アルムナイ採用を成功させる制度とは?具体的な設計方法と運用のコツ

アルムナイ採用を成功させる制度とは?具体的な設計方法と運用のコツ

「元社員の再雇用、いわゆる『アルムナイ採用』に関心はあるものの、具体的にどのような制度を整えれば良いのか分からない…」 「場当たり的に元社員を呼び戻しているが、効果的な運用ができているか不安だ…」

優秀な人材の確保がますます難しくなる中で、有効な一手となり得る「アルムナイ採用」ですが、上記のようなお悩みを抱える経営者様や人事担当者様も多いのではないでしょうか。

アルムナイ採用の成否は、しっかりとした「制度設計」にかかっていると言っても過言ではありません。

本記事では、アルムナイ採用を成功に導くための制度設計について、具体的なステップで徹底的に解説します。

アルムナイ採用とは? なぜ今「制度」が重要なのか

アルムナイ採用の基礎知識

アルムナイ採用とは、企業の退職者(アルムナイ=卒業生)を再び雇用する採用手法のことです。一度は自社を離れた人材とのつながりを維持し、再び活躍してもらうことで、企業と個人の新しい関係性を築く取り組みとして注目されています。

なぜアルムナイ採用は「制度化」が必要? 場当たり的な再雇用との違い

「退職者が出たら、その都度声をかければ良いのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、場当たり的な再雇用には限界があります。アルムナイ採用を「制度化」することには、明確なメリットが存在します。

  • 公平性・透明性の担保
    制度としてルールを明文化することで、誰にでも公平な機会が与えられ、採用プロセスの透明性が高まります。これにより、現役社員の不公平感を防ぐことにも繋がります。
  • アルムナイ(退職者)の復帰に対する心理的ハードルの低下
    「いつでも戻ってきて良い」という会社の姿勢が明確になることで、退職者は復職を検討しやすくなります。「自分だけ特別扱いされているのでは?」といった心理的な負担を感じることなく、応募しやすくなるのです。
  • 継続的な関係構築による、企業の資産としてのアルムナイネットワーク形成
    制度があることで、企業は退職者との関係を組織的に、かつ継続的に維持しようとします。このアルムナイ・ネットワークは、再雇用だけでなく、ビジネスパートナーの紹介や新たなビジネスチャンスの創出など、企業の貴重な資産となり得ます。

アルムナイ採用制度が企業にもたらす3つのメリット

制度を整えてアルムナイ採用に取り組むことで、企業は以下のような大きなメリットを享受できます。

  • 即戦力の確保とミスマッチの低減

    元社員であるため、企業文化や事業内容、人間関係を深く理解しています。入社後の立ち上がりが早く、即戦力として活躍が期待できます。また、「思っていた会社と違った」というミスマッチが起こる可能性も極めて低いでしょう。
  • 採用・教育コストの大幅な削減

    求人広告費や人材紹介手数料といった外部コストをかけずに候補者へアプローチできるため、採用コストを大幅に削減できます。また、オンボーディング(受け入れ研修)にかかる時間やコストも最小限に抑えられます。
  • 企業文化の強化と多様性の促進

    アルムナイは、一度外の世界を経験し、新たなスキルや知見を身につけています。彼らが組織に復帰することで、社内に新しい風が吹き込まれ、組織の活性化や多様性の促進に繋がります。

アルムナイ採用の制度の作り方

それでは、実際にアルムナイ採用制度を構築するための具体的なステップを見ていきましょう。

ステップ1:目的と対象者の明確化

まず、「何のために」アルムナイ採用を行うのか、そして「どんな人材に」戻ってきてほしいのかを明確にします。

  • 目的の例
    急な欠員補充
    ・専門性の高いポジションの充足
    ・新規事業の立ち上げメンバー確保
    ・組織の活性化、カルチャーの強化
  • 対象者の例
    特定のスキルや経験を持つ人材
    ・マネジメント経験者
    ・自社の企業理念に強く共感していた人材

ここを明確にすることで、以降の制度設計の軸が定まります。

ステップ2:再雇用の条件設定

次に、どのような条件を満たした退職者を制度の対象とするかを具体的に定めます。

  • 対象となる退職理由: 自己都合退職(転職、起業、留学など)、結婚・出産・育児、介護など。懲戒解雇は対象外とするのが一般的です。
  • 退職時の勤続年数: 例)正社員として3年以上勤務した者
  • 退職時の役職: 特に制限は設けないことが多いですが、目的によっては設定も可能です。
  • 退職後の経過年数: 例)退職後10年以内

これらの条件は、企業の考え方によって様々です。広く門戸を開けるのか、ある程度絞るのかを検討しましょう。

ステップ3:処遇(給与・役職)の決定

アルムナイが復職を検討する上で、処遇は非常に重要な要素です。公平性と納得感のあるルールを設けましょう。

  • 給与の考え方
    ・退職時の待遇をベースにする: 最もシンプルですが、退職後の経験が考慮されない可能性があります。
    現行の給与テーブルに合わせる: 社外での経験やスキルを評価し、現在の社員と同様の基準で格付けします。公平性を保ちやすい方法です。
  • 役職や等級の決め方
    社外で培った経験やスキルを客観的に評価し、現在の役職・等級基準に照らして決定するのが一般的です。
  • 試用期間の有無
    基本的には不要とすることが多いですが、ブランクがある場合などは、双方の合意の上で設定することも考えられます。

ステップ4:アルムナイとのコミュニケーション設計

制度を作っても、退職者に知られていなければ意味がありません。退職後も良好な関係を維持するためのコミュニケーションプランを設計しましょう。

  • アルムナイ専用のSNSグループやポータルサイトの運営
    FacebookグループやSlack、専用のプラットフォームなどを活用し、アルムナイ同士や企業が気軽に交流できる場を作ります。
  • 定期的な情報発信
    会社の近況やプレスリリース、社内報、そしてもちろん求人情報などを定期的に発信し、会社のことを思い出してもらう機会を作ります。
  • 交流イベントの企画・開催
    オンラインまたはオフラインでの交流会やセミナーを開催し、直接コミュニケーションを取る機会を設けます。現役社員との交流の場にするのも良いでしょう。

ステップ5:社内規程の整備と周知

最後に、決定した内容を就業規則などの社内規程に明記し、全社員に周知します。

【就業規則 記載例】

第XX条(アルムナイ再雇用制度)

  1. 当社を自己都合により円満に退職した者のうち、本人が復職を希望し、かつ会社がその必要性を認めた場合、選考の上、再雇用することがある。
  2. 本制度の対象者は、正社員として3年以上勤務した者で、退職後10年以内の者とする。
  3. 再雇用時の労働条件(所属、職務内容、賃金、役職等)は、本人の経験、スキル、および当社の賃金規程等を勘案し、個別に決定する。

これはあくまで一例です。自社の状況に合わせてカスタマイズしてください。また、制度を導入する際は、現役社員に対して目的や背景を丁寧に説明し、不公平感が生まれないように配慮することが極めて重要です。

アルムナイ採用制度を作る際の注意点

現役社員への配慮を忘れない

アルムナイが好待遇で復帰した場合、現役社員が「真面目に働き続けているのに…」と不満を抱く可能性があります。制度の目的や選考基準、処遇の決定プロセスを明確にし、社内に丁寧に説明することが不可欠です。

円満な退職プロセスが制度の土台

アルムナイ採用は、良好な退職体験があってこそ成り立ちます。退職者が出る際に、これまでの貢献に感謝を伝え、円満に送り出す企業文化が、将来の再雇用に繋がる土台となります。

「戻ってきやすい雰囲気」と「明確なルール」を両立させる

フランクな関係性はもちろん重要ですが、馴れ合いになってはいけません。再雇用はあくまでもビジネス上の判断です。採用基準やプロセスは明確に定め、公私の区別をつけた運用を心がけましょう。

アルムナイ採用制度に関するQ&A

Q. アルムナイ・ネットワークでは、どんな情報を提供すれば良いですか?

A. 会社の事業に関する最新ニュース、プレスリリース、新規プロジェクトの紹介などがおすすめです。また、「元〇〇さんの現在」といったアルムナイ自身の活躍を紹介するコンテンツも喜ばれます。求人情報だけでなく、有益な情報交換の場とすることが関係維持のコツです。

Q. 専任の担当者は必要ですか?

A. 理想は専任担当者を置くことですが、中小企業では難しい場合も多いでしょう。まずは人事担当者が兼任する形でスタートし、運用の負荷に応じて体制を検討するのが現実的です。重要なのは、誰が担当かを明確にしておくことです。

Q. 再雇用時の給与はどう決めるのが一般的ですか?

A. 最もトラブルが少なく、公平性を保ちやすいのは「現行の給与テーブルに合わせる」方法です。退職後の経験やスキルを客観的に評価し、現在の社員と同じ基準で格付けすることで、本人も周囲も納得しやすくなります。

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今回は、「アルムナイ採用」の基本的な意味から、そのメリット・デメリット、具体的な導入ステップまでを解説しました。

アルムナイ採用は、単なる「出戻り制度」ではなく、一度離れたからこそ得られた新しい価値を持つ人材と、企業が再び手を取り合い、共に成長を目指すための戦略的な採用手法です。

人材の獲得競争が激化し、働き方が多様化する現代において、企業と退職者の関係性を見直し、貴重な人材プールとして捉え直すことは、持続的な成長を目指す上で非常に有効な一手となり得ます。

しかし、「アルムナイ採用の制度設計から運用まで、専門家のアドバイスが欲しい」
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