採用しても辞めてしまうのはなぜ?離職を防ぐために「入り口」で見直すべき3つのポイント
「ようやく優秀な人材を採用できたと思ったのに、半年で退職届を出されてしまった」 「現場のマンパワー不足を解消するために採用を急いだが、結局すぐに人が辞めてしまい、教育コストだけがかさんでいる」
いま、多くの経営者様や人事担当者様から、このような切実なご相談をいただきます。
少子高齢化による労働人口の減少に伴い、採用市場は「超」売り手市場が続いています。多額の採用コストと時間をかけ、数え切れないほどの面接を経てようやく獲得した人材が早期に離職してしまうことは、企業にとって深刻なダメージとなります。
なぜ、人はすぐに辞めてしまうのでしょうか? 「最近の若者は忍耐力がないから」「うちの会社の教育体制が整っていないから」などとご自身や現場を責めてしまう前に、一度疑ってみていただきたいことがあります。
それは、「採用の入り口」です。
離職率を下げるためには、入社後のフォローはもちろんですが、それ以上に「どのような蛇口(採用手法)から水を入れるか」が重要になります。
本記事では、採用と離職の切っても切れない関係性を紐解き、「定着する人材」を採用するために見直すべきポイントと、いま注目されている「リファラル採用・アルムナイ採用」の有効性について詳しく解説します。
もくじ
なぜ「採用」と「離職」はセットで考えるべきなのか
「採用担当の仕事は、入社承諾書をもらうまで」「離職防止は、配属先の部署や人事の教育担当の仕事」 もし、社内でこのように役割が完全に分断されているとしたら、それは非常に危険なサインです。まずは、採用と離職がどれほど密接に関わっているか、現状とリスクを確認しましょう。
深刻化する早期離職の現状
厚生労働省の調査によると、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は、大卒で約3割、高卒で約4割にのぼります(いわゆる「七五三現象」)。中途採用においても、入社後半年〜1年以内の早期離職は珍しいことではなくなりました。
「転職」がキャリアアップの手段として一般的になり、人材の流動性が高まっている現代において、「嫌なら辞めればいい」「合わなければ次へ行けばいい」という心理的ハードルは、かつてないほど下がっています。だからこそ、企業は「選ばれ続ける努力」と同時に、「最初からマッチ度の高い人材を選ぶ技術」が求められています。
離職が企業に与える「見えないコスト」
1人の社員が早期離職した際、企業が失うものは採用にかかった広告費や紹介手数料だけではありません。以下のような「見えないコスト」が経営を圧迫します。
- 教育コストの損失
入社後の研修やOJTに費やした既存社員の時間と人件費。 - 現場の疲弊とモチベーション低下
「せっかく教えたのにまた辞めたのか」という徒労感は、既存社員のエンゲージメント(会社への愛着心)を著しく低下させます。 - 採用活動のやり直し
再び母集団形成から始めなければならず、人事担当者の工数が圧迫され、コア業務に集中できなくなります。 - 企業ブランドの毀損
「あの会社はいつも求人を出している」「人がすぐ辞めるブラック企業ではないか」といった噂が立ち、次の採用がさらに困難になります。
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最大の原因は「入社後のミスマッチ」
退職理由の本音として最も多いのが、「思っていた仕事内容と違った」「社風が合わなかった」「聞いていた条件と違う」といったリアリティ・ショック(入社後の幻滅)です。
これらはすべて、採用段階における「企業と求職者の相互理解不足」、つまりミスマッチが原因です。入社後にどれだけ手厚い研修を行っても、根底にある「この会社は自分には合わない」という感覚を覆すのは容易ではありません。だからこそ、離職対策の第一歩は、採用手法そのものを見直すことにあるのです。
【関連】採用ミスマッチの原因とは?早期離職を防ぎ、定着率を高める対策を徹底解説
離職を招きやすい「NGな採用」の特徴
では、どのような採用活動がミスマッチ、ひいては早期離職を招いてしまうのでしょうか。多くの企業が陥りがちな3つのNGパターンをご紹介します。
1. メリットばかりを強調しすぎている(情報の非対称性)
「残業なし!」「アットホームな職場!」「若手が活躍!」 求人広告や面接で、自社の良いところばかりをアピールしていませんか?
求職者を集めたい一心で、仕事の厳しさや大変さ、泥臭い側面を隠して「綺麗な部分」だけを見せて採用すると、入社後に必ずギャップが生まれます。「こんなはずじゃなかった」という感情は、会社への不信感に直結します。 これを防ぐために重要なのが、RJP(Realistic Job Preview:現実的な仕事情報の事前開示)という考え方です。良い面も悪い面も含めて「ありのまま」を伝え、それでも働きたいと言ってくれる人を採用することが、定着への近道です。
2. 条件面(給与・待遇)だけでマッチングしている
給与、休日数、福利厚生などの「条件」は重要ですが、それだけで会社を選んだ人材は、定着しにくい傾向があります。なぜなら、「より良い条件」を提示する他社が現れれば、簡単にそちらへ流れてしまうからです。
企業の理念やビジョン、大切にしている価値観(カルチャー)への共感がないまま、条件だけで採用を決めてしまうと、少し仕事がきつくなった時や、会社の方向性が変化した時に、踏ん張ることができません。「カルチャーフィット」を軽視した採用は、ザル採用の典型です。
3. ターゲット像(ペルソナ)が曖昧なまま採用している
「とにかく人手が足りないから、誰でもいいから来てほしい」 このような姿勢で採用活動を行うと、自社が本当に求めている人物像が曖昧になります。結果として、スキルや経験はあっても社風に合わない人を採用してしまったり、現場が求めているレベルに達していない人を採用してしまったりします。
「誰に」「何を」任せたいのか。そして「どんな価値観を持った人」と一緒に働きたいのか。このペルソナ設計が甘いと、お互いにとって不幸な結果を招きます。
【関連】採用のミスマッチは「ペルソナ設定」で防ぐ。作成方法から活用術まで徹底解説
定着率を高める!ミスマッチを防ぐ新しい採用のスタンダード
ミスマッチをなくし、長く活躍してくれる人材を採用するにはどうすればよいのでしょうか。 従来の「不特定多数に向けた求人広告」や「条件重視のエージェント紹介」だけでは解決できない課題に対し、いま多くの成長企業が取り入れているのが、「リファラル採用」と「アルムナイ採用」です。
信頼関係をベースにした「リファラル採用」
リファラル(Referral)採用とは、社員に知人や友人を紹介してもらう採用手法です。「縁故採用」とは異なり、あくまで採用基準に則って選考を行いますが、一般応募に比べて圧倒的に離職率が低いのが特徴です。
【リファラル採用で離職が減る理由】
- 情報の透明性が高い
現場で働く社員が、仕事のやりがいも厳しさもリアルな言葉で伝えているため、入社後のギャップが起きにくい。 - カルチャーマッチしている
社員が「この人ならうちの会社に合いそう」と判断して声をかけるため、最初から社風への適合性が高い。 - 心理的安全性が高い
入社直後から「知っている人」が社内にいるため、孤立せず、悩みも相談しやすい環境がある。
【関連】リファラル採用のメリット7選!デメリットや成功のコツも徹底解説
出戻りを歓迎する「アルムナイ採用」
アルムナイ(Alumni)とは「卒業生・同窓生」を意味し、一度退職した社員を再雇用する制度のことです。かつては「裏切り者」と見なされることもありましたが、現在では貴重な即戦力として大注目されています。
【アルムナイ採用のメリット】
- ミスマッチがほぼゼロ
過去に在籍していたため、社風、業務内容、人間関係を熟知しており、採用のミスマッチが起きようがありません。 - 即戦力性
教育コストがかからず、入社初日からパフォーマンスを発揮できます。 - 他社での経験を還元
退職中に他社で培ったスキルや新しい視点を持ち帰ってくれるため、組織に新しい風を吹き込みます。
【関連】今、注目すべき「アルムナイ採用」5つのメリットと成功の秘訣
採用活動が「エンゲージメント向上」にもつながる
リファラル採用やアルムナイ採用の隠れたメリットは、既存社員のエンゲージメント向上にも寄与することです。
友人を誘うために自社の魅力を言語化したり、かつての仲間(アルムナイ)が戻ってくることで「やっぱりこの会社は良い場所なんだ」と再認識したりすることは、今いる社員のモチベーションを高め、既存社員の離職防止にもつながります。 まさに、「採用から会社を強くする」という好循環が生まれるのです。
リファラル・アルムナイ採用を成功させるためのポイント
「社員に紹介を頼んだけれど、誰も紹介してくれない」「退職者に連絡を取るのは気まずい」 いざ始めてみようと思っても、うまくいかないケースもあります。成功させるためには、単なる「お願い」ではなく、仕組み作りが必要です。
1. 制度設計と社内周知の徹底
「どんな人を紹介してほしいのか」「紹介したらどんなインセンティブがあるのか(報酬だけでなく、評価や感謝など)」を明確に制度化しましょう。 そして何より重要なのは、経営陣や人事が「本気でリファラル・アルムナイに取り組みたい」という熱意を伝え続けることです。「なぜ今、その仲間が必要なのか」というストーリーを共有することで、社員は「協力しよう」という気持ちになります。
2. 手間を減らすための「ツール」活用
アナログな管理は、人事にとっても社員にとっても負担になります。 「友人に求人ページのURLを送るのが面倒」「紹介の進捗状況が分からなくて不安」「退職者リストがエクセルで管理されていて連絡先が古い」 こうした事務的なハードルが、紹介の機会損失を生んでしまいます。
そこで活用したいのが、リファラル・アルムナイ採用専用のクラウドツールです。
- URLを発行してスムーズに求人を共有
LINEなどで気軽に友人に求人をシェアできます。 - プロセスの可視化
紹介した友人がどの選考段階にいるかが分かり、安心して見守れます。 - 内定後のフォロー
定期的なニュース配信などで、再雇用の機会を逃しません。
人事担当者の管理工数を大幅に削減しながら、社員が楽しみながら採用に参加できる環境を整えることが、成功への鍵となります。
【関連】リファラル採用ツールおすすめ5選!メリットや選び方を徹底解説
おすすめのリファラル採用・アルムナイ採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。「リファアルム」を使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。
1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。
リファラル採用・アルムナイ採用でお困りの企業様は、「リファアルム」にお問い合わせください
「採用してもすぐに辞めてしまう」 この悩みを解決するためには、離職対策を入社後から始めるのではなく、採用の入り口から変えていく必要があります。
条件だけで集めるのではなく、会社の価値観に共感し、リアルな姿を理解した上で入社してもらう。 そのための最適な手法が、信頼をベースにした「リファラル採用」と、絆をベースにした「アルムナイ採用」です。
これらは単なる採用手法にとどまらず、既存社員のエンゲージメントを高め、組織全体を強くする力を持っています。少子化が進む日本において、これからの企業成長を支えるのは「人と人とのつながり」を活かした採用です。
「リファラル採用・アルムナイ採用について、専門家のアドバイスが欲しい」
「リファラル採用・アルムナイ採用を始めたいが、何から手を付けたら良いか分からない」
そのようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ弊社の「リファアルム」にご相談ください。
ただツールを入れてもリファラル、アルムナイ採用が増えるとは限りません。
当社では経験豊富な採用コンサルタントが設計から運用までワンストップで支援します。
リファラル、アルムナイ採用成功のために必要なノウハウと実務支援、マネジメントをプロの人事チームが顧客の採用成功まで伴走します。
アルムナイ採用、そして採用活動全体でお困りのことがございましたら、まずはお気軽に下記よりお問い合わせください。
