採用の母集団形成は「つながり」が鍵。コストを抑えて「欲しい人材」に出会う方法とは?
「求人媒体に掲載しても、なかなか応募が来ない」 「応募数はある程度確保できているが、面接してみると自社のカルチャーに合わない人が多い」 「採用コストばかりが増え続け、採用担当者の工数がパンク寸前だ」
もし上記のようなお悩みを抱えているなら、それは「母集団形成(集客)」の戦略を見直すべきタイミングかもしれません。
採用活動の入り口である「母集団形成」は、採用の成否を握るもっとも重要な工程の一つです。しかし、労働人口が減少し、働き方が多様化している現在、これまでと同じやり方で単に「数」を集めるだけの手法では通用しなくなってきています。
本記事では、採用における母集団形成の基礎知識から、最新のトレンドを踏まえた手法の選び方、そして「量より質」を重視した効果的な母集団形成のステップについて、人事・採用担当者様向けに分かりやすく解説します。
もくじ
採用における「母集団形成」とは?
採用における「母集団形成」とは、自社の求人に興味を持ち、応募してくれる候補者の集団を作る活動のことを指します。
採用活動は一般的に「母集団形成」→「選考(書類・面接)」→「内定・入社」→「定着・活躍」というプロセスをたどります。このプロセスの入り口にあたる母集団(候補者)の数が少なすぎれば、当然ながら採用目標人数を達成することはできません。
また、単に数が多ければ良いわけではありません。「自社が求める人物像」とかけ離れた母集団をいくら集めても、その後の選考で不採用が増えるだけで、現場の面接工数や採用コストの無駄遣いになってしまいます。
つまり、「自社にマッチする可能性が高い人材」を「適切な人数」集めることこそが、本来あるべき母集団形成のゴールです。
労働市場の変化と採用難易度の上昇
なぜ今、多くの企業が母集団形成に苦戦しているのでしょうか。その背景には、日本の労働市場における構造的な変化があります。
- 労働人口の減少(売り手市場の常態化)
少子高齢化に伴い、生産年齢人口は減少の一途をたどっています。有効求人倍率は高止まりしており、企業は限られた求職者を奪い合う「超・売り手市場」にあります。 - 求職者の仕事選びの多様化
給与や知名度だけでなく、「働きやすさ」「企業のビジョンへの共感」「副業の可否」など、求職者が企業を選ぶ基準は複雑化しています。 - 情報の透明化
口コミサイトやSNSの普及により、企業の良い面も悪い面もすぐに可視化されるようになりました。
このような環境下では、ただ求人票を公開して応募を待つ「待ちの採用」では、母集団を形成することは極めて困難になっています。
採用の母集団形成がうまくいかない3つの原因
多くの企業が陥りがちな、母集団形成の失敗パターンには共通点があります。もし「応募が来ない」「ミスマッチが多い」と感じているなら、以下の3点に当てはまっていないか確認してみましょう。
1. ターゲット(ペルソナ)が不明確
「20代~30代で、やる気のあるコミュニケーション能力が高い人」といった、曖昧なターゲット設定になっていないでしょうか。 採用ターゲットが広すぎると、誰の心にも響かない当たり障りのない求人広告になってしまいます。その結果、誰からも応募が来ないか、あるいは「誰でもいいなら」と自社にマッチしない層からの応募が殺到してしまう原因になります。
【関連】採用のミスマッチは「ペルソナ設定」で防ぐ。作成方法から活用術まで徹底解説
2. 採用チャネル(手法)の選定ミス
採用したいターゲット層が普段利用していない場所に、いくら広告を出しても効果はありません。 例えば、Webリテラシーの高いデジタルネイティブ世代を採用したいのに、紙媒体の求人誌を中心に展開したり、逆にハイクラス層を採用したいのに、学生や第二新卒向けの媒体を利用していたりといった「ミスマッチ」が起きています。
3. 自社の魅力(採用ブランディング)が伝わっていない
ターゲットに対して、自社の魅力が正しく伝わっていないケースです。 「アットホームな職場です」「成長できる環境です」といった、どの企業でも言えるような抽象的なアピールになっていませんか? 競合他社と比較した際の「自社ならではの強み」や、ターゲットが仕事選びで本当に重視しているポイント(EVP:従業員価値提案)を言語化できていないと、数ある求人の中に埋もれてしまいます。
採用における母集団形成の主な手法とメリット・デメリット
母集団形成にはさまざまな手法があります。それぞれの特徴を理解し、自社の課題やターゲットに合わせて使い分けることが重要です。ここでは代表的な手法をご紹介します。
1. 求人サイト(就職・転職ナビサイト)
最も一般的な手法です。掲載料を支払い、Web媒体に求人情報を掲載します。
- メリット
・圧倒的な登録者数がおり、多くの人に認知させやすい。
・大量採用を行いたい場合に適している。 - デメリット
・掲載費が高額になりがち(採用できなくても費用がかかる)。
・競合他社が多く、知名度や条件で見劣りすると埋もれる。
・掲載期間が終われば情報は消えるため、資産にならない(フロー型)。
2. 人材紹介(エージェント)
紹介会社に要件を伝え、候補者を推薦してもらう手法です。
- メリット
・母集団集めや一次スクリーニングをプロに任せられるため、人事の工数が削減できる。
・一般に公開できない「非公開求人」でも募集が可能。 - デメリット
・採用単価が非常に高い(年収の30~35%程度が相場)。
・紹介会社の力量に依存するため、自社に採用ノウハウが蓄積されにくい。
3. ダイレクトリクルーティング(スカウト)
企業がデータベースから候補者を探し、直接スカウトメールを送る「攻め」の手法です。
- メリット
・自社が「欲しい」と思った人材にピンポイントでアプローチできる。
・「転職顕在層」だけでなく、市場に出ていない層にもアプローチ可能。 - デメリット
・一人ひとりのレジュメを読み込み、スカウト文面を作成する工数とスキルが必要。
・返信率を高めるための運用改善が不可欠。
4. リファラル採用(社員紹介)
自社の社員に、友人や知人を紹介してもらう手法です。
- メリット
・社員が自社のカルチャーを理解しているため、マッチ度が高く、定着率が良い。
・採用コスト(紹介手数料や広告費)を大幅に削減できる。
・転職市場に出ていない「潜在層」にもアプローチできる。 - デメリット
・社員への周知や制度設計が必要。
・短期間で大量の人数を集めるのには不向き。
【関連】リファラル採用とは?メリット・デメリットから成功のコツまで徹底解説
5. アルムナイ採用(出戻り・再雇用)
過去に自社を退職した社員(アルムナイ)を再雇用する手法です。
- メリット
・人柄やスキルを既に知っているため、ミスマッチのリスクがほぼゼロ。
・他社での経験を積んでパワーアップして戻ってくるケースが多い。
・即戦力としてすぐに活躍できる。 - デメリット
・退職者との良好な関係構築(コミュニティ化)が必要。
【関連】アルムナイ採用とは?メリット・デメリットから導入方法まで徹底解説
これからの母集団形成は「つながり」と「資産化」がカギ
多くの企業がこれまで頼ってきた「求人サイト」や「人材紹介」は、お金を払い続けなければ母集団がゼロになる「フロー型」の手法と言えます。 一方で、これからの時代に注目されているのが、「ストック型(資産化)」の母集団形成です。その代表格が「リファラル採用」と「アルムナイ採用」です。
なぜ今「リファラル」と「アルムナイ」なのか?
売り手市場において、優秀な人材ほど転職市場(求人サイト)には出てきません。彼らは知人の紹介や、信頼できるつながりを通じて次のキャリアを選んでいます。
- 信頼関係ベースの採用
社員や元社員という「信頼できる人」を通じたアプローチは、求人広告よりも圧倒的に求職者の心を動かします。「あいつが言うなら良い会社なんだろう」という前提があるため、入社意欲が高まりやすいのです。 - 採用コストの劇的な削減
外部業者への支払いを減らし、その分の予算を「入社してくれた社員へのインセンティブ」や「既存社員への還元」「教育費」に回すことができます。これにより、組織全体のエンゲージメントが向上します。
【関連】なぜ採用コストは高騰するのか?見直すべきポイントとリファラル採用のすすめ
これからの母集団形成は、外部のデータベースにお金を払い続けるのではなく、自社の社員や退職者という「人的資産」を活かしたエコシステムを作ることが、採用競争を勝ち抜くカギとなります。
リファラル採用とアルムナイ採用で母集団形成を進めるポイント
「つながり」を活かした母集団形成は、従来の広告運用とは異なるアプローチが必要です。単に制度を作って「友人を紹介してください」「戻ってきてください」とアナウンスするだけでは、成果は生まれません。 リファラル採用やアルムナイ採用を成功させ、質の高い母集団を形成するための4つのポイントを解説します。
1. 社員・元社員のエンゲージメント向上を最優先にする
リファラル採用やアルムナイ採用の根底にあるのは「自社への信頼・愛着(エンゲージメント)」です。「この会社が好き」「知人に勧めたい」という感情がなければ、紹介は生まれません。 まずは既存社員の満足度を高めること、そして退職者に対しては「気持ちの良い退職(オフボーディング)」を行い、退職後も良好な関係を維持することが、母集団形成の土台となります。決して「紹介を強制」してはいけません。
【関連】リファラル採用におけるエンゲージメント向上とは?成功に導くポイントを解説
2. ツール活用で紹介・応募のハードルを極限まで下げる
社員は日々の業務で忙しく、アルムナイも別の会社で働いています。「紹介手順が面倒」「どこから連絡すればいいか分からない」という状態では、機会損失になってしまいます。
- わざわざ人事を通さなくても、SNSで気軽に求人リンクを送れる仕組みや、専用アプリで簡単に紹介できる環境を整える。
- 常に最新の求人情報が見られる専用サイトを用意したり、ツールなどを活用して工数を減らす。
【関連】リファラル採用ツールおすすめ5選!メリットや選び方を徹底解説
3. 「どんな人が欲しいか」を噛み砕いて伝え続ける
「良い人がいたら紹介して」という曖昧な依頼は、社員を困惑させます。 「営業部の〇〇チームで、こんな雰囲気の人を探している」「今度立ち上げる新規事業で、〇〇のスキルを持った人が必要」など、現場のリアルな情報を具体的に発信しましょう。 また、一度伝えただけでは忘れられてしまうため、社内報やチャットツール、アルムナイ向けのニュースレターなどで、継続的に情報を発信し続けることが重要です。
4. 成果だけでなく「行動」自体を称賛する文化を作る
採用決定時のインセンティブ(報奨金)も大切ですが、それ以上に重要なのが「称賛の文化」です。 結果的に採用に至らなくても、「声をかけてくれたこと」「紹介してくれたこと」そのものに感謝し、社内で表彰するなどして称えることで、「また協力しよう」というポジティブな空気が生まれます。 アルムナイに対しても、イベントへの参加や近況報告をしてくれたことに対して感謝を伝え、心理的な距離を縮めていくことが大切です。
おすすめのリファラル採用・アルムナイ採用を支援するサービス「リファアルム」

リファアルムは、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援するサービスです。採用は感覚的に行うものではなく、全従業員を巻き込み、「全社一丸」となって取り組むことが大切です。「リファアルム」を使うことにより、従業員のリファラル採用やアルムナイ採用に対する「前向きな姿勢」を引き出すことが可能です。
1、従業員が「リファラル」「アルムナイ」に積極的に協力する、魅力的なカルチャーを形成できる。
2、創業以来のノウハウを活かし、「リファラル」「アルムナイ」だけではない採用活動全体の成功を支援。
3、協力してくれた従業員に対し、業界トップクラスのギフトラインナップで謝礼を提供。
リファラル採用・アルムナイ採用でお困りの企業様は、「リファアルム」にお問い合わせください
本記事では、採用難易度が高まる現代において、母集団形成の成功法則は「お金をかけて数を集める」ことから、「信頼できるつながり(質)を資産化する」ことへと進化している点について解説しました。
特に、自社のファンである社員からの紹介(リファラル)や、一度自社を離れたものの理解者である退職者(アルムナイ)は、企業にとってかけがえのない採用資産です。これらを活用することで、採用コストを抑えながら、定着率の高い優秀な人材を確保することが可能になります。
しかし「リファラル採用・アルムナイ採用について、専門家のアドバイスが欲しい」
「リファラル採用・アルムナイ採用を始めたいが、何から手を付けたら良いか分からない」
といったお悩みをお持ちの採用担当者様も多いのではないでしょうか。
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