力したいけど、面倒だからやめておこう」となってしまいます。
【対策】 紹介用の申請フォームをシンプルにする、誰に相談すれば良いか窓口を一本化するなど、社員の手間を極力減らす工夫をしましょう。
協力してもメリットを感じない(インセンティブの問題)
労力に見合わないインセンティブでは、社員の協力意欲は湧きません。また、インセンティブが低すぎるだけでなく、「感謝されている実感がない」こともモチベーション低下の原因になります。
【対策】 報奨金の金額を見直すだけでなく、紹介・協力してくれた社員を全社の場で表彰したり、経営層から直接お礼を伝えたりするなど、「感謝を伝える文化」を醸成することが大切です。
「不採用になったら気まずい」という心理的ハードル
「紹介した友人が不採用になったら、関係が気まずくなるのではないか…」これは、社員が紹介をためらう最も大きな理由の一つです。
【対策】 人事部が紹介者と被紹介者の間に立ち、選考結果を丁寧にフォローする体制を整えましょう。「紹介はあくまで『きっかけ』であり、選考は公平に行う。結果に関わらず、紹介してくれたことに感謝している」というメッセージを伝え続けることが、心理的ハードルを下げる鍵となります。
リファラル採用の制度をさらに活性化させるには
最後に、制度を形骸化させず、さらに活性化させていくためのアイデアをいくつかご紹介します。
経営層からの継続的なメッセージ発信
導入時だけでなく、定期的に経営層がリファラル採用の重要性を語り、協力への感謝を伝えることで、活動の熱を維持することができます。
紹介者・協力者への感謝を伝える文化づくり
採用が決まった時だけでなく、紹介というアクションそのものを称賛する雰囲気を作りましょう。「〇〇さんが素敵な方を紹介してくれました!」といったポジティブな情報を社内で共有するのも良い方法です。
採用管理ツール(ATS)の活用による効率化
紹介者からの応募受付、選考状況の管理、紹介者への進捗共有などを手作業で行うのは大変です。採用管理ツール(ATS)を導入すれば、これらの業務を効率化でき、人事担当者の負担を軽減し、よりスムーズな制度運用が可能になります。
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本記事では、リファラル採用の制度設計について、具体的なポイントを解説しました。
リファラル採用の成功は、単にインセンティブを用意するだけでは成し遂げられません。「なぜやるのか」という目的を明確にし、公平で分かりやすいルールを定め、全社に周知し、継続的に改善していく「制度」という土台が不可欠です。
そして何より大切なのは、紹介という形で会社に貢献してくれる社員への「配慮」と「感謝」の気持ちです。緻密な制度設計と、人を大切にする温かい文化が両輪となって初めて、リファラル採用は企業の成長を支える強力なエンジンとなります。
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